ネタバレきのこの奥深さと何とも心が暖かくなる出逢いの『きのこカクテル』。若者ならではの苦悩と「これで良かったのか」と過るものの「よし！」と頷く『オイスター・ウォーズ』。「ホンサイホンベー」には戸惑う。世代を越えた男女の身の置き方を考えさせられた『きみはアガベ』。見事にラストを決めてくれた『タイムスリップ』では思わず日本酒をググってしまった。前作の『ほろよい読書』にも手を出さねぱ！

ネタバレ久々の重松作品。アラ還夫婦と売れない俳優の息子には三人三様の悩みがあった。定年退職し次の出向先で働く夫。両親の介護と教職員の仕事を両方失って心の穴を埋めたい妻。戦隊モノのヒーローだった3人のうち1人だけ売れない息子。「空家」は厄介者ではなく、建主とその家族と共に育って来た一員と考えると、日本国中に一千万軒はあろうかという空家が何となく物哀しい。マッチが煩いと思うのも、セブンが煩いと思うのも、話しを盛り上げてくれるいいスパイスだった。盛り上がって盛り上がって、ラストが線香花火の様な感慨深さだった。