小川哲のプロフィールを知っている度が高いほど、自分の他者や虚実に対する姿勢をほい、ほい、とわんこそばを食すかのように試されている気分になるであろう短編集。私は自分の能力がない能力主義者的な面について向き合わされてしまい、じくじくと鳩尾が痛い。

必ずを保証しない流星群、北の大地に香る金木犀、人生のうちたったの6年。志村貴子が表紙を飾るにふさわしい、少女たちの物語でした。

他薦のため『ストロベリーナイト』をすっ飛ばしてこちらを読んだ。刊行年がちょっと前なので女性主人公の造形がややアレだが、スリリングで構成もよい。好きなキャラは勝俣主任。

私にとって「正真正銘『待望』」の著者初作品集。現実世界と接着しつつも、SF/幻想的設定によって独特の厚みを持った世界が全9編の短編・中編として収録されている。設定による世界の限定を、物語世界の広がりに反転させる手腕は見事というほかない。

小川哲のプロフィールを知っている度が高いほど、自分の他者や虚実に対する姿勢をほい、ほい、とわんこそばを食すかのように試されている気分になるであろう短編集。私は自分の能力がない能力主義者的な面について向き合わされてしまい、じくじくと鳩尾が痛い。