幸を離縁し江戸へ下った惣次が両替商になった件がわかりよかった。また手代佐助の恋の結実、老後にやるべきことを確認できたお竹も。そして、幸と賢輔の今後が見えたことも。

まずは黛三兄弟の絆の強さを感じた。とりわけ三男新三郎は政敵に取り込まれながらも己の意志を貫いたことはすごい。久々に背筋を伸ばして読んだ本だった。

鼠小僧次郎吉は困っている人と出会ってしまうのが運命なのでしょう。そして、困っている人を助け解決してしまう事も。

縄張り争いに潜む表と裏の悪をあぶり出し、市兵衛、弥陀ノ介と清が共に戦い勝利する。しかし、弥陀ノ介の思いは届かず。市兵衛が頼まれた虚無僧になった武家の子息は残念な結果だった。

終わったと思っていました。しかしキレが悪いかな。町道場を継ぐ愛と、旗本の娘麗依子と知り合った事。悪党の鼠小僧が斬首され、本物の鼠小僧子次郎は違う人生を歩いている事など。

過去に辛い思いをしても自分の意志を貫くことが必要だと、宗秀先生の姿から思った。それに比べ私欲にはしった昔仲間の人間性が酷く虚しいものに感じた。また鬼渋の息子良一郎が登場したが今回を機に考えを変えるだろう。お手本がそばにいるのだから。

幸を離縁し江戸へ下った惣次が両替商になった件がわかりよかった。また手代佐助の恋の結実、老後にやるべきことを確認できたお竹も。そして、幸と賢輔の今後が見えたことも。

筆者が書く盗賊は悪事はするが、他の一面では本人気づかず世間や他人へ気遣いするというか貢献するというか、そんな書き方をしている。これが何とも言えず好ましく感じてしまう。