2024年2月の読書メーター 読んだ本の数:8冊 読んだページ数:1315ページ ナイス数:474ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/1124113/summary/monthly/2024/2
荒野の狼さん こんにちは 何時も私の知らない興味深い良書の、ご紹介&詳しいレビューを拝見するのがとても楽しみです!🍀 有り難うございます!🙋 3月もどうぞ、宜しくお願い致します!💫 宵待草
本書では、主人公はハンセン病患者に対し、おもに外見から差別意識を強く持っている(本書では差別的用語が頻出するので注意を要するが、この部分は登場人物の主観として読むのが適当)。ところが、共産党の同志であった人物がハンセン病となって服役しているにも関わらず信条を曲げない姿勢を見て、身体は病気によってダメージ(皮膚病変、感覚障害など)をうけていても「じつに偉大なる勝利者なのである」として、畏敬し羨望するに至る。
執筆当時は、社会的には治安維持法により言論の自由が制限されており、ハンセン病にも結核にも治療薬は発見されておらず不治の病とされていた。当時の社会背景、差別意識、患者および共産主義者の刑務所内での隔離の様子が記載されているという点でも重要。島田は、「黎明」で部落差別についても執筆しているが、当時、ハンセン病や部落差別に関する作品が極めてすくなかった時代に、これらを題材にしている点は高く評価できる。
本書では、主人公はハンセン病患者に対し、おもに外見から差別意識を強く持っている(本書では差別的用語が頻出するので注意を要するが、この部分は登場人物の主観として読むのが適当)。ところが、共産党の同志であった人物がハンセン病となって服役しているにも関わらず信条を曲げない姿勢を見て、身体は病気によってダメージ(皮膚病変、感覚障害など)をうけていても「じつに偉大なる勝利者なのである」として、畏敬し羨望するに至る。
執筆当時は、社会的には治安維持法により言論の自由が制限されており、ハンセン病にも結核にも治療薬は発見されておらず不治の病とされていた。当時の社会背景、差別意識、患者および共産主義者の刑務所内での隔離の様子が記載されているという点でも重要。島田は、「黎明」で部落差別についても執筆しているが、当時、ハンセン病や部落差別に関する作品が極めてすくなかった時代に、これらを題材にしている点は高く評価できる。
ところが、読者の中には、こうした労働者の資本家による搾取の現実などは、実生活で経験的に共感するところがないと「資本論」自体に興味が起こらない可能性がある。本書は、そうした読者のためともいってよい内容で、工場で酷使される肉体労働者の状況や、金儲けのためには搾取を良しとするかで悩む工場経営者、そうした悩みなど一切なく利益を積むことのみを考える資本家らが登場し、問題意識を読者に受け付ける材料は揃っている。
主人公にからむ家族や幼馴染の女性なども登場し、読後も完結して印象は薄く、「続・資本論」を続けて読みたい気持ちを起こさせるエンディング(ただ「続・資本論」では登場人物の数は少なくなり、幼馴染も登場しないなど「まんがで読破 資本論」のストーリーの完結を求める読者には物足りないものになっていることをお断りしておく)。
登場人物は、前作と主人公らは同じであるが女性陣は登場せず、前作からのストーリーが完結した印象は薄いのが残念。原作の「資本論」を読む前に、実際に関連した内容を物語の形で読んでおくと、原作を読むモチベーションと理解の助けになる。
登場人物は、前作と主人公らは同じであるが女性陣は登場せず、前作からのストーリーが完結した印象は薄いのが残念。原作の「資本論」を読む前に、実際に関連した内容を物語の形で読んでおくと、原作を読むモチベーションと理解の助けになる。
本書では実際に円空の作品が作画されており、円空展のカタログと対照するのも楽しい。本書に掲載の円空作品で円空展に出品されたものは以下(ページ番号は円空展の図録のもの)。大般若経の見返し絵p39,金剛力士(仁王)立像(吽形)(岐阜県・千光寺p80)、八大龍王像(岐阜県・千光寺p97)、善財童子立像(岐阜県・神明寺p114)、十一面観音菩薩及び両脇侍立像(岐阜県・高賀神社p122)、円空の墓所(岐阜県・関市p124)。
なお、円空の漫画に里中満智子(構成)と木村直巳(作画)による「円空 魂の形を求めつづけた旅人」があるが、ここには、本展覧会に出品された複数の作品や円空の墓が作画されている。
荒野の狼さん こんばんは 『円空』の展覧会を観賞され、良かったですね!🍀 生涯に12万駆の造像を成したとも云われる、円空仏像からは温かいものが伝わって来ます!💫 何時も、有り難うございます!🙋 宵待草
kamakama さんコメントありがとうございます。逢坂さんの新作は未読ですが、「同士少女よ」は読みました。本書の翻訳者の弟だけにメッセージに共通するのは納得です。戦争を代表とする社会問題に、自分が直接関係しないものも含め、声をあげていく事が大切だと思います。それには、まず関心を向けること(例 本書のような本を読んだりして情報を得たり)、それに対して自分の意見を発信していくこと(例 読書メーターへの投稿)が、一般市民が出来ることだと思います。kamakama さんは、既に 声をあげておりリスペクトします。
読メへの投稿が声を上げることになる、というふうにはまったく考えておりませんでした。そうですね。その方法がありましたね。勇気をいただきました。ありがとうございました。
内容は第二次世界大戦の中でも独ソ戦の話で、ソビエトの少女が狙撃手となり、息詰まるアクション、同僚の女性狙撃手チーム内の友情、戦争の悲惨さが語られる。本書には、登場人物のひとりが戦後に(後にノーベル賞を受賞する作家)スヴェトラーナ・アレクシェーヴィチに「戦争は女の顔をしていない」という題名の本の執筆にあたって取材を申し込まれる逸話があるp476。実際は、本書の著者である逢坂冬馬が、「戦争は女の顔をしていない」を読んで、本書の執筆を構想したということになる。
本書のユニークな点は、ボクサーの名前とニックネームを併記していること。ただし、ニックネームの解釈は誤りと思われるものが多いので注意。たとえばジャック・デンプシーは「Manassa Mauler」と呼ばれたが、これを「マナッサ(デンプシーの生まれた町の名)の殺し屋」と訳するのは間違いで、Maulerは「大きなこぶし」という意味と本書には書かれているp159。しかし、Maulerとは「Maul(叩き壊す)する人」という意味が一般的であり、「殺し屋」と訳するのは、むしろ、こなれた訳と言える。
本書の魅力のひとつは、ボクシング史を世界史にからめて書かれていること。たとえばベルリンオリンピックの時には、ドイツ政府はナチスが弾圧していたヘルマン・ヘッセやトーマス・マンなどの書籍を大会期間中に店頭に並べたp247といった話は興味深い。ただし、ベトナム戦争の記載で「北ベトナムがアメリカ軍駆逐艦に攻撃を仕掛けたトンキン湾事件p415」とあるが、事件はアメリカのでっち上げであることが歴史的にわかっているので、こうした歴史誤認は本書の改定の時は訂正が必要。
このデビュー戦の試合を見た観客の一人を描いたのが「テーブル、はしご、椅子」。「オレンジアナウンサー失踪事件」は台湾で放映されているアメリカのプロレスWWEの番組の中国語の実況アナウンサーが降板した話で、このアナウンサー自身がアマチュアのプロレスラーだったという短編。「パジロ」では、台湾の人口の2.4%を構成する原住民族出身のレスラーの話でマスクに関する話が、前半のマスクのオークションの話へと繋がっていく。
本書の最後に掲載されている短編は「青い夜行列車」で28ページの作品。主人公は台湾のインディのプロレス団体の元覆面レスラーで自分が怪我をした時の試合について語る。試合の内容は、裏話もふくめてリアルで楽しめる。また、この短編で「タイガーマスク」に登場する二代目タイガーマスクのマスクがどこから来たのかが判明し、二つの短編の世界がつながる。
本書では、「現代へのメッセージ」は高山寺山主の小川千恵により、読み応えがある。明恵上人のことば「人は“あるべきやうわ”の七文字を持つべきなり。悪事をなす者も、あるべき様にそむきて、まげて是をなす。此の七字を心にかけて持たば、敢て悪き事有べからずp86」とは、「自分はいかにあるべきかという問いかけは、人として生きていく上で、たえず思いあたるはずのもので、こうした問いかけをしなくなるということ、それは、人であることの放棄にひとしいp84」と説明。
さらに、「あらゆる悪事、不都合は“あるべき様を背く故”もたらされる。問題は、あるべき様が見失われた中で、いかにあらためてこの問いかけを、各人の中に息づいた、現実に即したものとして再生するかp85」。明恵は、護持されるべき約束事を細かに記しているが、これは、「それだけその時々の自らのふるまいをかえりみて、一つ一つの所作もないがしろにすることがなかったということp90」と解説している。
Amazonのレビューは2009年くらいから投稿しております。本の長めの感想は、アマゾンの「荒野の狼」の上記URLをご参照ください。本職は医学部で微生物学・免疫学・神経難病などの教育・研究をしております。現在は大阪在住ですが、アメリカで21年間医学教育・研究をしておりました。職場のURLは以下です。
https://www.med.kindai.ac.jp/microbio/
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こんにちは。本書と「戦争は…」、そして姉の件を解説するレビューは必要かと思います。📚️ひとつ指摘を。【逢坂冬男】は【冬馬】でしょう。
内容は第二次世界大戦の中でも独ソ戦の話で、ソビエトの少女が狙撃手となり、息詰まるアクション、同僚の女性狙撃手チーム内の友情、戦争の悲惨さが語られる。本書には、登場人物のひとりが戦後に(後にノーベル賞を受賞する作家)スヴェトラーナ・アレクシェーヴィチに「戦争は女の顔をしていない」という題名の本の執筆にあたって取材を申し込まれる逸話があるp476。実際は、本書の著者である逢坂冬馬が、「戦争は女の顔をしていない」を読んで、本書の執筆を構想したということになる。