ネタバレ1970年代から現代にかけて実際に起きた出来事と、ある男が人生でたくさんの挫折を経てついに爆発するまでの心的過程が描かれる。引きこもり、8050問題、ネグレクト、叶えられない承認欲求...タイトルの「鼓動」という単語は一切出てこないけど、ただ生きるだけでいい、胸に手を当てるシーンが何度か出てくる。苦しい読書だったが葉真中さんの重い作品は考えさせられて読み応えある。

ネタバレ読み始めて早々にドタバタ劇が繰り広げられる。登場人物がいきいきしていて面白い。ギャル語も出てきて軽めなテイストだし、みなさんがいつもの宇佐美さんと違うと言われてるもうなづける。でも四国の深い山中の描写は前読んだホラー作品にもよく出てきてたので、きっと愛媛出身の宇佐美さんにとって創作に欠かせない何かがあるんだろうな。表紙にも描かれる冴えないおばさん沙代子が、調理で能力を発揮していくあたりから存在感が増すのがよかった。