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2024年4月の読書メーターまとめ

buuupuuu
読んだ本
11
読んだページ
3429ページ
感想・レビュー
11
ナイス
301ナイス

2024年4月に読んだ本
11

2024年4月のお気に入り登録
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2024年4月にナイスが最も多かった感想・レビュー

buuupuuu
近年のミステリは、奇想天外な設定や重厚なドラマ、大掛かりな叙述トリックなどで溢れている。この作品ではそういったものが極力排除されている。ミステリの原点に回帰したとも言えそうだが、またちょっと違う印象もある。とにかく情報だらけなのだ。それぞれの話は、主人公葛の部下たちが捜査によって集めてきた情報が矢継ぎ早に羅列されるような形で進んでいく。葛はこうした情報を次々と処理しながら推理を進めていくのだが、その姿は極めて現代的に見える。昔のミステリにあったようなロマンはなく、合理主義の極北のような姿があるようだ。
が「ナイス!」と言っています。

2024年4月の感想・レビュー一覧
11

buuupuuu
ネタバレ再読。短編集ということもあり、『夏期』や『秋期』と比べると、よりコミカルでライトな温度感。小佐内さんは、よりお茶目で、まるで癒しキャラのようだし、小鳩君もどこか人情味があるような気がする。どの事件も背景に嫌な感じの人間関係があるのだけど、主人公たちに余裕があるせいか、そんなに暗く感じない。本編に出てくる人たちは、どの人もみんな自己愛が強く、他人との間に壁があるように見えたのだけど、古城さんはまた別のタイプのキャラクターであるように感じた。割と素直で、〈小市民シリーズ〉らしくない(?)キャラクターだ。
が「ナイス!」と言っています。
buuupuuu
ネタバレ再読。二人がパートナーシップを解消したまま、ひと月、またひと月と、どんどん時間が流れていってしまうことに驚く。結局一年近く経ってしまったわけで、高校生にとってはかなりの長期間だ。『夏期』での衝撃のせいで、まず小佐内さんを疑ってしまうが、結局彼女は他人との接し方が分からない不器用な人だったという落ち。吉口さん、仲丸さん、瓜野君、氷谷君、そして小鳩君と並べてみると「あれ?小佐内さんてそんなに黒くないのでは?」と錯覚しそうになる。というか、毎年生徒が重めの事件を起こしている船戸高校は結構ヤバい学校なのでは。
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buuupuuu
ネタバレ再読。アニメのPVを見たら、健吾が思ってたよりも細かった。もっと厳ついイメージだったけどアニメを見たら変わるのかな。健吾はしっかりしていて安心感があるけど、他のみんなは若さゆえの危うさがある。推理や復讐に取り憑かれてるとかいう前に、他人に無関心だったり道具みたいに利用したりするところをまずなんとかした方がいいのでは?と思ってしまう。健吾のまともさが瓜野くんの自尊心を傷つけてしまうのも辛い。小鳩くんが密かに小佐内さんを気にかけていて、この巻の終わりに動き始めるところは、主役登場という感じでちょっと格好いい
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ローティを軸にして現代のプラグマティズムの議論状況を概観する。ローティは実践の内部にとどまって超越的なものを認めない。他方、現代の英米哲学の主流は自然主義である。そこで、現代的なプラグマティストたちは科学の優位性や因果性といったものを、超越的なものに訴えることなくどう捉えるのかという課題に取り組むことになる。そこではしばしば共同体的な規範というものが引き合いに出されることになる。規範は実践を拘束するものだが実践によって変化するものでもある。究極的な目標によらずに改良していける希望をここに見ることができる。
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ネタバレ再読。日常の謎とはいえ内容はダーク。小佐内さんが黒くて怖い。最終的に全てが繋がってくるところで、何なんだこの人はと思ってしまう。その推理力をうまいこと利用されてしまうという点で『愚者のエンドロール』のほーたろーを思い出すけど、小鳩くんは利用されていることをある程度承知しているのでプライドが傷つくようなことはない。むしろ小佐内さんが人の道を踏み外してることを真っ当に怒っていて意外だった。しかし小鳩くんも、語り手としてはあまり信頼できないタイプの人で、本当は何を思っているのか分からないところがある。
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buuupuuu
ネタバレ再読。小鳩君と小佐内さんがどういう関係なのか、ちゃんとは理解できなかったのだけど、依存症の自助グループのようなものを思い浮かべてしまった。最初に読んだときは、小鳩君て嫌な奴だなと思った記憶がある。自意識過剰で、小市民になるというのも「馬鹿に理解されない俺つれーわー」と言っているように見えたからだ。十代特有の特別意識は自分も覚えがあって、だから余計に嫌な気分になるというか。ただ話としては、そんな小鳩君が「小市民」として戯画化されたのとは違う、ちゃんとした大人になるために成長する話だと言えるのかもしれない。
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buuupuuu
『生き方について~』を読んだとき、議論は難しいし、なんだか他人の批判ばかりしているようで、積極的に言いたいことが何なのかよく分からなかった。本書によればウィリアムズが拘っていたのはリアリズムだということになる。それは規範倫理の学説が綺麗事しか述べていないという批判というよりも、私たちの生の中に倫理的なものがどう現れてくるのかについてそれらの学説が誤って考えているという批判である。つまりウィリアムズは人間観を問題にしている。そして実践の場面を捉えなおし、生き方について新しい見方を見出そうとしている。
Nさん
2024/04/19 22:47

ちくま学芸文庫の『生き方について哲学は何が言えるか』 は結構なページ数の大著ですよね。レビューを見ると、一言目に「難解」とありました(笑)

buuupuuu
2024/04/19 23:32

Nさんさん、こんにちは。たしかに『生き方』は難しかったですね。だからこういう解説書はありがたいです。

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buuupuuu
Conventionは規約とも慣習とも訳される。クワインは明示的な合意のようなものを考えていたようだが、ルイスは人々が共通利害のために同調している状態を考えている。ポイントは同調の仕方が他でもありえたこと、他のメンバーが同調すると互いに承知した上で人々が同調しているということである。後半では言語活動がコンヴェンションの観点から分析される。発話と事態、あるいは発話と行為の対応付けがコンヴェンションによって成り立っており、人々はそれによって利益を得ている。言葉の意味がこのような対応付けによって説明されている。
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buuupuuu
個々人にとっての善だけでなく、集団としての私たちにとっての善がある。そのような善は個人が各自自由に振る舞うだけで獲得されるとは限らないし、誰か特定の個人の責任にして済まされるものでもない。したがって公共的な取り組みがなされなければならないのだが、そのために私たちは互いを対話の相手として認め合う必要がある。だか、そのような連帯は、商業主義や自由主義などから生じる格差、個人化、画一化への圧力などの傾向によって妨げられてしまう。難しいのは、商業主義や自由主義が様々な恩恵や多様性をもたらすものでもあることである。
buuupuuu
2024/04/09 22:00

アルルさん、こんにちは。この本では、経済格差や学歴偏重主義、成果主義、ルッキズムなどの例を通じて、どうして分断が生じてしまうのかとか、私的に見えるものが公共的なものにどう影響を与えるのかとかいうようなことが論じられています。なのでアルルさんの問題関心とはちょっとズレているかもしれません。もっともこのようなことを理解することが対話の条件になるとは言われていますが。

アルル
2024/04/11 00:01

ありがとうございます。参考になります。

が「ナイス!」と言っています。
buuupuuu
近年のミステリは、奇想天外な設定や重厚なドラマ、大掛かりな叙述トリックなどで溢れている。この作品ではそういったものが極力排除されている。ミステリの原点に回帰したとも言えそうだが、またちょっと違う印象もある。とにかく情報だらけなのだ。それぞれの話は、主人公葛の部下たちが捜査によって集めてきた情報が矢継ぎ早に羅列されるような形で進んでいく。葛はこうした情報を次々と処理しながら推理を進めていくのだが、その姿は極めて現代的に見える。昔のミステリにあったようなロマンはなく、合理主義の極北のような姿があるようだ。
が「ナイス!」と言っています。
buuupuuu
ネタバレ即物的なグロさや非倫理性の前に暗さがある。可能性に脅えて人の道を踏み外していくという点で山崎紗也夏の『マイナス』を思い出したがあれも暗い話だった。幸福な日常と見えるものや価値があるとされるものは幻想でしかなく、結局どのようにしても事態は悪いようにしかならないという感覚がある。即物的で非倫理的でどこにも行けない行き詰まりの状況こそが現実だという感覚。まあ象山のような人間がどうなろうが知ったこっちゃないとも思えてしまうのだけれど。逃亡者がループに閉じ込められてしまう最後のシーンは象徴的だと思った。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2010/03/07(5170日経過)
記録初日
2010/01/26(5210日経過)
読んだ本
1597冊(1日平均0.31冊)
読んだページ
468198ページ(1日平均89ページ)
感想・レビュー
371件(投稿率23.2%)
本棚
10棚
性別
自己紹介

哲学科卒。ミステリなどを読みます。

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