戦後になると急激なインフレの影響を運賃に反映できない国鉄の影響は悪化、植民地から引き上げてきた鉄道関係者が入ってくるととてつもない過剰人員となる。待遇改善を求めるゼネストの動きは出てくるとGHQは公社化を指示しますが、これが国鉄の経営が歪な形になる原因となります。というのも独立採算制としながら、予算や運賃の決定は国会を通す必要があるという役所と企業の中間のような曖昧な運営体制になったからです。採算は悪く、設備投資も思うようにできないということで時代が下るほど時代遅れになっていきます。
本書は歴代国鉄総裁の悪戦苦闘や経営上の問題点を簡潔明瞭に書かれている他、政治に左右されて混迷していくさまも分かります。単純な国鉄史ではなく、経営学のケーススタディ本としても読める優秀な一冊だと思いました。
道具がない庶民たちも身近な道具を使ったりして遊びを生み出す。経済成長し、庶民たちも市場で物を買えるようになると貴族や豪族たちが遊んでいる将棋などを道具やルールを簡略し、みんなで遊びやすいようにしているのは製品開発の話のようで面白い。海外からカルタやトランプ(プレイング・カード)が入ってくると遊べるゲームの種類が増えていく。麻雀は明治時代からの参入で後発組もいいところだが、競技人口は囲碁よりも多く、将棋と同じくらいだそうだ。
シリーズを通して読むと東洋の軍隊は複数兵科を組合せて運用する視点が弱いと感じる。そのため、モンゴル軍を除くと歩兵がずっと戦いの中心になっていると指摘している。火器の発展がとても遅いのもシリーズで読んだことでよくわかった。ただ、本書(東洋編)の悪いところは参考文献に対するスタンスがブレることが多々あった。兵器の構造を冷静に分析して運用を想像して記述に疑問を投げかけたかと思えば、戦国時代の日本で近代的な火縄銃の一斉射撃をしていたとするなど俗説を額面通り受け取って書くところもあり困惑させられることもあった。
ちょっと怖いイメージのあった救世軍だが、軍隊の制度をアレンジして取り入れているくらいで活動はけっこう和やか。女性の起用にも積極的でかなりイメージが変わった。面白いのは教会は欧米では社交の場としても利用されたため、単純にお祈りと説教の場ではなく、「普段はなかなか会わない人とのコミュニケーションの場」「助け合っていく相談の場」など生活の一部となっていること。移住や旅行などで本来の宗派ではない教会に行くこともそれほど珍しくないという(受け入れてもらえるかどうかはその宗派、教会次第だが)。
本書は翻訳家の方が利用しやすいように索引があり、文字だけではわかりにくいこと(服装の違いや独自の道具、十字を切る時の手の形など)は親しみやすいイラストで解説しているので分かりやすいので教会を舞台にした小説や本を読む時に参考図書として活用していきたい。
バルドルの死についてはロキが謀殺したようなイメージがあったが、死の予感を感じまくっていたバルドルを思いやって「絶対に危害を加えない宣言」を生きとし生けるもの全てに誓約させる、いたずらっ子ロキは「絶対なんてない」と、フリッグに質問すると「幼いヤドリギ」だけは言葉がわからないので宣言していないということで盲目のヘズにヤドリギを投げさせるとどうなるかと実験した結果、バルドルは死んでしまう。みんなから責められるけど、ロキが「いや、神族なのにヤドリギで死ぬとか思わないでしょ」と怒るのはなんだか頷いてしまった。
バルドル復活を願うアース神族は冥界の支配者ヘル(ロキの娘)と交渉して、条件をもらうんだけど女巨人セックが泣かなかったので失敗。ワルキューレたちにセックはロキが変身した姿だから、ロキが意地悪したと言いがかり(本書では言いがかり説をとっている)をつけられる。それで幽閉されるが、息子二人の片方を狼に変身させられて、もう片方を殺させ、その腸を鎖代わりにするという残酷な仕打ちを受けるロキが可哀想過ぎる。そら、アース神族と敵対するよ。
興味のあった本を読んでいく。ジャンルはいろいろ。社会科学、自然科学、小説、経営関連をベースにバランスよく読むように『読んでる本リスト』を編成しています。上記以外のジャンルでも面白そうだと思った本は読むようにしています。
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