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2024年4月の読書メーターまとめ

田中峰和
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感想・レビュー
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480ナイス

2024年4月に読んだ本
35

2024年4月のお気に入られ登録
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  • ぶぶ ひこ

2024年4月にナイスが最も多かった感想・レビュー

田中峰和
孤島での連続殺人の「十戒」に対して、本作は隔離された地下壕で起こる。視点人物の柊一は従兄の翔太郎と探偵役をつとめる。翔太郎が名探偵なら柊一は助手のワトソン。地震で密室となった地下壕からの脱出を図る10人。新宗教の基地であったことが判明するが、「方舟」のタイトルとも結びつく。巨石が入り口をふさぐという設定はしっくりこないが、翔太郎名探偵は、殺人犯の推理を展開するが、ポアロなどと同様、その過程で次々被害者が出てしまう。探偵役と犯人の立場が入れ替わる、最後のどんでん返しはさすがに驚いた。伏線回収も見事だった。
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2024年4月にナイスが最も多かったつぶやき

田中峰和

2024年3月の読書メーター 読んだ本の数:36冊 読んだページ数:12020ページ ナイス数:547ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/376379/summary/monthly/2024/3 小説:20冊、人文:15冊、随筆:1冊。長年、気になっていた「白鯨」を読んだ。小説なのか、マッコウクジラの博物録なのか評価に迷うが、著者の熱意は感じられた。中村文則の「列」は比喩小説で、作者の人生観を表現しているのだろう。多様な解釈ができる。

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2024年4月の感想・レビュー一覧
35

田中峰和
狩猟採集時代の方が、労働時間も短く栄養も豊富に取れていたので、農耕時代に比べるとはるかに幸福だったという説。食料がなくなれば移動する狩猟採集生活に比べ、農耕生活の収穫は気候に左右され、他のグループに追い出されれば、飢餓が待っている。農耕社会では部族間の争いで命を落とす確率が極めて高い。一部の共同体では3割を超える致死率だった。その日暮らしの狩猟採集民に対し、農耕民は未来を念頭に置いて食糧計画をたてていた。計画のために想像力が発達し、概念化すすみ征服や宗教などへと発展していった。それは不幸につながるのか。
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田中峰和
よほどのやなせたかしファンなのか、何度も「アンパンマン」を褒め上げる。Qアノンやディープステイトも頻出し、トランプ推しのネットユーザーを分析している。スマホ教とオウムの比較はおもしろい。スマホ教は宗教でもなく、教祖もいない。ネット民が信じたいことだけ見続け、自ら洗脳に向かっていくのだが、これはアルゴリズムの力。となると、アルゴリズムが信者を増大しているのが現代社会なのか。自民一強の時代を築いた安倍政権だが、彼の暗殺によって旧統一教会との癒着や裏金問題など数々の悪事が暴かれた。世直しのような暗殺事件だった。
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田中峰和
あの割腹自殺と自衛隊幹部室に置かれた生首の印象があまりに大きく、人生そのものが彼の作品だった三島由紀夫。代々、高級官僚の名家に育ち、頭脳明晰で早熟の秀才と謳われたが、小柄で体力もなく身体的なコンプレックスからは逃れられなかった。目立ちたがりの性格で、映画にも何度か出演。勝新太郎主演の「人斬り」では田中新兵衛を演じ、見事な割腹場面を残した。その数年後、鍛えぬいた体で自衛隊本部総監室に乱入し割腹に及んだ。身体鍛錬を始めた彼の行動は全て人生の結末を得る予行演習かのようだった。昭和の年号と同じ彼の歴史が終わった。
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田中峰和
21世紀初頭の高校生が学園紛争の時代を振り返る。68年は世界中が左翼思想の影響を受け大学が荒れていたが、早熟の高校生も真面目に体制批判していた。自民党が代表する保守勢力は18歳に選挙資格を拡げたが、この時代ならありえない。高校生も政治思想を持つ時代、学園祭のリーダーに祭り上げられた人物が退学になっていた。姉の指示で古典部を立ち上げた奉太郎は千反田の相談を受け当時の文集の謎をとくことに。60年代は素行不良ではなく政治かぶれが処分を受けていた。33年前の叔父の無念を知ることになったが、ハッピーエンドでもない。
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田中峰和
30代まで転職を繰り返した著者は、豊富な人生経験を経て直木賞まで受賞している。奇抜なファッションでバラエティー番組に出ていたのは30年もまえのことだが、最近はめっきり見なくなった。一時期、不登校の子どもたちに童話や絵本を読み聞かせる活動をしていたことが話題になった。久しぶりに世に出たのが関節リウマチと圧迫骨折によって車いす生活を送っていたこと。根っからの楽天家なのか、闘病生活の辛さを感じさせない。思い通りにいかないから、人生なんだという一定のあきらめ。腹を立ててもいいことはない。諦めないのはいいことだ。
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田中峰和
学術論文の書籍化なので、一般読者には縁遠い。本人がフィリピンのボクシングジムに長期取材するところは、ユニクロへの潜入レポートのようだが、経営陣批判ではなく明るい。パッキャオのような成功者になるには大谷選手のようなナチュラルな才能が必要だが、大半は貧しいまま若年期を無駄にする。社会学者ということもあり、ブルデューやハイデガーなどの引用もあって、よりエンタメ読み物から遠のく。小学生の息子にもジムに通わせるほどのボクシングファンなので、青白いインテリではなく、貧しいボクサーに価値観を合わせていて共感できる。
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田中峰和
拉致監禁事件の生還者フローラ・デインが女性刑事ウォレンの秘密情報提供者となって、一家4人殺害事件を追う。父親の違う3人の子を産んだ母はアルコール依存症で子どもは里子に出され、上の二人ロクシーとローラは苛烈な生活を送る。里親は金儲けが目的でキャパオーバーの人数を受け入れ、性加害を加える年長者ロベルトの犯罪に目をつむる。唯一の生き残りロクシーは逃亡を続け、容疑者としてウォレンが追い続けるが、ロクシーには別の目的があるようだ。育児放棄する親と弱者を食い物にする強者。ロベルトの殺害は納得だが、他の被害者は哀れ。
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田中峰和
このシリーズ中、登録数トップの太宰治。4度の自殺と2度の心中は作家として国際的にもトップか。5回目で死んだのだが、心中相手の山崎は本当に太宰を死なせたせいか、ファンの恨みを受けているのだろうか。SNSなどない時代だが、当時でも世間を大いに騒がせる人物だった。島内景二の評伝が、太宰の生誕から東大への進学、中退、女中との結婚など時系列で人生を追っていて学びがあった。彼の恋愛遍歴を源氏物語の登場人物に例えながらの解説もユニークで面白い。東大の名前が欲しくて簡単な仏文科を選んだ見栄っ張りの性格は彼の人生そのもの。
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田中峰和
「剣客商売」「藤枝梅安」「鬼平犯科帳」などテレビで時代劇がシリーズ化された昭和の時代が懐かしい。鬼平は江戸の特別警察として、犯罪への深い洞察が語られており、現代の警察小説にもつながる作品である。主人公の長谷川平蔵は妾腹の子と苛め抜かれて育った苦労人で、無頼たちと暴れまわる青年時代を過ごすという経験が彼の人物造形に影響している。ヒーローをいかに魅力的に表現するか、司馬遼太郎とは一味違う時代小説作家といえる。長年、長谷川平蔵役を演じた中村吉右衛門の甥松本幸四郎が、この役を映画で演じる。楽しみだ。
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田中峰和
8050問題は引きこもりの末期症状でもある。年金が潤沢に支給される親世代が働かない子どもを養い続ける。自分の死が近づくと扶養家族となった子どもの行き先が不安になる。数十年も引きこもった子どもは親の言うことは聞かないし、他人の力を借りようとする。結果として自立研修センターを名乗る悪徳業者が暗躍する。彼らは親の依頼を受け高額の費用を払わせ、引き出し屋となって拉致していく。親の依頼があったのを理由に、警察や行政にはタッチさせない。気の弱い被害者は業者の言いなりになって、餓死。戸塚ヨットスクールを思い出す。
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田中峰和
京都在住なので、麺類の名店を紹介する本書は役に立つ。たぬきときつねといえば、カップ麺を思い浮かべるが、京都と大阪、東京など地方によって別物になってしまう。関西と関東の汁の違いは色だけ見ても大違いで、関西人にとっては醤油色の出汁は苦手。たぬきの語源はエビ天の種にあたるエビを抜いているのでたぬきと呼ぶという説もある。京都には「きいしま」というそばがある。「きい」というのは黄色のことで中華そばをうどん出しで食べるメニューのこと。「しま」はそばの隠語らしい。一度食べたがリピートするほどの味ではなかった。
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田中峰和
ラジオでも宗教2世問題を長年取り上げている著者は、当事者からの相談も数多く受けている。それに加え、社会調査支援機構チキラボで行った千人を超える宗教2世当事者へのアンケート調査の結果が洗脳の恐ろしさを教えてくれる。仏教系の新宗教に比べキリスト教系のものは、洗脳が過激すぎて、親からの虐待がひどすぎる。輸血を認めず子供を死なせたエホバの証人の虐待は有名で、2世たちは子どものころから鞭で打たれる習慣があった。旧統一教会は、家庭と家族、教祖を重視し結婚まで文鮮明に委ねてしまう。解散命令は実現するのだろうか。
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田中峰和
孤島での連続殺人の「十戒」に対して、本作は隔離された地下壕で起こる。視点人物の柊一は従兄の翔太郎と探偵役をつとめる。翔太郎が名探偵なら柊一は助手のワトソン。地震で密室となった地下壕からの脱出を図る10人。新宗教の基地であったことが判明するが、「方舟」のタイトルとも結びつく。巨石が入り口をふさぐという設定はしっくりこないが、翔太郎名探偵は、殺人犯の推理を展開するが、ポアロなどと同様、その過程で次々被害者が出てしまう。探偵役と犯人の立場が入れ替わる、最後のどんでん返しはさすがに驚いた。伏線回収も見事だった。
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田中峰和
戦前戦後にかけてのNHKの名物アナウンサーのドキュメント的物語。戦中、双葉山の69連勝で敗退したときの名アナウンスで一世を風靡したが、戦後左遷され契約アナウンサーになった。当時の総裁と親しすぎたせいで、公職追放の影響を受けたとしか言えない。「話の泉」の司会によって国民的知名度を得た彼は、ヘルシンキオリンピックに派遣される。深酒で体調不良にかかわらず、2度とないチャンスと参加したのが死を早めた。40歳にしてボロボロの体。平均寿命が60歳の当時は、晩年だったのか。テレビの無い時代、声の仕事は重要だった。
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田中峰和
結婚を先延ばしにして恋人ベスと娘のエマとの3人同居はテロの頻発する北アイルランドでは危険すぎる。今回も、正義感が先走りすぎて、命を狙われるダフィだが、冒頭では拉致された場面から始まる。数々の難事件を解決しながら、責任を持たせてはいけない人材と烙印を押されたダフィは、いけ好かない後輩のディエルにも先を越されようとしている。クロスボウで殺されたドラッグディーラーの事件を追ううち、IRAの組織から命を狙われる。黒幕にようやく近づいたが、危険な相手。見事罠にかけて、逆転を果たすが、物事が好転し過ぎて裏がありそう。
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田中峰和
時代小説は日本史のパズルにピースを埋めていくようなもの。鎌倉幕府の消滅と室町幕府の誕生を初代の征夷大将軍足利尊氏、弟の直義、執事の高師直の3人を通して描かれる。教科書ではわからない、彼らの性格を見事な人物造詣でパズルが完成していく。この3人がそれぞれに足らない部分を補いながら、巨魁・後醍醐天皇が興した南朝に競り勝っていく。野心も定見もなく、惰弱な精神で弟と師直に頼りっきりの尊氏だが、その愛嬌と度量で部下に慕われる。2人の助けが得られないとわかると、勉学に励み急成長する中年の尊氏。極楽将軍の真骨頂である。
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田中峰和
先頃、裏金の使い道で5千冊本人に購入したことで有名になった本。国を守るとか偉そうなことを言っているが、私腹をこやすために政治家になったのが本音。50億円の使い道が不明で、挙句の果てに、厳しい記者の質問に「お前」や「馬鹿やろう」と吠える。よぼよぼで体が傾いて、一人では歩けない状態なのに、口だけは達者。母子を撥ね殺した上級国民がいたが、この男も収監してほしいものだ。安倍絡みの悪事が次々に暴露される昨今。違法賭博と窃盗罪で話題の元通訳の話も、安倍が後押しした万博と賭博場の件に絡んでくる。最長で最悪の政権だった。
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田中峰和
日本の建築は明治以降、西洋の影響を受け、追いつけ追い越せと金属とコンクリートなど硬いものを取り入れることに専念した。日本建築の良さを見直したのは西洋の建築家たちだった。ライトやコルヴュジェなど多くの建築家は木造の良さを世界に紹介し、日本の建築家も巻き込まれた。西洋建築が挫折し、日本の数寄屋を取り入れる建築家。日本の著名な建築家を並べると、東大建築科出身者が多い。都庁の設計で有名な丹下健三の弟子に黒川紀章や磯崎新など名だたる建築家が並ぶ。建築分野にまで及ぶ縄文と弥生。冷戦が日本建築の復興に寄与したようだ。
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田中峰和
元高校の地理の教師だった著者は、伏見で育った京都が地元の人物。京都の文化や祭に強い関心を持ってきた。10年以上も「京都とその周辺のまち歩きガイド」を開催してきた。その中からおすすめのコースをまとめたのがこの一冊。長年祇園祭の囃子方をしていたので、山鉾の楽しみ方にも精通している。観光で訪れた方向けには京都駅と西本願寺周辺のまち歩きがおすすめ。京都駅が今の場所にできたのは京都人には以外で、山科から九条山を越えて蹴上に入り、京阪三条あたりに駅ができてもよかったが、大津と大阪を直線で結び、今の位置に決まった。
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田中峰和
石見銀山が発見されたのは1309年。この物語は尼子から毛利、徳川へと天下の移る戦国の時代にあたる。大久保長安が銀山接収のため訪れ、その後、失脚。出雲阿国まで登場する。主人公は逃散農家の娘ウメだが、銀山の山師喜兵衛に育てられる。30を待たずに鉱毒に犯される男たち。喜兵衛を愛するようになるウメだが、彼は死に隼人の嫁になる。鉱山と病は密接にからみ、早死にした夫に代わり女たちは再婚、あるいは再々婚する。ウメの夫隼人も早逝し、龍と再婚する。社会保障など考えられない時代。彼らの生きがいは何だったのだろう。
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田中峰和
漱石は「女を書けなかった」と評する読者が多い。それは主人公の視点で空回りする男の思いを見事に描き続けたからだ。「三四郎」は進学のため上京し、美禰子に思いを寄せるが、彼女は「ストレイシープ」などと謎の言葉を残し本音を明かさない。後期三部作の代表「こころ」では親友Kを裏切って下宿先のお嬢さんと結婚し、自殺してしまう先生の話。彼の妻はKと先生のどちらが好きだったのか。女性はプロポーズを受けるだけの存在のように、彼女の本音は語られず見えてこない。というより見せようとしない。女性は永遠の謎として神秘的な存在なのだ。
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田中峰和
京都に数多く残る住所表示の琺瑯版。仁丹の商標が住所の下に描かれている。初期のころは上部に描かれていた。仁丹の文字の上にひげの紳士が描かれている。さらに古くは木製だったという。その木製のものに琺瑯版を被せている例もあるらしい。この仁丹の琺瑯版は昭和初期に設置されたものが多く、その後の戦争と密接に絡んでくる。焼夷弾による延焼を防ぐため、道路の拡幅が実施され住所表示が変わった影響も受けている。金銀銅や鉄などは戦時中、金属回収令によって回収されたが琺瑯は対象外とされたせいで、生き残ったという。今後も残ってほしい。
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田中峰和
前半は古代遺跡の写真や図解が多く、ピラミッド神殿などの巨大建造物に驚かされる。スペインの侵略前に衰退は続いていた。中央集権的な政権は侵略が始まる前に各地に小勢力が各地に割拠していた。それにしてもコルテスはたった500人の兵でアステカを征服できたのか。強大な政権はなく、反対派の部族の協力を得て連合軍を率いたコルテスは、テノチティトランを陥落させた。定説とされる伝染病の影響も忘れてはならない。コルテス軍はインディオの死体を踏まずに進めず悪臭は耐え難かったという。
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田中峰和
ノーベル賞なのにエロティック?というサブタイトルに違和感をもつ。文学とエロティシズムが結び付くのは当然のことで、この編集者の知見の低さに驚いた。エロティシズムと「眠れる美女」を結び付けているようだが、むしろこの作品からは女性を商品としてしかみられない差別しか感じない。「山の音」も女性への差別意識の強さがテーマになっている。主人公は息子の嫁と恋愛感情をもち、嫁も舅に対して同様の感情を持っている。息子が嫁と愛人に同時に妊娠させるという離れ業を演じるところが面白い。いまなら訴訟も当然だが、時代を感じる作品だ。
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田中峰和
学園ものホラーのようで現実的な話だから、さらに怖い。こういうスケープゴートを作って自分を守る人間は教師に限らず、会社や組織にも存在する。本音をいえば、この教師には死んでほしかったが、イジメた本人から救われる。おそらくこの教師はその後も、同じような行動をとるはずで、救われる必要がなかったと思うのは私だけだろうか。
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田中峰和
著者が人類の問題を宗教に絡めて考えるのは、彼自身がユダヤ人としての出自をもつことと関わる気がする。日本人の我々からするとそれほど宗教など真剣に考えないし、考えるのは新宗教に騙される人くらいである。データ至上主義というのは納得できるテーマだ。アルゴリズムによって、ネットに出てくるのは自分の趣味主張に繋がる者ばかりだし、違った意見には接しにくい。アルゴリズムは人を洗脳し、既に信仰の対象になっている。ゆえに新宗教とはAIであって、文学作品やアイドルの創造さえ可能にしている。ターミネーターの世界が待っている。
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田中峰和
戦争体験を書きたくて、続編を書くことにしたという。交響楽団のコンサートマスターの父と専業主婦の母のもと、裕福な家庭に育ったトットちゃんだが父は徴兵され、食糧難のなか疎開し、飢えを体験した。逞しい母は機転を働かせ、3人の子どもを育て、シベリア抑留された父が帰還する前に焼け出された家を再建する。多動児か発達障害のトットちゃんだが、テレビ界には適正があったのか、成功を収めていく。渥美清を兄と呼び、澤村貞子を母と呼ぶ。そんな交遊があった知人も次々他界する。百歳まで生きるといった彼女に、若い頃を共有する友はいない。
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田中峰和
吉本興業百年史編纂を担当しただけに、創業後の山口組との密接な関係にも詳しく触れている。中田カウス襲撃事件を起こすほどに暴力団と癒着していた創業者一族。TOBによって一族を一掃した後に、起こったのが例の島田紳助の引退とその会見。この会見を仕切ったのが著者だった。この本を読むきっかけになったのは、街録チャンネルのインタビューからだった。芸能界と反社との関係は深く、引退後の横山やすしの面倒をみていたのも山口組幹部だったのは有名な話。宮迫が会社批判した会見後、岡本社長が5時間に及ぶ会見。著者は後輩の岡本を蔑む。
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田中峰和
60歳を過ぎて独身、家庭をもったこともない中森氏。サブタイトルの通り、「人生をかけたアイドル論」である。関東財務局のポスターを見て、竹内結子に取材。彼女は初めて受けた取材という。アイドルを見出す目利きの力は半端ではない。東方シンデレラコンテストで何の賞も取れなかった上戸彩を推し、審査員特別賞に選んだ話。冒頭の篠山紀信夫妻との食事会の逸話も楽しめた。彼が定義するアイドル第1号の南沙織が篠山夫人という。山口百恵引退後、空位になったアイドル戦線には花の82年組が一気に参戦。彼の名の由来、中森明菜の衰退が悲しい。
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田中峰和
平家物語の冒頭にまで出てくる中国の裏切り者の名前。秦の趙高、漢の王莽、梁の朱异、唐の安禄山など、教科書レベルでは名前程度しか出てこないので、この本は理解の助けになってくれる。秦の趙高については、司馬遼太郎の「項羽と劉邦」の最初の章でも詳しく描かれているので有名。始皇帝が死んで悪臭を放っても隠し続ける場面は印象に残っている。さて、この裏切り者たちはほとんど、不幸な最期を迎えている。中国の権力者に共通するのは、取り巻きいわゆる外戚たちが権力を掌握していくこと。裏切り者たちは外戚を排除していく過程が見事だ。
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田中峰和
ユダヤ人への迫害はキリスト教が浸透して以来続いている。アジア人から見れば宗教差別だけではないような気がする。知能が高く医師や弁護士、銀行家など社会的立場の高いユダヤ人への劣等感の裏返しなのではないかと感じてしまう。迫害は職業資格にいち早く着手され、医師や弁護士の資格剥奪、次に大学からの追放へ、さらには土地家屋、財産まで奪ってしまうという徹底ぶりだった。ナチに歯向かう首相が追放され、オーストリアでの迫害は加速する。職業を奪われたユダヤ人に素手で道路を磨かせる虐待。ドイツで5年かけた弾圧を5日で実施したのだ。
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田中峰和
冒頭の登場人物のイラスト入り紹介がキャラの理解を助けてくれた。納税を苦に首吊り自殺をする主人を発見する妻のシーンから始まる。収税担当者からの厳しすぎる取り立てで自殺に追い込まれたと訴訟を起こす主婦。裏には弁護士の吹雪がいて、マスコミやデモまで税務署に押し掛ける中、肝心のトッカン鏡は行方不明。部下の鈴宮は吹雪にからかわれて立腹する。鏡の高校時代の同級生たちの協力で、自殺の原因が判明。ずる賢い妻の策略に乗せられていた弁護士もあきれる。解決したと思いきや、鈴宮の職場の先輩女子職員の裏の顔まで判明。楽しめた。
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田中峰和
朝日新聞の記者として活躍した著者による本書は、メディアとして何度か迎えた危機を振り返る。教科書問題と吉田証言問題、2つのスキャンダルは社長辞任にまで発展した。作家としても活躍した外岡秀俊は編集局長として内部革新に着手したが、改善されないまま退職していった。その後の安倍長期政権の問題点にも触れる。安倍一強の時代、メディアは抑え込まれ、彼の暗殺後、様々な問題が噴出してきたが、メディアの功績などほとんどない。一家離散に追い込まれた信者の親族の恨みが、安倍派の裏金問題まで暴露させたのだと思えてくる。
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田中峰和
古今東西、自分をよく見せようとするのは人の願い。だからといって、嘘はいけない。最近では大谷翔平の通訳まで学歴詐称していた。戦国大名はまさに勝てば官軍。勝利の結果、自分の出自を飾ろうとする。多いのは、出自を源氏と平氏あるいは藤原氏にする大名たち。黒田官兵衛は近江佐々木源氏を出自とする家系図を作らせている。家康は平氏から藤原氏に勝手に鞍替えしている。最も噴飯物は、秀吉に尽きる。足軽から百姓、薪売などどれも低い身分ばかり。兵農分離がされていない時代、境界線はあやふやなのも事実。出自を飾らない維新の英雄は偉い。
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田中峰和
残虐な犯行を続ける犯人の正体は探偵事務所の経営者。被害者はどれも善人とは言えない人物ばかりだが、それでも殺されていいわけはない。あまりに手際のよい犯行で証拠を残さない手口は警察を小ばかにしているようだ。犯人は警察に恨みを持つ元エリート刑事の箱崎だった。警官時代からチームプレイを無視する嫌な人物。捜査本部でコンビを組む玉川と館野刑事は絶妙チームワークで犯人を追う。玉川は50過ぎでも部屋長だが、捜査のベテランで、館野の指導役をつとめる。コイントスで昼飯をかけるのは黒川作品の刑事たちの常道。善悪の対象が見事。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2013/07/17(3942日経過)
記録初日
2013/07/17(3942日経過)
読んだ本
4524冊(1日平均1.15冊)
読んだページ
1430688ページ(1日平均362ページ)
感想・レビュー
4517件(投稿率99.8%)
本棚
16棚
性別
年齢
69歳
血液型
AB型
職業
営業・企画系
現住所
京都府
URL/ブログ
https://www.facebook.com/muscletanaka
自己紹介

図書館から借りての読書がほとんど。
したがって、書き込みはできません。

図書館中心なので、新刊の小説は人気がありすぎるので、
読みません。

京都と大阪の図書館を利用していますが、府立は学術書が
豊富で、京都市立は大衆的な書籍が多いのが特徴。

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