『とんずら屋』で魅了され、他のシリーズを調べて『藍千堂』シリーズに行き当たった。これも中々よく出来ている。田牧さんの作風は王道ながら、シンプルな構成が非常に魅力的で人物造形が細やかで隙がない。いわゆるそつの無い仕上がりだが、無難に納まらない処が非凡なのだろう。今作は甘いもの好きには堪らない和菓子屋の噺だが、昔からある菓子を一工夫する姿がまた別添えの魅力として差し出される。このファン心理を見透かしたかの様なやり口は実に強かだ。こりゃまた、厄介な作家さんに嵌った気がしまする。

『とんずら屋』で魅了され、他のシリーズを調べて『藍千堂』シリーズに行き当たった。これも中々よく出来ている。田牧さんの作風は王道ながら、シンプルな構成が非常に魅力的で人物造形が細やかで隙がない。いわゆるそつの無い仕上がりだが、無難に納まらない処が非凡なのだろう。今作は甘いもの好きには堪らない和菓子屋の噺だが、昔からある菓子を一工夫する姿がまた別添えの魅力として差し出される。このファン心理を見透かしたかの様なやり口は実に強かだ。こりゃまた、厄介な作家さんに嵌った気がしまする。