ネタバレ戦国末期の銀山で鉱脈をあてる山師の喜兵衛に育てられたウメは銀堀になるつもりでいたが、女性であるために夢は叶わなかった。銀堀の男たちは早くに肺を病んで死を迎えることを承知の上で銀の光に誘われて銀山に向かう。その男達を受け止め、子を産み育てる女達。男女の営みの描写はその人の生き様を反映している。たとえ短い生だったとしても、「無為ではないんです」…光を求めて生きる人々の想いはきらきらと銀色に光る銀山の葉の様に輝いていたはずだ。

ネタバレ疲れ果てて、それでも夕食を作らなければならない〜毎日の辛いタスクを軽く笑い飛ばすかの様な爽快な題名の画期的な料理本。1、2、3の3ステップでフライパンひとつでできる、しかもとても美味しそうな料理ばかり。丼、麺の乗っけものが多い印象だが、おかずとして独立して通用するものばかりなのでこれはキッチンの愛蔵版になりそう。

ネタバレステンドガラスの光が揺れる店で舶来品のココアを買った。今や絶滅種とも言える、(執筆当時)丸髷を結った鏑木清方の絵から抜け出てきたかの様な女の店員がいる。〜恋に落ちたわけではない〜と言いながら店に通う私…。女に対して抱いていた幻想が一瞬で壊される。鮮やかで切れ味の良い短編だ。

ネタバレある春の昼下がりに聴いた著者の演奏する花びらが転がる様なモーツァルトのピアノの調べが忘れられない。国際コンクール受賞後は有名な指揮者や交響楽団との共演や超有名ホールでのソロリサイタルを次々に成功させている。『私は運に恵まれている』と自称するが、１つの演奏を終えると、そこから出会いがあり、学んだことで成長し、次の舞台でさらに大きな花を咲かせていく。反省や失敗談も混ぜながら、演奏会の舞台裏を覗かせてくれるこの随筆は興味深い内容ばかり。猪突猛進なのに肩肘張らず自然体な著者の今後の活躍が楽しみでならない。

ネタバレ戦国末期の銀山で鉱脈をあてる山師の喜兵衛に育てられたウメは銀堀になるつもりでいたが、女性であるために夢は叶わなかった。銀堀の男たちは早くに肺を病んで死を迎えることを承知の上で銀の光に誘われて銀山に向かう。その男達を受け止め、子を産み育てる女達。男女の営みの描写はその人の生き様を反映している。たとえ短い生だったとしても、「無為ではないんです」…光を求めて生きる人々の想いはきらきらと銀色に光る銀山の葉の様に輝いていたはずだ。

ネタバレ「葉桜のころになればきっと思い出します」…独白形式で語られる十頁には、病を得て若くして散っていった妹と、そばで看取る姉の心のやり取りが描かれている。妹宛に届いた手紙の正体がわかった後で、不思議な口笛が響いてくる。遠い思い出の中に残る小さな謎が葉桜を夜に照らす灯りのようにぼうっと浮かぶ。桜が散りだす頃になると、この作品を読み直して口笛の正体に思いを馳せてしまう。

ネタバレ王家に伝わる宝冠「押木之玉縵」に魅せられた一人の臣下が罪を隠すために放った虚言から、叛乱が起こり王は薨じた。それは母后と美しき叔母の若草香王に愛されて生い育った眉輪王子の悲劇の始まりだった。新王に嫁いだ母后、大長谷王子に奪われた若草香王、その乳母は歴史の流れに翻弄されながらも生き抜く。身を寄せた円臣の元から何度も逃亡を繰り返す眉輪王子の抱える思いは「異聞ハムレット」というには、あまりにも儚く哀しい。典雅な文章で綴られるだけに、血塗られた王家の物語ではあるが美しい余韻を残して物語は幕を閉じた。