小学校教員は本書で示される卒業後の進路の1つでしかないので、複雑怪奇な戦前の小学校教員免許制度を理解するためには当たり前だが別の資料が必要。しかし、国や世間が彼女たちに何を望み、または何を望まず、狭い選択肢の中で実際に彼女たちが何を選択したのかが網羅的に統計で示されており(分析はほとんどないが)とても参考になった。 「良妻賢母として許容される範囲内でのこと」ではあるが、高等女学校に行くことで「進学や就職という形で女性により多様な生き方がもたらされ」た(p.315)
ちなみに教育史の分野で研究が進んでいる、講習会や養成所経由で小学校教員免許を取得するルートがあるのだが、「進学」でも「就職」でも無いためか本書では扱われていない。特に戦時下では男性教員不足からそこそこの人数がいたようなので、このルートを含めれば卒業後の進路の「その他」の内訳として考えられている「結婚準備」が減るのではないかと思った。 【メモ】 役に立ちそうな資料 『文部省年報』 『明治以降教育制度発達史』 『高等女学校諸調査』
タイトルを「捨てていく話」としているが、そこに反語的なニュアンスを感じて切ない。そして本書は亡き夫への鎮魂の書でもあって、そこに人生や心のあり方の複雑さを感じる。 『自伝 じょうちゃん』は私の祖母と一歳違いで同じ高等女学校に通っていたということから興味を持って手に取ったが、『小説 捨てていく話』は人生の苦しい時間にどのように耐えたのか、苦しみをどのように表現するのかという興味から手に取った。
自分の感じたことや思ったことを文章にすること、それを他の人に見せることが、苦手だけれどやってみたいことでもあるので、まずは本の感想で練習したいと思い登録してみました。
かなり遡って記録できるようなので、昔読んだ本も思い出しながら記録していきたいです。
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タイトルを「捨てていく話」としているが、そこに反語的なニュアンスを感じて切ない。そして本書は亡き夫への鎮魂の書でもあって、そこに人生や心のあり方の複雑さを感じる。 『自伝 じょうちゃん』は私の祖母と一歳違いで同じ高等女学校に通っていたということから興味を持って手に取ったが、『小説 捨てていく話』は人生の苦しい時間にどのように耐えたのか、苦しみをどのように表現するのかという興味から手に取った。