あくまでも個人的な意見なんですけどこの作者の方の文章はどうも受け付けないんですよね。登場人物たちの行動とか感情が全部トリックが上手く着地するためだけに描かれてるっていうか…死体を見つけたときの緊迫感とか、そもそも十戒をなんでそんなにみんな簡単に受け入れちゃうのかとか。そもそも爆弾を爆発させたら犯人も死ぬじゃん？っていう根本的な問題とか。オチがあるからあえてそういう描き方なんだ！って主張もあるのかもしれないけれどそれにしても人間味が登場人物に感じられなくて、ト書きを読まされてるような気持ちになります。

性にまつわる短篇集で、筒井康隆特有のはちゃめちゃなオチのものも少なくなかった。家に弁天様が来る、とか性行為中に潜望鏡で覗かれるとか話の導入の作り方の多彩さはほんと天才だよなと。巻末で御年90歳であられることを知ったので長生きしていただきたい限りです。

伏線が多すぎて中盤あたりでオチが読めちゃって、「まさかそんな簡単なわけないよね？これもブラフだよね？」と思って読み進めたらそのオチで終わってしまった… テーマになってる夢の中で死ぬと現実でも死ぬ、っていうのもそんなこと言うかなあとも思ったり。割と自分が死ぬ夢ってよくあるし、むしろ将来に対する変化が反映された夢として割とメジャーなものではと。 全体的にふーんって感じで終わってしまった、中学生くらいの時に読んでたらドキドキ読めたかも。

実在のグリコ・森永事件に端を発した犯罪小説。あくまで内容は作者の想像の範疇ではあるし、事情があったら犯罪をしていいわけではないんだけど、罪の背景って突き詰めていくとその人の生まれつき、もしくは学習の機会を奪われたことによる知的能力の低さだったり、発達障害に伴う衝動性だったりが多いと思うので、根本的なところで罪に問いようがないって側面はあるなあと。

早い話がドラクエ世界における謎、「なんで序盤の村で強いアイテムが買えないのか」をテーマに、商人を主人公において経済的な側面からそれを詳にしたみたいな展開の小説。読みやすいし面白いとは思ったけど、そういう風に魔物側が設定したから、を答えにしちゃうならそもそもそういう風にゲームを作ったからってことが答えになっちゃうような気もするんだよなあ。人間の向上心とか努力に強く重きを置いてるところは作者の信条なんだとは思うけど、それって恵まれた側の人間の意見の押し付けなんだよなぁとも思ったり。

レビー小体型認知症で見える幻視、を名探偵の解決篇に落とし込んでるところは映像化とか考えた上でもいい演出だなと。オチもよかったし、お爺ちゃんが幻覚の中で振り回されてる要素もちゃんと織り込んでるのもよかったです。 ただ、DLBの症状の中でも推理、を妨げないものだけがピックアップされてるのは、フィクションだとは分かりつつも普段それで苦しむ患者と振り回される家族を見ているだけにご都合主義だよなとは思いました。

ドラえもんの「きゃあ、自分殺し」を彷彿とさせるようなテーマで、流行りのマルチバースものでした。読んでる時はトリックすげえ…！ってなったけどよく考えたら「っていう設定でした」ってだけなのよね。設定が面白かったからそこはあまり気にならなかったけど。１章の終わりのところのゾクっとさせられるところがよかったです。

あくまでも個人的な意見なんですけどこの作者の方の文章はどうも受け付けないんですよね。登場人物たちの行動とか感情が全部トリックが上手く着地するためだけに描かれてるっていうか…死体を見つけたときの緊迫感とか、そもそも十戒をなんでそんなにみんな簡単に受け入れちゃうのかとか。そもそも爆弾を爆発させたら犯人も死ぬじゃん？っていう根本的な問題とか。オチがあるからあえてそういう描き方なんだ！って主張もあるのかもしれないけれどそれにしても人間味が登場人物に感じられなくて、ト書きを読まされてるような気持ちになります。