☆ 平安時代の京都周辺を舞台に、史実と御伽草子を織り交ぜて描かれる差別に抗う者たちの物語。京人(みやこびと)は他の民を童(わらべ)と呼び、奴隷として扱い、あるいは人間ではない鬼として滅ぼそうとしてきた。不吉とされる日蝕の日に生まれた桜暁丸(おうぎまる)は大勢の仲間とともに故郷を奪った京人に決死の戦いを挑む。登場人物が敵も味方も個性があり魅力的。長い物語にも関わらず飽きずに読ませる展開が続く傑作。直木賞候補作、山田風太郎賞候補作、角川春樹小説賞受賞作という評価も納得です。オススメ。

☆ 魔人と一体化している退魔師黒沢アキラが仲間とともに各地に封印されている魔人を倒す物語。この巻では霊媒体質のあさひと、彼女に取り憑いている悪霊の「怨」のコンビが登場。常にどこかでバトルが起きているハイスピードでテンションの高い作品です。

☆ 子供の頃に誘拐され、海外の武装組織で訓練を受けた元戦闘工作員の島崎。彼はやっと帰国した日本で普通の日常を手に入れるべく地域社会との繋がりを作っていく。そんな平和な生活を渇望する彼のそばに現れた謎の組織。島崎は彼らを救うことが出来るのか。地域に溶け込む日常生活と激しい戦闘シーンのギャップが相変わらずの面白さ。やっと手に入れた平穏なのに、彼が戦場に戻る日までのカウントダウンが切ない。オススメ。

☆ 中学1年生の結束いのりが司コーチとともにフィギュアスケートで金メダルを目指す熱い物語。スケートを初めて2年のいのりは背が伸びて身体が大きくなった事で今まで跳べたジャンプが上手く行かなくなり、苦悩するのだった。負けて半年経つのにライバルに会うと悔しくて泣く勝利への強い想いには圧倒されます。コーチが選手をどう指導するか、子供が大人をどう見ているかなど、子育ての勉強にもなります。「自分が望んだ場所で最強の存在になれないなら生きる意味なんてない」の台詞にはゾクゾクさせられます。熱い、熱すぎる。アニメにも期待。

☆ みつみは仲良しの友達と一緒に実家に帰省して高2の夏休みを楽しむ。家族、友達、地元の友達、みんなと過ごす素敵な時間。だけど志摩はみつみの事を意識してしまい、上手く笑えないのだった…。甘酸っぱさと切なさに何度も泣かされました。みつみの地元のモデルである石川県珠洲市に触れているあとがきが読んでいてつらかったです。能登半島地震の被災地が早く復興出来るように何か力になりたい。

☆ 33歳女性の糸崎宝は中学時代に同級生のエマの事が好きになり、キスしそうになった事がある。その場はふざけてした事だと嘘を付き、自分の気持ちを誤魔化し、エマが転校した事で二人は離れ離れになっていた。そして20年ぶりの再会。宝は変わらずエマが好きな事を実感するが、エマは素敵な夫と幸せな生活を掴んでいた。二人の気持ちのすれ違いが繊細なタッチで描かれる大人のGLストーリー。宝の真っ直ぐな気持ちやエマの秘められた想いの甘酸っぱさに胸がキュンとなります。じれったさに息苦しささえ覚えます。素敵な作品。

☆ 世界で唯一先進国から後進国に転落した国、アルゼンチン。20年後の日本もこの国と同じ様になる可能性があると言われてショックを受ける三咲。日本経済を立て直すために必要な事は何かを考える6巻。アルゼンチンの衰退の理由、ダメな地方創生、アイディアコンペの裏側などなど、相変わらずの面白さです。社会や経済を学ぶ教材にもなります。オススメ。

☆ 様々な手口で弱者からお金を巻き上げる搾取ビジネス「ながいきくらしサポート」の実態を調べる加茂教授。そこには様々な手口で老人を食い物にする姿があった。日々優しく接する事で老人の信頼を獲得してからは高額な家電や修理を勧めて搾り取る。果たして加茂はどうするのか。内容は面白いし勉強になるし、勧善懲悪の爽快感もあります。オススメ。

☆ 落語の「二ツ目」昇進を目指して今昔亭ちょう朝師匠に稽古をつけてもらおうとするあかね。ちょう朝師匠から出された条件は落語喫茶で開かれる勉強会に50人の客を集めること。頑張るあかねの成長が感じられる10巻。いつも圧倒されたり、スカッとさせられたりと引き込まれる作品です。この巻最後の引きはまさかのあの人。今後の展開が気になります。

◎ 巨大な筒状の世界「タテの国」。そこはどこまで落ちても底が見えない巨大な穴と、どこまでも続く壁からなる不思議な世界。行方不明の少女オメガを探すため、炭鉱で働く少年ルスカは穴の底を目指す。不思議なエネルギーを産む謎の鉱石オメガニウム、人間を一呑みする巨大ミミズ、空間を繋ぐワームホール、人間によって作られた世界、そしてタテの国の外の世界。センス・オブ・ワンダーにあふれるSFマンガ。絵は正直いって下手ですが、物語に引き込まれます。

◯ シルバニアファミリーならぬ、シブヤニアファミリー。渋谷駅近家族。タイトルからしてダジャレ。さすが久米田先生です。ダジャレのタイトルを思いついてそれを連載にしてしまう発想力には驚かされます。主人公は渋谷に住む小3の少女、都加逸子(とかいつこ)。クラスでは渋谷を普及させる「渋谷係(しぶやけい)」に任命され、日々都会を研究している。担任やクラスの面々もクセが強いキャラばかり。ダジャレが多く、あらゆる方面に毒を吐いていてちょっと心配になるくらいです。まだ1巻だからか面白さはほどほど。今後に期待です。

☆ 40代の弁護士、間敏郎は身体が硬く、運動不足であちこちが痛い冴えない中年。肩が凝ったり、腰が痛くなったり、姿勢が悪くなったりと、年齢を感じてしまう每日。そんな彼の姿を見かねた事務員の山村あかりがストレッチで身体をほぐす方法を教えてくれる中年メンテナンス物語。今回も簡単で効き目があるストレッチを教えてくれます。やればすぐに効果が現れるのが魅力。テレワークで運動不足になった私にはありがたい作品です。

☆ アイスランド在住の御山慧は、弟の三知嵩が死んだとの連絡を受けたが、彼の生存を確信していた。弟が自殺なんてするはずがない。日本に帰国した慧は三千嵩の行方を探し始める。しかし、父は行方不明、母は育児放棄で家庭は崩壊しており、別々に暮らしていた慧は三千嵩の事をよく知らない事に気付く。慧が三千嵩の学校の周辺で話を聞くうちに、三千嵩の闇が明らかになっていく…。不気味さがじわじわと積み重なる怖さ。いつも読み始めたら止まらない、引き込まれる物語を描く入江先生の作品。また夢中になって読みました。オススメです。

◎ ボーカルグループ「カルテットスター」のメインボーカルとして人気絶頂だった少年、星一。圧倒的な歌唱力とスター性を持つ彼だったが、ツアーファイナルで声が出せなくなってしまう。後に「沈黙の5分」と呼ばれるこの事件でグループは解散、星は表舞台から消えた。それから10年、元メンバーとの再会をきっかけに、彼は再び音楽に向き合う決意を固める…。登場人物の説明やストーリーが分かりにくい点もあるが、過去のトラウマを乗り越えようと努力する姿を応援したくなる作品。

◎ Youtubeで人気のクリエイター「可哀想に！」さんのコンテンツ「おぱんちゅうさぎ」の描き下ろしコミックス。独特の言葉のチョイス、クセがすごいキャラクター、変なシチュエーション、その発想に驚かされます。動画になっていない新作なのでファンの方にはオススメ。ファン以外の方にはまず動画を見ていただきたい。

☆ 平安時代の京都周辺を舞台に、史実と御伽草子を織り交ぜて描かれる差別に抗う者たちの物語。京人(みやこびと)は他の民を童(わらべ)と呼び、奴隷として扱い、あるいは人間ではない鬼として滅ぼそうとしてきた。不吉とされる日蝕の日に生まれた桜暁丸(おうぎまる)は大勢の仲間とともに故郷を奪った京人に決死の戦いを挑む。登場人物が敵も味方も個性があり魅力的。長い物語にも関わらず飽きずに読ませる展開が続く傑作。直木賞候補作、山田風太郎賞候補作、角川春樹小説賞受賞作という評価も納得です。オススメ。