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2024年4月の読書メーターまとめ

マーブル
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2024年4月に読んだ本
8

2024年4月のお気に入られ登録
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  • 踊る猫

2024年4月にナイスが最も多かった感想・レビュー

マーブル
一見荒唐無稽な異常者のようでありながら作者の描く世界では目立たぬだけでかなりの数の箱男が存在するという。箱という象徴を取り払ってみれば、そこには現代社会にもあたりまえに存在する欲望があきらかになる。かえって、現代の箱男の方がその勢力を伸ばしているかもしれない。箱で姿を隠し、素性を取り換え、名を明示しないままに綴る告白をたどっていくと、もはや箱男の正体を探ることに意味はなくなる。言われるがままに躊躇なく裸になる女はビーナスを思わせるが、見るばかりで実際の行為の描写のなさがバーチャルな女神を想起させる。
戸部アンソン
2024/04/10 08:11

仙川で生誕祭を行う?という話を先日ききつけて阿部公房を思い出していました。読書メーターで感想文をよみふけっていました。年月を経て再読を楽しみます。ご対応ありがとうございました。

マーブル
2024/04/10 18:55

こちらこそありがとうございました。読書について会話ができることはこの手のサイトに登録しているからこその喜びです。また機会がありましたらよろしくお願いいたします。

が「ナイス!」と言っています。

2024年4月の感想・レビュー一覧
8

マーブル
個人と集団。患者という個人を目の前にした医師の義務。人類全体という集団に向けて平和を要求するより大きな義務。自らが病を得た者たちの個人的恐怖とそれぞれの立場で国や民族に対する義務。その狭間で登場人物たちは苦しみ敗れていく。結局勝利を得るのは熱狂的集団の心理なのか。個々の事情を踏みつぶし数の論理で戦争に邁進していく。独裁者も告発者も舞台から退いた後に残るのは、悲劇を伴いながら熱狂する集団。個人の判断よりも集団という熱狂が、人類を誤った方向に導くのが歴史上の事実ならば、そこから抜け出すにはどうすればいいのか。
マーブル
2024/04/27 07:24

まるで現代を予言しているかのようにも思えるが、本作の意図はこの病を描くことにはない。もう少し詳しくはこちらにhttps://marbletakarabako.blog.fc2.com/blog-entry-781.html

が「ナイス!」と言っています。
マーブル
それにしても読者は、さらには作者式部は、光源氏のことをどのように捉えていたか。前巻ではやんちゃ王子として、わがままし放題だが憎めない魅力のある人物として想像したが、玉鬘の帖などそこだけ説明したとしたら「キモイ」と言われても仕方ないのではない。当時の読者はどう思ったのか。現代の読者諸氏にはどう映るのか。あちこちの女性に色目を使わずにはいられない性分を、式部は結構肯定的に書いているように感じる。「困った性格だ」と表現している一文が見られるが、別な誰かと比較するとそれでも品があるとか、苦しい援護をしている。
マーブル
2024/04/25 22:21

単なる堅物よりはその方が魅力的ということか。もうちょっと長い書評はこちら。https://marbletakarabako.blog.fc2.com/blog-entry-780.html

マーブル
2024/04/26 10:03

仕方ないのではないか、ですね。

が「ナイス!」と言っています。
マーブル
 「焦げちゃった」。  「焦げた」でもなく「焦がした」でもない。それらでは深刻過ぎる。「焦げちゃった」と言いながら結局は受け入れてしまっている、どこかお茶目で前向きな感じのするネット上の画像を見ているうちに少し気分が救われていく。この微妙な言葉の違いへの感覚。が、生活という基盤があってこその彼女の作品たち。美や言葉を追及する、生活と遊離した作家ではなく、日常に足場を持った文章。落ち込んだり、傷ついたり、驚いたり、喜んだり、誇らしかったり。時々挟まれる新婚生活の様子が、これまでにない色どりを添えている。
マーブル
2024/04/24 21:38

結局、炊きたての白飯がいちばんうまい。その辺りをもう少し書いた長文の書評はこちらに。https://marbletakarabako.blog.fc2.com/blog-entry-779.html

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マーブル
哲学者についてではなく哲学について学ぶ。多様化が叫ばれ、それに伴うかのように膨大な選択肢が与えられる現代。あたかも大海に放り出されたかのような状況に戸惑う。そしてそれを助けるような便利なツールもたくさん現れてきている。だが、ちょっとした疑問につまずいて足が止まることがある。本当にそうだのだろうか。本物と区別がむずかしい偽物がはびこり、やがて本物がどれで偽物がどれなのかわからなくなってくる。そんな日々をどう過ごすか。何にでも疑問を抱いた子どもは哲学をしていた。本書は再び哲学する心の扉を開くきっかけを目指す。
マーブル
2024/04/21 10:45

もうちょっと詳しくはこちらに。https://marbletakarabako.blog.fc2.com/blog-entry-777.html

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マーブル
職場におけるパワハラについて考えるにあたり、学校でのいじめが参考になるのではないかという期待で手に取った。事例のいじめの内容は少なからずショックを覚える。現在でもこのようなひどい状況なのか。それは全国に及んでいるのか。あるいは状況が変わっているのか。もしくは一部の事例を大きく取り上げているだけなのか。残念ながら詳しく知るところではないが、人間の感情を考える上では参考になる内容だった。簡単ではないかもしれないが、学校、職場、で不要な攻撃を受ける人々がいなくなり平和な人間関係が築けることを期待したい。
マーブル
2024/04/14 20:45

パワハラとの考察を含めた長文がこちら。 https://marbletakarabako.blog.fc2.com/blog-entry-776.html

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マーブル
本シリーズは鮮やかなトリックや華麗な謎解きは描かれない。事件の発端となった人間模様、人間の心理描写が素晴しい。本作では素性のまったく分からぬ若い女の人となりが次第に明らかになっていき、死者が蘇るかのように活き活きとその姿を露わにしていくところがメインであるが、傍流として事件の解決には重要でない人物たちの心理描写を眺める楽しみもある。聞き込み先で証言する人物たちそれぞれの心理状況の克明なスケッチ。不安。虚栄。嫉妬。それらに流されることなく必要な情報を手に入れる。解決の鍵もその卓越した観察眼の結果だった。
マーブル
2024/04/10 22:27

≪不愛想な刑事≫と呼ばれる第二地区のロニョン警部とのやり取りについても書いた長文の書評はこちら。https://marbletakarabako.blog.fc2.com/blog-entry-775.html

が「ナイス!」と言っています。
マーブル
一見荒唐無稽な異常者のようでありながら作者の描く世界では目立たぬだけでかなりの数の箱男が存在するという。箱という象徴を取り払ってみれば、そこには現代社会にもあたりまえに存在する欲望があきらかになる。かえって、現代の箱男の方がその勢力を伸ばしているかもしれない。箱で姿を隠し、素性を取り換え、名を明示しないままに綴る告白をたどっていくと、もはや箱男の正体を探ることに意味はなくなる。言われるがままに躊躇なく裸になる女はビーナスを思わせるが、見るばかりで実際の行為の描写のなさがバーチャルな女神を想起させる。
戸部アンソン
2024/04/10 08:11

仙川で生誕祭を行う?という話を先日ききつけて阿部公房を思い出していました。読書メーターで感想文をよみふけっていました。年月を経て再読を楽しみます。ご対応ありがとうございました。

マーブル
2024/04/10 18:55

こちらこそありがとうございました。読書について会話ができることはこの手のサイトに登録しているからこその喜びです。また機会がありましたらよろしくお願いいたします。

が「ナイス!」と言っています。
マーブル
 「現代」を特別視してしまう我々が無意識に陥ってしまう思考の偏りを見直す。危機を云々するタイミングなどとっくに過ぎてしまった時代だと見なす立場。その立場から現代社会について論ずる18の考察。それはバラバラの要素であり、互いは必ずしも直接的に結びつくものではない。が、著者の中ではこれらを材料とした鍋がぐつぐつと煮えている。  答が書かれているわけではない。そしてそれは簡単に出るはずもない。しかし、考察すること自体を諦めるのは大事なものを手放すこととなる。
マーブル
2024/04/06 08:31

 多くのテーマを扱っている故に、ひとつひとつはもう少し深い掘り下げを期待したくなるのも確か。しかし、誰かが書いた著作に答えを性急に求める行為で得られるのは、使い捨ての情報ぐらいのものだろう。真に信じられる力をもった真実は、それぞれの読み手が自ら考えることで手に入れるしかない。そのためのヒントはあふれている。著者が用意した具材に箸を伸ばし噛みしめ味わおう。 もう少し長めに書いた書評がこちら。https://marbletakarabako.blog.fc2.com/blog-entry-773.html

が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2017/10/29(2389日経過)
記録初日
2012/08/17(4288日経過)
読んだ本
791冊(1日平均0.18冊)
読んだページ
243345ページ(1日平均56ページ)
感想・レビュー
791件(投稿率100.0%)
本棚
20棚
自己紹介

プロフィール画像変更しました。自作の切り絵です。(2022年8月23日)

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