変換前の沖縄が舞台。あまりに誰にも顧みられない大切にされない国民と認められない沖縄の人たちが心底気の毒になった。戦争で捨て石にされ親たち子どもたちが殺され、占領したアメリカに土地を奪われ轢き殺されても暴行され殺されて、本土からはいいように利用され何一つ主張は聞き入れられない。そんな沖縄で4人の子どもが大人になるまでの過酷な時間。アメリカと闘い土地のもの同士で闘い、そのあけくれ。今でも好き勝手に奪われている沖縄であり、本当に気の毒。辛い。

二人乗りのタンデムという自転車で、2年8ヶ月と1600万円かけて結構過酷な旅をした夫婦の手記。アルゼンチンの日本人宿で「韓国ドラマ」というパンドラの箱を開けてしまい、ラストを見るまで宿を出られなかったという話も面白かった。何のドラマだったのだろう？

どれも過酷で詰んだ感じの作品。「文学とは何か」などこれからどうするのだろう…？といたたまれない気持ちになる。「アーモンド」の作者さんだが、短編の方がずっと面白かった。運の悪かった事をこうも淡々と書いていて、それがなかなかの小説になって、本当に小説家の作文とはすごいなあ、とおもったのである。

いつもにも増して分厚かった。陰惨な事件続きの中で、検死官たちのブラックな笑いでちょっと和んだ。死体に次ぐ死体で頭が混乱するが、別にきっちり分類して読む必要もないので気にならなかった。今回はプロファイラーのハーディングの一人勝ち。彼も生き生きと仕事をしていて、この状況の中ではちょっとオタクっぽく際立っていた。

2012年から始まったシリアの内戦のルポ。恐ろしい暴行と拷問に、人が苦しむのを見て楽しむ人間が考えるいろいろな痛めつけ方に戦慄した。戦闘が行われている街でゴミに腰まで埋まったまま食べ物を探す老人や、反政府軍に守られながら毎日パンを焼くパン屋。風邪程度の病でも死んでいく赤ん坊。今もガザなどで起こっていてそこで大勢の女性たちがレイプされ少年たちが戦闘員として殺されて老人たちも面白半分に撃たれて殺されているのだろう。著者はそこで見たものを何も助けられないまま今も生きているのを恥じている、と書いてある。

緊張感に満ち満ちた怖い作品だった。大海の真ん中のヨットでの攻防。正気を失った人と海の上で迷子になるという恐ろしさと沈んでしまうという恐ろしさで、ラストを覗いちゃった。宇宙の中でパニックになった宇宙船という感じ。作者も自分のヨットの中で自死していたらしく、その理由も不明だと書かれている。

散歩とレトロなデザインの建物、お菓子屋さんと喫茶店。3人の個性的な息子。道具立てが面白くてもう一度読みたくなる。

短編集。ホラーやユダヤ人迫害を思わせるもの、優しい暴力などどれも面白かった。描き方のプラスマイナスが丁度好みで、何度も読み返すだろう予感。

変換前の沖縄が舞台。あまりに誰にも顧みられない大切にされない国民と認められない沖縄の人たちが心底気の毒になった。戦争で捨て石にされ親たち子どもたちが殺され、占領したアメリカに土地を奪われ轢き殺されても暴行され殺されて、本土からはいいように利用され何一つ主張は聞き入れられない。そんな沖縄で4人の子どもが大人になるまでの過酷な時間。アメリカと闘い土地のもの同士で闘い、そのあけくれ。今でも好き勝手に奪われている沖縄であり、本当に気の毒。辛い。

半島から日本へ渡って来た朝鮮人たちの生涯。日本に来てから朝鮮戦争が起こり帰れなくなる。何となく知ってはいたが、日本人ではなく韓国人でもない寄る辺ない身の上。夫を立てながら黙々と働く妻たちに頭が下がる。今でこそ韓流の音楽やドラマが普通になって国力も対等と言うか向こうの方が上になってきたが、今でも韓国を下に見る人たちもいて、その始まりはこの時あたりなのだなあと思った。「大地」のような移民たちの闘いのドラマだった。