中上の「千年の愉楽」に続いての贅沢な読書体験だった。通しで読むのも15年振り3度目だろうか。これだけの長大な作品なので細々としたエピソードなど忘れていた箇所もあり、改めて新鮮に読ませてもらった。読み終えた後に思うのは孤独より黄昏という言葉の方がしっくり来るが。400頁超のハードカバーを持ち歩き、読み進めて行くのも段々しんどく感じて来た中、文庫版が初めて出るとの記事を読んだ。おそらく分冊されるだろうが、次回10数年後に読む時は文庫でも良いかも。

平成五年五月三十日八十三刷と記載があるので、約30年振りに読んだことになる。筋も大体は把握していたので、今回は放火へ至る過程に共感出来るかに焦点を当てて読んでみた。終始、金閣寺を歪んだ異形の美として対峙していたが、放火への強い動悸がやや感じられなかった。発表当時に読んでいたら今よりももう少し共感出来たのかもしれない。史実を元に脚色をしているのは分かるが、最後燃える金閣寺に向かって身を投じるとかの方が美の結実になったように思う。祇園で遊ぶ俗っぽい老師や足の悪い友人の柏木など脇役が良い味を出していた。

中上の「千年の愉楽」に続いての贅沢な読書体験だった。通しで読むのも15年振り3度目だろうか。これだけの長大な作品なので細々としたエピソードなど忘れていた箇所もあり、改めて新鮮に読ませてもらった。読み終えた後に思うのは孤独より黄昏という言葉の方がしっくり来るが。400頁超のハードカバーを持ち歩き、読み進めて行くのも段々しんどく感じて来た中、文庫版が初めて出るとの記事を読んだ。おそらく分冊されるだろうが、次回10数年後に読む時は文庫でも良いかも。