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2024年4月の読書メーターまとめ

マウンテンゴリラ
読んだ本
9
読んだページ
2139ページ
感想・レビュー
7
ナイス
34ナイス

2024年4月に読んだ本
9

2024年4月にナイスが最も多かった感想・レビュー

マウンテンゴリラ
科学技術総力戦体制といった言葉は、近代日本の象徴的スローガンであり、昭和の敗戦によって崩壊した体制である、という認識に異を唱え、科学技術を通しての戦後の日本社会、日本人の在り方にも疑問を突きつける。そう言った意味で大変読み応えがあり、過去の話としてではなく、今に至る日本の問題点の根深さを感じさせられる内容でもあった。確かに、世界的に見ても科学技術の発展が戦争を契機に、あるいは戦争の手段として飛躍的に発展してきたことは否めない。そのことを承知していながら、戦後における日本の科学技術は、→(2)
マウンテンゴリラ
2024/04/07 16:48

(3)非常に納得のいく形で示されていた。振り返れば、1960~70年代の公害問題、70年代以降の交通戦争とまで言われた車社会の問題、そして現在に至るまで続く、原発問題等々を、放置して来たとは言わないまでも、経済発展優先の体制の犠牲としてきたことは明白であるように思える。そして、その犠牲とされてきたのが、経済発展に乗り遅れる、または水俣病の犠牲となった漁民たちのように、敢えてそれを拒否し、別の意味での豊かな生活を送ってきた人たちであった、ということを深く受け止めるべきと思われる。→(4)

マウンテンゴリラ
2024/04/07 16:52

(4)総力戦体制といった幻想下では、その経済発展もいよいよ限界が見え始めたと言ってもよいこの時代にこそ、人間の新たな幸福、豊かさの新たな基準を考え、科学技術も本当にそれらに相応しいものにして行く必要があると感じた。

が「ナイス!」と言っています。

2024年4月の感想・レビュー一覧
7

マウンテンゴリラ
本書に言われるように、江戸時代がほぼ完璧な循環型社会が形成された時代であったということは、よく耳にして来た。一方でこの時代は、総じて寒冷化による飢饉が多発する時代でもあり、食糧生産やエネルギー供給(森林資源)の限界に伴う、人口の停滞期(よく言えば安定期)であったこと等、再生可能エネルギーに全面依存する社会の限界が示されているという面でも、社会と環境というテーマを多角的に捉えており、歴史を振り返ることが現在を考える上での必須事項であることを強く意識させる良書であると感じた。また、政治と庶民の関係につ→(2)
マウンテンゴリラ
2024/04/27 22:47

(3)機構の側からは、単なる強権的支配というだけでなく、飢饉の救済といった庶民に対する慈しみや、森林保護のために庶民の欲望を抑える施策を打つなど、大局的見地からの責任感が感じられ、庶民の側にもそれに応えようとする信頼感情があったようにも感じられた。それに対し現在は、欲望の制御を無効化し、それに反比例するかのように責任感を薄れさせ大衆化した庶民が、政治への関心を益々失って行く。そしてそれに連動するかのように、政治家の倫理観や責任感も失われていく。まさに、本来分断されようもないはずの国民感情と政治の分→(4)

マウンテンゴリラ
2024/04/27 22:51

(4)断が生じている。そのような悪循環に陥っている現在が、かの時代以上に深刻な環境問題を抱えている、ということを思えば、それを乗り越えることが相当に悲観的な状況であるということも本書を通して感じさせられた。

が「ナイス!」と言っています。
マウンテンゴリラ
関連本をいくら読んでも理解が届かない。道元に関しては、そんな思いに苛まれ続けているが、一歩でも二歩でもその思想に近づきたい。何故なら、そこには人生の根本問題にとって最も示唆的な哲学が潜んでいると感じられるからである。しかし、私のようにものぐさで、安易な結果だけを求めがちな人間にとって、最も理解の遠い哲学であるとも感じてきた。ところが、本書の一風変わった表現でもあり、目から鱗が落ちるようにも感じられたのが、肩ひじを張らずに自然体で向き合うことの大切さということであった。しかしそれだけを真に受けてしま→(2)
マウンテンゴリラ
2024/04/27 23:40

(2)えば、敢えて難解なものに挑まなくても良いことになり、またもや堂々巡りに陥り、本書を読む意味も失われてしまう。実はこのような迷いは、意識のレベルは相当に違うが、道元が仏道の修業を求める際に抱いた疑問にも通じるものかもしれない。まずはその堂々巡りを突破することで視界が開ける。それこそが、自己を中心あるいは絶対的存在(実体)との考えからの脱却であり、その手段として、本書の言葉、「見るものなくして見る、主客未分の見方」に大いなるヒントがあるように感じた。自分というものが無いというのではなく縁起という→(3)

マウンテンゴリラ
2024/04/27 23:54

(3)関係性の中でのみ成り立つ存在。このような世界観は、最近、仏教界のみならず日本史におけるもう一人の天才として注目している空海の即身成仏につながる世界観に似てはいないだろうか。自然体というのは、自分を主体と認識して、その主体が無理をしないというのではなく、主体であることこそを無化し得る境地ということでもあるだろうか。まだまだ険しいが、向き合うことに喜びを感じられる思想への対し方に、また新たなヒントが得られたという気がした。

マウンテンゴリラ
日本国の成り立ちを考える上で、外すことが出来ない重要な時代。そういう意味で、歴史、特に古代の歴史愛好者ならずとも、未知なる神秘性も含んだ魅力ある時代。そのような飛鳥時代の歴史と飛鳥地方の風土が、共に感じられる好書であった。皇族と豪族の権力をめぐるせめぎ合いや、仏教を中心とした文化形成のせめぎ合い、そして、想像以上に活発であった国際交流と紛争等々、産みの苦しみと共に活気のある時代でもあった、と感じた。関西人にとって身近な、奈良(平城京周辺)や京都は、どちらかと言えば、観光資産化された遺構に →(2)
マウンテンゴリラ
2024/04/27 10:47

(2)象徴される華やかさがあるが、飛鳥には、歴史の重みという通好みの魅力があると感じられた。また、個人的にも地理的により身近な飛鳥には、訪れてこそ感じられる魅力があると言うのも、嬉しい情報であった。

マウンテンゴリラ
知識人、文化人としても著名かつ信頼のおけるご両人が選ぶ、一般読者からのよもやま話といったところだろうか。どちらかと言うと、タイトルから想像される奇談と言うよりは、ユーモアに溢れたショートショート集と言った印象を受けた。サラサラと読める心地よさはあるが、心地よさの理由はそれだけではないと言うことも感じさせられた。洗練されたユーモアと言うのは、他者への侮蔑、或いは自己への自虐といった要素が少なく、活き活きとした、また多様性のある日常から思わず溢れ出てしまったエネルギーの残滓とても言えるような、→(2)
マウンテンゴリラ
2024/04/27 09:51

(2)清々しさを含んだものである、と感じた。

マウンテンゴリラ
科学技術総力戦体制といった言葉は、近代日本の象徴的スローガンであり、昭和の敗戦によって崩壊した体制である、という認識に異を唱え、科学技術を通しての戦後の日本社会、日本人の在り方にも疑問を突きつける。そう言った意味で大変読み応えがあり、過去の話としてではなく、今に至る日本の問題点の根深さを感じさせられる内容でもあった。確かに、世界的に見ても科学技術の発展が戦争を契機に、あるいは戦争の手段として飛躍的に発展してきたことは否めない。そのことを承知していながら、戦後における日本の科学技術は、→(2)
マウンテンゴリラ
2024/04/07 16:48

(3)非常に納得のいく形で示されていた。振り返れば、1960~70年代の公害問題、70年代以降の交通戦争とまで言われた車社会の問題、そして現在に至るまで続く、原発問題等々を、放置して来たとは言わないまでも、経済発展優先の体制の犠牲としてきたことは明白であるように思える。そして、その犠牲とされてきたのが、経済発展に乗り遅れる、または水俣病の犠牲となった漁民たちのように、敢えてそれを拒否し、別の意味での豊かな生活を送ってきた人たちであった、ということを深く受け止めるべきと思われる。→(4)

マウンテンゴリラ
2024/04/07 16:52

(4)総力戦体制といった幻想下では、その経済発展もいよいよ限界が見え始めたと言ってもよいこの時代にこそ、人間の新たな幸福、豊かさの新たな基準を考え、科学技術も本当にそれらに相応しいものにして行く必要があると感じた。

が「ナイス!」と言っています。
マウンテンゴリラ
自由な生き方とは、物理的な束縛から逃れることだけではなく、自分自身の自縛から逃れることでもある。同年代である著者から、そんなことを教えられたような気がした。特に手放すこと、というフレーズには、モノや財産といったことではなく、心の澱といったような拘りやプライド、社会によって植え付けられた価値観といったものこそ向けられるべき言葉であるということを感じた。年齢を重ねても、いや重ねればこそワクワクする生き方、そのヒントを与えられたような気がした。
が「ナイス!」と言っています。
マウンテンゴリラ
沖縄と言えば近現代史における侵略、戦争、現在に至る基地問題等で、多くの苦難を強いられてきた地域で、それを重く受け止め続けなければならないということを感じてきた。本書は、そのような近現代史ではなく、民俗学、文化人類学的な視点から沖縄を語ったものであり、予想したものとは違うのもであったが、逆にそれによって新たな知見と沖縄の魅力が感じられた。中国だけでなく、東南アジアや朝鮮半島との文化的共通点が語るものは何か。本土と言われた地域の日本人には無い、逞しさやおおらかさというものは、漠然と感じていたが、→(2)
マウンテンゴリラ
2024/04/06 11:47

(2)それは、自然環境の美しさや、その裏返しの厳しさによるものだけではなかった。生活の糧や安全保障といった面で、必然であったと言える海洋交易によって身についた国際性、多様な文化といったものも、日本国としても宝とすべきものではないかと感じた。

が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2010/09/30(4963日経過)
記録初日
2010/08/09(5015日経過)
読んだ本
1179冊(1日平均0.24冊)
読んだページ
346778ページ(1日平均69ページ)
感想・レビュー
1133件(投稿率96.1%)
本棚
38棚
性別
職業
技術系
現住所
大阪府
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