《気分がよくなかったのは、むしろ警察にしつこく調べられたことですね。どうやら僕が、サリンの袋を置いた人間じゃないかと疑われたようです。…。それでうちの社長も怒っちゃって。警察を怒鳴りつけたそうです。「うちの伊藤君は、人を助けて介抱して、タクシー代まで払ったんだ。そんなことするわけがないだろう!」って。(日比谷線(北千住発中目黒行き)伊藤 正)》
《雷の中に音楽の形で入ることができたのは、アントニオ神父のヴァイオリンだけです。猛りたった独奏でした。空の神経が苛立ち、ひとつの思いにとらわれる。猛り狂うこと、震動すること、戦慄きそのものになること、それも秘密のただ中で。世界にできた亀裂、創造の源が口を開いて、光が流れでる。》
空想的に見えた場面設定やチェチリアの語りは、意外なほど具体的なイメージに支えられていることが分かる。例えば彼女が**した羊の弦で取り憑かれたように即興演奏した曲は「ヴィヴァルディのヴァイオリン ・ソナタ第10番ヘ短調の前奏曲のラルゴなどを弾いたかもしれない(著者ノート)」とか。
《どんな戦争地帯にも一度も近づいたことがなく、戦闘に与したり、爆撃のもとで生活したりするとはどんなことかこれっぽっちの考えもない、それがみえみえのアメリカやヨーロッパの知識人たちが尊大にもあの戦争(セルビアによる攻撃)について語るのを目にして、怒りを禁じえません。》
《作家の職務は、精神を荒廃させる人や物事を人々が容易に信じてしまう、その傾向を阻止すること、盲信を起こさせないことだ。作家の職務は、多くの異なる主張、地域、経験が詰め込まれた世界を、ありのままに見る目を育てることだ。》
《彼女の両目は、瞼もきちんと開いていない。でもよく見ると、その瞳の中に光が宿っていることがわかる。それは小さいけれど、とてもしっかりした輝きを放つ光だ。私が最初に気がついたのは、その紛れもない輝きだった。外見の痛々しさにもかかわらず、彼女の存在そのものが私の眼に特に痛々しく映らなかったのは、あるいはその強い光のせいかもしれない。(丸ノ内線(荻窪行き)明石志津子)》
《気分がよくなかったのは、むしろ警察にしつこく調べられたことですね。どうやら僕が、サリンの袋を置いた人間じゃないかと疑われたようです。…。それでうちの社長も怒っちゃって。警察を怒鳴りつけたそうです。「うちの伊藤君は、人を助けて介抱して、タクシー代まで払ったんだ。そんなことするわけがないだろう!」って。(日比谷線(北千住発中目黒行き)伊藤 正)》
-2015年4月-
読書メーターへの投稿が、本の読み方をこんなに変えるとは思わなかった。255文字という制限も何とも心憎い。
テンションの上がった本は、その制約の中にどうやってエッセンスを収めるか苦労するし、逆に上がらなかった本は、その理由を突き詰めてみる。
-2015年2月-
選ぶ本は、芋づる式+毎日新聞の今週の本棚+松岡正剛の千夜千冊+本屋と図書館に並ぶ本の背表紙から+最近猛然と本を読み始めた息子から差し入れのように渡される本。
こんな訳で、特に、読書メーターに入って以降の読書傾向は無いと言ってもいいような状況です。
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《彼女の両目は、瞼もきちんと開いていない。でもよく見ると、その瞳の中に光が宿っていることがわかる。それは小さいけれど、とてもしっかりした輝きを放つ光だ。私が最初に気がついたのは、その紛れもない輝きだった。外見の痛々しさにもかかわらず、彼女の存在そのものが私の眼に特に痛々しく映らなかったのは、あるいはその強い光のせいかもしれない。(丸ノ内線(荻窪行き)明石志津子)》