1番気になったのは、ラストに繋がる伏線が十分張られていないことだ。こういうラストはあっていいと思うが、それにしても遡って見て、当然の帰結であるとは思われない。しかし、初めに述べたように、部分部分のきらめきがこれらを補って余りある。今後の作品に期待したい作家さんがまた1人現れたことを喜びたい。
そのために、投獄されることをも彼らは辞さなかった。そのような経緯を経て、成立した「聖職者免除」という一部の人間にのみ特権的に認められた免除は受け入れられないとして、拒否した神学生たちがいた。一方、兵役拒否者は、国を挙げて戦争を支持することが正義とされるなかにあって、違う形で社会に貢献したいと心から願う市民でもあった。良心的兵役拒否と市民的責務の狭間で、人生を賭けて信念を守り抜こうとした彼らの姿は、主体的に自己の信念に忠実に生きているかと問いかける。戦後80年近く経った現代の日本に自由はあるだろうかとも。
その上でやっぱり気になったことをいくつか。キャラの描き分けが不十分で時々混乱してしまった。ファンタジーとは言え、声だけの存在になっている山田に関する状況説明が少ない。登場人物の突然の退場に戸惑うことしばし。とは言えまたなんらかの理由あって、また出てくるのだろうと思っていたがそのまま登場せず。
1番気になったのは、ラストに繋がる伏線が十分張られていないことだ。こういうラストはあっていいと思うが、それにしても遡って見て、当然の帰結であるとは思われない。しかし、初めに述べたように、部分部分のきらめきがこれらを補って余りある。今後の作品に期待したい作家さんがまた1人現れたことを喜びたい。
近現代日本文学、フランスカトリック文学から、SF、児童文学までなんでも読みます。以下は一定以上の興味を持って集中的に読んだ作家。
太宰治、夏目漱石、中島敦、福永武彦、遠藤周作、高橋たか子、星新一、水村美苗、高橋源一郎、朝井リョウ、永井愛、浅原ナオト、小川哲、ドストエフスキー、トルストイ、アーサー・ミラー、テネシー・ウィリアムズ、イプセン、カズオ・イシグロ、モーリヤック、ジュリアン・グリーン、ドミニック・フェルナンデス、リリアン・ヘルマン、ヘルマン・ヘッセ、グレッグ・イーガン、テッド・チャン
影響を受けた作家 夏目漱石、福永武彦、遠藤周作、高橋たか子
好きな作品 沈黙(遠藤周作)、行人(夏目漱石)、荒野(高橋たか子)、草の花(福永武彦)、モイラ(ジュリアン・グリーン)
感銘を受けた作品 クオ・ワディス(シェンキェーヴィチ)、るつぼ(アーサー・ミラー)、シッダールタ(ヘッセ)
現存する作家で必ず新作を買う作家 水村美苗、小川哲、朝井リョウ、カズオ・イシグロ
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その上でやっぱり気になったことをいくつか。キャラの描き分けが不十分で時々混乱してしまった。ファンタジーとは言え、声だけの存在になっている山田に関する状況説明が少ない。登場人物の突然の退場に戸惑うことしばし。とは言えまたなんらかの理由あって、また出てくるのだろうと思っていたがそのまま登場せず。