戦前戦後に書かれた短編集。時代背景について紹介してくれる解説がありがたかった。 「おたは嫌いだ」の抜けた感じの主人公もよいし、「松林蝙也」や「失恋第六番」の物理的に強いタイプの主人公もよい。山本周五郎が描く主人公像はどれも惹かれる。

戦前戦後に書かれた短編集。時代背景について紹介してくれる解説がありがたかった。 「おたは嫌いだ」の抜けた感じの主人公もよいし、「松林蝙也」や「失恋第六番」の物理的に強いタイプの主人公もよい。山本周五郎が描く主人公像はどれも惹かれる。

すっきりとしない物語を集めた短編集。これらを読むまでは、山本周五郎作品はハートフルなものばかりだと思っていたので、意外な印象をうけた。ちゃんの一節「重吉はもっている盃をみつめ、それから手酌で飲んで、ゆっくりと首を振った。」という静かなリズムの表現が好き。