白井作品にとって、本来食べるべきものでないものを食べることが、デビュー作の『人間の顔は食べづらい』以来一貫したテーマであって、この〈異食〉への異様なフェティシズムは他に類がないと思う。
使節の中でも福沢諭吉はやはり頭ひとつ抜けている。たとえば汽車を乗るにしても、他の使節がその速さに感心しているなか、福沢は鉄道会社の構成や運営方法について書き記している。病院に行けば、他のものが鮮やかな病理標本に目を奪われるなか、福沢は社会保障制度を調査する。その洞察力というか、巨視的なビジョンはちょっと他には見られない。あまりにも優秀
ミステリと古典文学を中心に読んでます。
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