現実感は全く無しのミステリーの為のお話しだとは分かっていても、最後のどんでん返しが知りたくて最速で読めた。

現実感は全く無しのミステリーの為のお話しだとは分かっていても、最後のどんでん返しが知りたくて最速で読めた。

何から感想を書けばよいのだろう。思うことが多くて思考停止してしまうそんな物語だった。歩目線で描かれている世界だが、登場人物一人一人の個性が強く、姉、父、母、矢田のおばちゃん、そしてヤコブ。その人達目線のもうひとつの物語も見たくなる。ナイル川のように過去から現在まで時には澱み、時には澄み、それでも川は流れて行くんだと。

女医、香織と看護師、マリ江が人の心が読める聴診器で受刑者の過去を読み取っていく。同室の受刑者がそんなに都合良く病気になるのか？ということはさておき、彼女たちの犯した罪には過酷で辛い状況があったということは理解できた。彼女たちは犯罪者でもあり、被害者でもあった。香織とマリ江の活躍ぶりがとても小気味良かった。