フィデルマシリーズの長編第1作だが、邦訳刊行順は遅い。解説を読めば納得で、舞台がアイルランドでなく、内容も硬いため、別の作品を先に刊行したという。現在となってはなるべく執筆順に読むべきだろう。
内容的には、短編を読みながら中世初期アイルランドの社会や文化を知ることができる。一般に暗黒と形容される中世ヨーロッパの、さらに辺境と言いたくなるアイルランド島で、(どこまで事実と認識してよいかはわからないが)法を司る者の権威が聖俗の支配層に尊重される社会が営まれていた。司教がやや不服従なあたり、宗教的権威も裏付けになっているのだろうか。王の生前から選挙で後継者を決める制度や感情的殺人が酌量されること、償いが重視されることなどが興味深い。
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フィデルマシリーズの長編第1作だが、邦訳刊行順は遅い。解説を読めば納得で、舞台がアイルランドでなく、内容も硬いため、別の作品を先に刊行したという。現在となってはなるべく執筆順に読むべきだろう。