ネタバレ※ヴィクトリア朝京都。スランプのホームズと彼を励ますワトソン。応用物理学研究所のモリアーティ教授が上の階に引っ越してきてホームズと意気投合。ホームズの代わりに事件を引き受け始めたアイリーン・アドラー、その活躍を冒険小説に仕立てたワトソンの妻メアリ。心霊主義のリッチボロウ夫人。以前ホームズが解くことができなかった事件、レイチェルマスグレーヴの失踪。ホームズが探偵しないなら、架空の町ロンドンでホームズが活躍する小説「ホームズの凱旋」→京都とロンドン、どちらが現実？森見作品らしい、キツネにつままれたような読後感

ネタバレ※神山藩の町奉行を務めた祖父草壁左太夫は、名奉行と呼ばれたのち隠居、今は料亭の離れに暮らす。跡を継いだ父藤右衛門は左太夫の名声に臆したか、まじめな勤務態度とは言えず、ある日突然隠居届を出した後に失踪。18歳の総次郎が急遽跡を取る。祖父の右腕だった小宮山喜兵衛が補佐。総次郎の友人日野武四郎ナイスキャラ。ある日神山藩の大店である信濃屋の元・三番番頭が殺され、現場に父の根付が残される。北前船に絡む藩内の汚職事件と祖父・父・子間の微妙な距離感。居酒屋「壮」が代替わりしていた！

ネタバレ※宮城県南三陸のほとんどの住民が災害公営住宅へ引っ越した後の仮設住宅（完全密室）で町役場の職員の死体が発見される。宮城県警捜査一課の笘篠と地元出身の蓮田が捜査を始める。震災で被害を受けなかった蓮田は、なんとなく負い目を感じている。地元に残った親友大原知歌は被災者のヘルパーさん、貢と沙羅は結婚し、貢は県会議員の義父の秘書と実家の建設業を。それぞれの理由で仮設住宅から引っ越せない皆本老人を力ずくで退去させようとする迷惑系NPO法人の嫌がらせ。被災者の気持ちに寄り添えていない復興のかたち。

ネタバレ※ヴィクトリア朝京都。スランプのホームズと彼を励ますワトソン。応用物理学研究所のモリアーティ教授が上の階に引っ越してきてホームズと意気投合。ホームズの代わりに事件を引き受け始めたアイリーン・アドラー、その活躍を冒険小説に仕立てたワトソンの妻メアリ。心霊主義のリッチボロウ夫人。以前ホームズが解くことができなかった事件、レイチェルマスグレーヴの失踪。ホームズが探偵しないなら、架空の町ロンドンでホームズが活躍する小説「ホームズの凱旋」→京都とロンドン、どちらが現実？森見作品らしい、キツネにつままれたような読後感

ネタバレ※福島・猪苗代湖を会場とした音楽とアートのイベントの為に執筆された短い小説7年分（7篇）+書き下ろし。社会人の松嶋くんが猪苗代湖を縁に親しくなった女性らとの話と謝罪専門の門倉課長のエピソードといじめっ子から逃げていた少年がエージェント・ハルトと出会って、別の世界へ行き厳しい訓練の末、諜報員となったものの、派閥争いで再びこちらの世界に戻り、やっぱりあっちの世界へ戻ろうとする話。最後にすべてのお話がまとまるのはさすが伊坂さんらしい。

ネタバレ※紙屋から本好きが高じて本屋になった松月平助。開板をライバルに先を越され焦った末に騙されて借金を負い、返済のために行商に出かける。得意客の名主の惣兵衛、女郎上がりの少女を囲い贅沢させるが、本当の彼女の望みとは「本を売る日々」。隣町で噂される八尾比丘尼伝説の真相と平助が霧の山中で迷った時に助けてくれた女性「鬼に食われた女」。長らく喘病で苦しむ姪を診察した医者の評判が様々過ぎて不安に感じる平助、彼の素性を調べるために名医と呼ばれる山奥の医師のもとを訪ね感銘を受ける「初めての開板」。

ネタバレ※神山藩筆頭家老の黛清左衛門、長男栄之丞、次男壮十郎、三男新三郎。家を継ぐ栄之丞、生き方を見つけられず生活が乱れる壮十郎、早々に大目付の家の養子となることが決まった新三郎。新三郎の親友由利圭蔵。次席家老漆原内記の強すぎる出世欲がライバルの黛家を陥れようとする。藩主が側室の子を溺愛した為に廃嫡された跡継ぎが謎の死。次兄を亡くし、長兄と疎遠になり漆原の懐刀のようになった新三郎、目付として辣腕を振るうが、隠された兄との約束。友の裏切り。誰も死なずに済むよき政を目指して。

ネタバレ※神山藩の下級武士高瀬庄左衛門、郡方の跡を取った息子啓一郎と嫁志穂は不仲。郷村廻りの途中で息子が死んだことを小者の余吾平から聞く。里に帰った志穂は、義父に絵を習うことを希望し、幼い弟と通ってくる。志穂の弟が不穏な人物と親しいのを心配し、探っているときに知り合った屋台蕎麦屋の半次。生前息子のライバルだった超優秀な立花玄之助と親しくなる、彼にはつらい過去が。藩内に強訴の噂あり、出先の村で玄之助とともに人質になり謀反の容疑がかけられるが、玄之助兄の華麗なお裁きで事なきを得ず。良い作品、作家さんと出会えた喜び。

ネタバレ※新卒の理系女子で明和に就職した朋太子由寿。最初の勤務先大阪でスーパーをまわる。自身は東日本大震災の被災者で、阪神大震災の時、交通がマヒして他社がスーパーに乳製品が卸せなかった折、取引のない自社商品を送り届けた優秀営業マンの話を聞く。後に東京本社の広報部へ移動、社内報に乗せる50周年を迎えるブルガリアヨーグルト特集の担当となり、菌の担当者や工場見学に出かける。素人小説の主人公ブルガリア菌に萌える。田舎と都会生活の違い。乳酸菌によるブルガリアの歴史解説は難しかった。

ネタバレ※作中作「愚者の代償」ホテル経営するハリウッド女優メリッサを殺したのは誰だ？スーザンも小説を読み直すが、失踪したセシリーが小説を読んで気づいた事件の真相には気づけず。事件関係者からの聞き取り、セシリーが失踪前に刑務所にいるステファンに送った手紙、関係者が話した小さな嘘。またも自らの命を狙われるが助けてくれたのはギリシャから来た恋人。これだけの謎（登場人物の名前のアナグラムを含む）を小説内に詰め込んだアランコンウェイは、人間としてはアレけど、作家としてはスゴイのでは。

ネタバレ※前作「カササギ」で作家アラン・コンウェイの編集担当で、今は恋人とギリシャでホテル経営をしているスーザンの元へ、イギリスから行方不明になった娘を探してほしいという依頼が。ホテル経営難と恋人との関係に悩んでいた折、高額報酬にも惹かれて承諾。事件を題材にしたアランの小説を読んで、８年前の殺人事件で逮捕されたホテル従業員は無罪だったのではと気づいた後に姿を消したセシリー。関係者に話を聞くが手掛かりなし。後半はアランの小説「愚行の代償」。

ネタバレ※滝沢馬琴の生涯。武士の家で幼い頃、兄に代わって家督を継ぎ、藩主嫡孫の小姓となるが、嫡孫の暴力に耐えきれず逃亡。以後、俳諧仲間らの家を転々と。元々文学好きて、戯作の道に進みたいと思い、当時の人気作家山東京伝に教えを乞う、後に蔦屋重三郎の耕書堂で働きながら戯作を書く。町人のような生活をしながら武士の心は忘れず。歴史に材をとった戯作で、挿絵担当の北斎とのコンビで人気を集め始める。大長編里見八犬伝は大人気を得るが版元とのトラブル続出。妻との仲はいまいち。息子宗伯は体が弱く、死ぬ直前まで家計の為に執筆をつづける。

ネタバレ※小学校の臨時非常勤講師として働く森島。放火事件と安西先生のブログ「ミスファイヤ」。いなくなったカメとクラス内いじめ「柔らかい甲羅」。女音楽教師の指導で本来歌がうまかったのに歌えなくなった児童「ショパンの髭」。荻野先生が授業中に居眠りするのでクラスは崩壊「家族写真」。クラスごとに作曲をする授業は生徒に好評、私学に合格した娘を褒めろと言う親「悲しい朝には」。臨時講師を続けるか、別の仕事を探すか自身の将来に悩む「グッバイ・ジャングル」。若者らしい正義感とアルバイトである不安定（責任感少なめ）な立場からの視点