Audibleにて。途中何度も聴くのをやめようと思った。キミコさんとハナたちの生活が生々しく描かれていて、辛くてつらくて...素晴らしいナレーションがあだになった。文字で読みながら想像するのとはまた違って、心を直接掻きむしられるような感覚だった。文学としては素晴らしいと思うけど、今の私にはしんどかった。

ビストロ・パ・マル シリーズ3冊目。毎度こんなビストロ近所にあったら常連になりたいなぁ、と思いながら読む。飲食店で働く人々の具体的な仕事や気遣い・苦労もわかって、お仕事小説としても面白い。『コウノトリが運ぶもの』や『ムッシュ・パピヨンに伝言を』のようなフランス料理の知識を駆使した推理をしていくお話が特に好き。『タルタルステーキ』の話では、ちょっと嫌な気持ちにさせられたが、ドラマでは確か結末が違っていたような気がして、調べてみたらやはり違っていた。どちらかと言うと、私はドラマのお話の方が良かったかな。

SNSの怖さを描いた社会派サスペンス。一度標的にされたらもう逃れられないという恐怖はもちろんだが、それよりも平凡な自分にとっては加害者側になってしまう可能性の方が恐ろしかった。知らず知らずのうちに、フェイクニュースなどに踊らされ、拡散に加担してしまうかもしれない、いや、すでにしてしまったのではないか、誰かを傷つけたのではないか、など考えるとゾッとする。誰もが被害者にも加害者にもなりうる恐怖に震えた。

Audibleにて。途中何度も聴くのをやめようと思った。キミコさんとハナたちの生活が生々しく描かれていて、辛くてつらくて...素晴らしいナレーションがあだになった。文字で読みながら想像するのとはまた違って、心を直接掻きむしられるような感覚だった。文学としては素晴らしいと思うけど、今の私にはしんどかった。

『透明な夜の香り』に続く物語。やっぱりこの世界観すごく好き。今回洋館に雇われるのは男性。秘密の過去があるのがぷんぷん匂う。それでも朔さんの態度、話し方、物腰は同じでその独特な世界に引き込まれる。満は依頼人として来ていた持田にこだわり、関わり続ける。朔だけでなく、この持田との関係も自分自身を見つめるきっかけになったように思う。そして、朔と一香の繊細な関係もまだ続いていた。この先も気になる。ぜひ一日も早く続編を。

芥川賞受賞作ということで手に取ったが、「あらすじ・内容」にあるような『日本人の欺瞞をユーモラスに描いた現代版・バベルの塔』というのは残念ながら私の理解力ではわからなかった。ただ、主人公の建築家が自身の内なる検閲者を強く意識しながら言葉を選んで話をしたり、AIとの会話は興味深かった。この世界の行き着く先が気になった。

作家刑事毒島シリーズ2作目。相変わらずの毒舌と、感情をいっさい排除した観察眼と推理力に惚れ惚れ。今回は右や左の思想と政治にまつわる物語で、ちょっと苦手な分野だったけど、毒島さんがわかりやすく解説してくれたので勉強(？)になった。人に疎まれることも恐れず、毒を吐く毒島さんに憧れたりもする。そんな性格には何か理由があるんだろうか。その辺の背景も知りたい。

QRコードを読み取って音声聞いて全てがわかるという仕組み。斬新だけど、何が聞こえてくるのかわからず、再生ボタンを押すのに勇気がいった。結果、それほど怖くはなかったけど、大体わかったけど、ネタバレサイトで確認しないとよくわからない話もあった。全体的には面白い試みで楽しめた。たまにはいいかな。

読み終わって、ほぉ〜とため息がもれた。その人の体調も嘘も匂いで嗅ぎ分けてしまうほどの嗅覚を持つ調香士の朔と、兄との過去の記憶に縛られ動けなくなっていた一香。古い洋館と薔薇やハーブでいっぱいの庭。そこで秘密の香りをオーダーメイドで作っていく朔。その秘密を巡って物語は進む。日々の暮らしの中で、一香と朔の気持ちも変化していく。その様子が静かに、時にはスリリングに描かれる。文字だけなのに、本当に香ってきそう。この世界にいつまでもひたっていたかった。朔の紺色の声も聞いてみたい。続編もすぐ読もう。