シリーズ6作目。今回は万年筆ヲタク登場。高価なものがあるとは知っていたが，予想以上の高額商品もありびっくり。最近字を書くことが少なくなったけど，万年筆で書かれた綺麗な文字には憧れるなあ。ミステリーと言うよりも蘊蓄満載の話だが，それを期待して読んでいるのでこれからどんなヲタクが出てくるのか楽しみ。

建物模型作りが趣味の高校生がサボテン専門店でアルバイトをすることになり，そこで自分だけのテラリウム作りに挑戦する。植物園の中で見たサボテンを思い浮かべながら読んだが，今まで全く興味の無いものでも本の中で熱く語られると一気に引き寄せられてしまう。軽い読みごこちだが，阪神地域に縁のある人にはより楽しめそう。

「27000冊ガーデン」の中で出てきた本のひとつ。退官し新居を買った裁判官の隣に，かつて無罪判決を出した元被告人が越してきて，その直後，裁判官家族に小さな亀裂が入りはじめる。彼は本当に無罪だったのか。親切すぎる彼の本当の目的は何なのか。読み始めるとぐいぐい引き込まれ，一気読み。

タイトル通り，途中まで正しいと思っていた面がくるっとひっくり返されるオセロのようなどんでん返し短編集。6編のなかでも最終話の「死は朝，羽ばたく」は重いが最も読み応えがあった。

鎌倉時代末期，聖徳太子の残した書物「未来記」を巡る争いに「犬飼い」の主人公二郎は巻き込まれる。天狗や妖術使いが暗躍し，鎌倉幕府の衰退にも影響を及ぼしたように描かれる歴史ファンタジー。大きな赤犬の村雨が癒し。

学校図書館を舞台にしたライトミステリー。生徒や自分の仕事に真摯に向き合う図書館司書と推理力の高い書店員が協力して生徒にからむ事件を解決する。過去に自分が読んだ本や好きな作家さんの話には読書好き同士の親しみを感じ，まだ知らない本が提示されるとそれも読みたくなるような，ミステリーでありながらこの中の司書さんに本を薦められたような気分になった。