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2024年4月の読書メーターまとめ

荒野の狼
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2024年4月に読んだ本
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2024年4月にナイスが最も多かった感想・レビュー

荒野の狼
本作については、朝日新聞連載の柄谷行人回想録「私の謎」日本近代文学の起源(上)(2024年4月10日)で触れられている。「内面は主観、写実は客観ですが、どちらかだけでは存在しません。例えば、国木田独歩は“武蔵野”や“忘れえぬ人々”で、風光明媚な名所や記憶に残る人物ではなく、なんでもない風景や人々を描写します。これは、実は、風景の描写を通じて、自らの孤独な内面を表現しているのです。独歩の描いたような‘風景’は、目の前にあるものをそのまま描いているようでありながら、実は自分の内面を託したものです。」とある。
荒野の狼
2024/04/20 16:58

この視点で、「武蔵野」と「忘れえぬ人々」を読むと、両作とも情景が丁寧に描写されており読み応えがあるが、主人公の内面が情景描写から感じられるのは「忘れえぬ人々」である。「武蔵野」の情景描写は客観的であり、本作に描かれた武蔵野の風景は現在はほとんど残っていない。両作品とも、農夫などの登場人物が風景に溶け込んでいる点は共通しているが、「忘れえぬ人々」では、風景にも人物にも、語り手(作者)が共感して本人も溶け込んでいる感がある。

荒野の狼
2024/04/20 16:58

これに対し、本作では、他者に対する共感はなく、むしろ人物を風景の一部として描くことで、その人物を物として卑下しており、人格をもった個体としてのリスペクト・共感が欠けている。「武蔵野」は1898年1-2月の発表で「忘れえぬ人々」は同年の4月の発表で、数カ月で作品の深みに差がでているのは興味深い。

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2024年4月にナイスが最も多かったつぶやき

荒野の狼

2024年3月の読書メーター 読んだ本の数:15冊 読んだページ数:2901ページ ナイス数:877ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/1124113/summary/monthly/2024/3

宵待草
2024/04/01 15:27

荒野の狼さん こんにちは 何時も、良書のご紹介&レビューを有り難うございます!🙋 4月もどうぞ、宜しくお願い致します!💫 宵待草

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2024年4月の感想・レビュー一覧
6

荒野の狼
「新版古寺巡礼奈良」シリーズ全十巻の第四巻は西大(さいだい)寺。本シリーズの一番の魅力は建築・寺宝などのカラー写真が掲載されている点で、本書も64ページが掲載。巻末に境内図を含む3枚のマップがあり、建物の位置と実際の写真を見比べるなどすると実際の訪問の予習・旅の思い出に重宝。p29で紹介されている釈迦如来像内の納入品のひとつの悲華経(ひけきょう)は、保存状態が悪く未だに未開披p123とのこと。
荒野の狼
2024/04/21 23:36

余談になるが、2024年に私は西大寺を訪れたが、四王堂の受付が閉館30分前にも関わらず「所用」のため不在中に扉を閉めてしまい拝観できないようにするなど不親切かつ理不尽な対応であった(この受付の人物の「所要」とは、本堂の人物との立ち話であったので呆れる)。

荒野の狼
2024/04/21 23:36

また、西大寺の見どころのひとつに東塔跡(表紙とp17-19に写真)があるが、これは消失した五重塔の礎石。「西大寺文学散歩」にも書かれているように、以前はこの塔跡に立ち入ることが人気であったp110,p7が、現在は柵で囲まれており立ち入ることができないp9。私は、これまで多くの寺社を訪れてきたが、礎石を立ち入り禁止にしている寺は記憶がない。西大寺には、サービスの向上に努めて欲しいところ。

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荒野の狼
本作については、朝日新聞連載の柄谷行人回想録「私の謎」日本近代文学の起源(上)(2024年4月10日)で触れられている。「内面は主観、写実は客観ですが、どちらかだけでは存在しません。例えば、国木田独歩は“武蔵野”や“忘れえぬ人々”で、風光明媚な名所や記憶に残る人物ではなく、なんでもない風景や人々を描写します。これは、実は、風景の描写を通じて、自らの孤独な内面を表現しているのです。独歩の描いたような‘風景’は、目の前にあるものをそのまま描いているようでありながら、実は自分の内面を託したものです。」とある。
荒野の狼
2024/04/20 16:58

この視点で、「武蔵野」と「忘れえぬ人々」を読むと、両作とも情景が丁寧に描写されており読み応えがあるが、主人公の内面が情景描写から感じられるのは「忘れえぬ人々」である。「武蔵野」の情景描写は客観的であり、本作に描かれた武蔵野の風景は現在はほとんど残っていない。両作品とも、農夫などの登場人物が風景に溶け込んでいる点は共通しているが、「忘れえぬ人々」では、風景にも人物にも、語り手(作者)が共感して本人も溶け込んでいる感がある。

荒野の狼
2024/04/20 16:58

これに対し、本作では、他者に対する共感はなく、むしろ人物を風景の一部として描くことで、その人物を物として卑下しており、人格をもった個体としてのリスペクト・共感が欠けている。「武蔵野」は1898年1-2月の発表で「忘れえぬ人々」は同年の4月の発表で、数カ月で作品の深みに差がでているのは興味深い。

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荒野の狼
「週刊朝日百科 日本の国宝」第8号は奈良県天理市にある石上神宮と天理大学で、両者は距離的に極めて近い場所に位置している。本書には冒頭に「山の辺の道」にある遺跡を中心とした概要が地図p4-233と写真で紹介されており、この最北部に近く位置するのが石上神宮と天理大学。最南部は三輪山と箸墓古墳であり、こちらも空撮写真二枚p4-246によって示されており、この地域の山々との関係なども含めて理解できる。
荒野の狼
2024/04/12 23:09

「日本の国宝」シリーズの特徴として、国宝が所属する施設を簡単に紹介し、次に国宝そのものを丁寧に写真入りで解説している。石上神宮は、1)七支刀p4-238,失われた大寺院・内山永久寺p4-245の拝殿を移築した2)石上神宮摂社出雲建雄神社拝殿p4-250とp4-231(見学できない拝殿内部の写真が貴重),3)石上神宮拝殿の三つの国宝を解説。天理大学は天理図書館と天理参考館の紹介p4-252と図書館の所蔵する日本書紀神代(じんだい)巻(表紙とp4-256)など複数の国宝の書物を紹介している。

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荒野の狼
国木田独歩の10分ほどで読了できる短編。朝日新聞連載の柄谷行人回想録「私の謎」日本近代文学の起源(上)(2024年4月10日)によると、「内面は主観、写実は客観ですが、どちらかだけでは存在しません。例えば、国木田独歩は“武蔵野”や“忘れえぬ人々”で、風光明媚な名所や記憶に残る人物ではなく、なんでもない風景や人々を描写します。これは、実は、風景の描写を通じて、自らの孤独な内面を表現しているのです。
荒野の狼
2024/04/10 22:45

そして、本作の最終盤では「(彼らは)われと他と何の相違があるか、みなこれこの生を天の一方地の一角に亨(う)けて悠々たる行路をたどり、相携えて無窮の天に帰る者ではないか、というような感が心の底から起こって来てわれ知らず涙が頬をつたうことがある。その時は実に我もなければ他(ひと)もない、ただたれもかれも懐かしくって、忍ばれて来る。僕はその時ほど心の平穏を感ずることはない、その時ほど自由を感ずることはない、その時ほど名利競争の俗念消えてすべての物に対する同情の念の深い時はない。」としている。

荒野の狼
2024/04/10 22:45

上記の感じ方・思想は東洋宗教の「梵我一如」の境地に近い。すなわち、自分も自然にあるものも(小石にいたるまで)、宇宙の一つであり、一方で全宇宙(=神)=自分である。そこに、自他の区別はなく、この境地は様々なジャンルでマインドフルネス、ニルバーナ、涅槃、悟りなどとされるものに等しい。ひるがえって、情景描写=人物の内面とする場合は、対象の人物がすでに梵我一如の境地にある程度達している(自然と一体化している)と考えることもできるだろう。

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荒野の狼
「グラフィック・バイオグラフィ チェ・ゲバラ」は、アメリカの漫画家スペイン・ロドリゲス(1940-2012)が2008年の著作(日本語訳の本書は2009年発行)で、ロドリゲス晩年の作品。チェ・ゲバラの少年時代から死までが描かれており、チェ・ゲバラの入門書としてよい。本書には写真は掲載されていないので、私は本書を「フォト・バイオグラフィ チェ・ゲバラ(原書房)」と併せて読んだが、両者は、それぞれが欠けている部分を補足するような役割となり理解が深まった。
荒野の狼
2024/04/09 23:38

特にチェ・ゲバラの人間的な魅力は、実際の写真と言葉が豊富に掲載されている「フォト・バイオグラフィ」がないと伝わりにくいが、同書は、年表が記載されているもののチェ・ゲバラの人生の流れは追い難い欠点がある。

荒野の狼
2024/04/09 23:38

本書のあとがき「チェ・ゲバラ 偶像と実像」はサラ・シードマンとポール・ブールによるものだが、チェの肖像が後の様々な国の運動に及ぼした影響や、チェの「新しい人間(人民解放のため、愛し、生き、必要とあらば命をかけることもいとわない階級制度の抑圧から解放された現代に生きる人のことp104」という理念を紹介しており、優れている。

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荒野の狼
「フォト・バイオグラフィ チェ・ゲバラ The Che Handbook(MQ Publications)」は、2003年発行のチェ・ゲバラの写真集で、彼の名言が大きな字で写真の横に掲載されているため絵本のような印象をうける本。基本的に、本書はチェ・ゲバラの幼少の頃の写真から死までの白黒写真に短い説明が付される体裁であるが、最終章はチェ・ゲバラの肖像が使われたアート作品なども紹介。また、複数のチェ・ゲバラゆかりの人物の数ページのインタビューも掲載されている。
荒野の狼
2024/04/09 23:36

(チェ・ゲバラ)僕は1日16-18時間働き、できる場合は6時間眠る。が、そんな睡眠時間はなかなかとれないね。p184 (チェ・ゲバラ)世の中で不正がおこなわれるたび、怒りにうちふるえるという人は、われわれの同志だ。p203 (チェ・ゲバラ)われわれは国を導く責任を負ってきた。しかし、われわれが退くべきときに、退かなければ、仕事は完成したとはいえないのだ。われわれの後を継ぐ国民を作ることが、きみたちの義務でもある。p253

荒野の狼
2024/04/09 23:36

「新しい人間」。思想が、これまでとは違う社会行動へと変化する。p265 フィデルへの手紙。革命では(それが本当の革命であるならば)、勝利か、さもなければ死しかない。、、、、最も神聖な義務、どこにあろうと、帝国主義と戦うという義務をまっとうしたいという思いだ。p315 子供たちへの最後の手紙。世界のどこかで誰かが不正な目にあっているとき、いたみを感じることができるようになりなさい。これが革命家において、最も美しい性質です。p360

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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2020/04/18(1488日経過)
記録初日
1984/08/04(14529日経過)
読んだ本
1317冊(1日平均0.09冊)
読んだページ
312305ページ(1日平均21ページ)
感想・レビュー
1317件(投稿率100.0%)
本棚
0棚
現住所
大阪府
外部サイト
URL/ブログ
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自己紹介

Amazonのレビューは2009年くらいから投稿しております。本の長めの感想は、アマゾンの「荒野の狼」の上記URLをご参照ください。本職は医学部で微生物学・免疫学・神経難病などの教育・研究をしております。現在は大阪在住ですが、アメリカで21年間医学教育・研究をしておりました。職場のURLは以下です。
https://www.med.kindai.ac.jp/microbio/

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