■『論語』の「子曰く、古の学者は己の為ににし、今の学者は人の為にす」(憲問第14-25)の意味にようやく納得がいった朝■ヒントは、フランクル、柳宗悦、ブレイク■しかし現代においての実行は、ちょっと度胸がいる■いや、きっと現代でない過去においても、誰しも機を見極める瞬間があるのであろう。自分への宿題■こうして自分の中の「何か」が首をもたげるときが、これまでの人生で幾度かあった…ギアチェンジ/次の行動への予兆なのです■よく耳を澄まそう。
(知った経緯)■手元にある、平岡武夫訳注の集英社全釈漢文大系『論語』の訳と解説がわかりやすく好きなので、「平岡武夫」の名前でアマゾンを検索したところ、同氏が訳した本書『歴史小品』にたどり着いたもの■たしかに本書も訳がとても読みやすいです■1刷は1981年ですが、今般ゲットしたのは2022年の岩波文庫27点一括重版。
ちなみに、『一切れのパン』のフルバージョンはこちらに収録。 https://bookmeter.com/books/1430472 両者読み比べてみましたが、教科書版は全体の70%以上かつ重要なところを収録しているので、これで充分そうです。
「一切れのパン」■最後の方で巡察兵と下士官に呼び止められた主人公が身分証を見せながら「マトローズ」と言って自分が水夫であると主張するシーンがある■この「マトローズ」について、オリジナル翻訳の注釈は「ドイツ語で水夫」とあり、こちらの光村版には「ハンガリー語で「水夫」のこと」としている■この後の展開は、この台詞を言われた下士官と巡察兵がドイツ語の身分証をもみながら「こりゃドイツ人じゃないか」という■Matroseはドイツ語だし、オリジナルの注釈の方が話しが通るのだけど、なぜ光村版の注釈は修正されたのだろう?
『虫めづる姫君』の現代語訳タイトルは『あたしは虫が好き』。わたしじゃなくて「あたし」■ナウシカのモデルの一つで名前は知っていたのでした■姫君…「人はすべて、つくろふところあるはわろし。」(本書の訳「人間っていうものは、取りつくろうところがあるのは、よくないよ。自然のままがいいんだよ。」)…いつの時代もそう考える人はいたのですね。
■p.80-81の、ヘタに書くことの難しさ関する著者の経験の記述はとても鮮やか。読んでいてドキッとした■立川談志になくて、春風亭昇太にあるのが「フラ」という説明、よくわかる。才能とは「ウマい」軸で優れている・秀でているだけではない、ということが良く伝わってきました。
■読んだきっかけ:先に読了した浜崎洋介『ぼんやりとした不安の近代日本』の引用に興味をもって■わかったのは、その浜崎の書は、この福田の講演での問い掛け(歴史に学ぶこと)を自分なりに展開した書でした。浜崎は自著を「近代日本精神史」と読んでいるが、この福田の書に出てくる言葉そのもの■福田恆存の宿題をしっかりとやったのだ、という愛情を感じました。
つい先日映画『オッペンハイマー』を観てきたばかりだったので、第7章に出てきた「エネルギーは動いているものからしか発生られないという常識を完全にくつがえし、原子のような小さいとまっている物体でもとてつもないエネルギーをもっていることを発見したわけです。この式(E=mc^2)がなければ原子力爆弾は落ちなかったのです」p.222 のくだりが感慨深い。その直後に「原子力の平和利用が進められた結果、(…)総発電量の三割が原子力に負っています」と誇らしげな記述があるのが、3.11以前の書籍であることを感じさせます。
■それまで依拠していたものを喪失すると、必ずその「穴」を埋めようとする「何か」が繰り返し出てきます…穴ができると埋め何かが出てくる、というパターンは覚えておかなければ■現代も、かなりパラダイムが崩れています…バブル崩壊、日本的雇用の終焉、世界における日本経済の競争力低下、新自由主義の弊害と資本主義の危機、米国一強体制の崩壊、ポピュリズムと権威主義の台頭…とかなり大きな穴ができそうです。ということは、ここでまたこの「穴」を埋めようとする思想が出てくるはず。そのように目を凝らしてみておかなければ。
「書籍を離れて読書を論じている閑に、先ずは書籍に向って突進せよというのが差し当り親切な忠告である」(p.3)⇒いてて。はい、読書論に関するものはこれくらいにしておきます!(笑)
■「現在の日本の慣習や文化は、どこから来ているのか、何でそうなったのか」に興味があり、その探求のための読書が中心です。そこに関連する、軽めの宗教・哲学・社会科学・評論書が多いです。仕事柄、ビジネスも時々。
■生業は人材開発・組織開発を中心とした行動変容と組織パフォーマンス向上。でも、あまりがつがつしていない、マイペース屋です。
■本当はロックとジャズと美術が大好き。昔の中国の文人たちのような生活にあこがれています。The Whoが大好きで、ライブ遠征のためだけに英米に行くこと10回近く。
■ハンドルネームは、大学院と修了年から。
【2024年5月メモ(自分用)】
以下はちゃんと読もう。
・オルテガ・イ・ガセット「大衆の反逆」
・ルース・ベネディクト「菊と刀」
・ロジェ・カイヨワ「戦争論」
【2024年読書課題メモ】
■課題①「ブンガク」:子供の頃から国語が苦手で文学・小説を重視せずに生きてきてしまったが、今年に入って読んだ何冊からの学びでようやく小説を読む意味がみえた。
ということで2月以降、月一冊は、必ずメイチョあるいはコテンのブンガクなのです。
2月:銀河鉄道の夜(宮沢賢治)
3月:シッダルタ(ヘッセ)
4月:かもめ(チエホフ)
5月:ハムレット(シェイクスピア)
6月:こころ(漱石)
■課題②バルバロ訳「聖書」…新旧混在でゆっくり読み進めます
3月:マタイ、ヨナ書
4月:ヨブ記(+内村鑑三『ヨブ記講演』)
5月:ヨハネ福音書
6月:創世記
7月:使徒行録
8月:出エジプト
9月:ローマ人への手紙
10月:レビ記
11月:黙示録
12月:サムエル書
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