読書メーター KADOKAWA Group

2024年3月の読書メーターまとめ

田中峰和
読んだ本
36
読んだページ
12020ページ
感想・レビュー
36
ナイス
547ナイス

2024年3月に読んだ本
36

2024年3月のお気に入られ登録
1

  • akiakki

2024年3月にナイスが最も多かった感想・レビュー

田中峰和
23年ミステリランキング3冠達成は葛警部シリーズ。「崖の下」は既読だったので、結末が分っていたのに楽しめた。骨折して露出した腕の骨で殺害する執念。凶器が見つからない状況では迷宮入りしても仕方なかった。葛の執念が事件を解決。常に冷静で上司へのアピールは抑え、部下を無理に持ち上げない。淡々と捜査をこなすが、推理力は名探偵の実力。表題作は、連続放火事件がテーマ。被疑者候補から一人ひとり絞り込むうち、たどり着いた結論は。類焼を抑え、火災への警告をするのが目的だった。目的は理に適っていても、犯罪は犯罪。罪は重い。
が「ナイス!」と言っています。

2024年3月にナイスが最も多かったつぶやき

田中峰和

2024年2月の読書メーター 読んだ本の数:30冊 読んだページ数:10640ページ ナイス数:388ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/376379/summary/monthly/2024/2 小説:15冊、人文:13冊、漫画:2冊。12人の子どものうち、6人が精神を患うという「統合失調症の一族」はドキュメントだが小説以上の面白さだった。1冊で1200頁を超える「鵼の碑」、その重量に圧倒された。

が「ナイス!」と言っています。

2024年3月の感想・レビュー一覧
36

田中峰和
公安刑事の父親は家庭内では勤務する部署すら明かせない。幣原の勤務する公安はエリートで経済的にも優遇されるが、家族にすら職場の話題は禁句だ。大学院生の息子秀樹と高校生の娘可奈絵も幣原とはぎくしゃくしている。そんな中、秀樹がイスラム国にリクルートされ、幣原の同僚に逮捕されてしまう。テロリスト志願者が公安刑事の息子と知ったマスコミや世間は幣原家をテロリストの家と一斉攻撃する。軟禁状態の自宅から脱走した秀樹が何者かに殺害されて、幣原は犯人の操作に乗り出す。犯人逮捕後、事件の真相を知った幣原。タイトルが生きてくる。
が「ナイス!」と言っています。
田中峰和
無人島の連続殺人と探偵の種明かし。ミステリのクリスティの応用編あるいは進化系として楽しめた。百年前のクリスティと違って、スマホを使いこなす探偵役の綾川女史。彼女とペアで推理の協力をする里英は島の所有者の娘。孤島に一泊の予定で滞在する9人、最初の夜に1人目が殺害される。犯人からの伝言というより命令がタイトルの十戒。滞在する人々の命をあずかる神ともいえる存在が殺人者。大量の爆弾が殺人事件と関係ありそうで、殺されるのはテロ一味ばかりという展開。探偵役の綾川のスーパーレディぶりが徐々に明かされる。3人も殺すとは。
が「ナイス!」と言っています。
田中峰和
鴨長明の自伝らしき古文書が見つかったという前文。センセーショナルな出だしはいかにも映画監督の演出だ。作者不詳とされる「平家物語」だが、鴨長明を作者とするのは無理がある。平家の滅亡から源氏が台頭する経緯に重ねて自分の鬱々とした生涯を記す長明だが、頼朝が義経を滅ぼす悪だくみを語るにしてもそこに作家としての客観性はない。下鴨神社の禰宜の次男として生まれた長明だが、長男の死後も後を継げなかった。その怒りを和歌にぶつけたようで、歌人としては認められている。欲求不満をちとせという女性にぶつけるなど生臭い人生だ。
が「ナイス!」と言っています。
田中峰和
おちかから聞き手を引き継いだ富次郎だが、謙虚な性格から自信がもてず相手に遠慮してしまう。次男で店を引き継ぐこともないせいか、いまだに商売にも専念できず、絵師の夢が忘れられない。不思議な話の聞き役として、語られる話を絵に描いてきた富次郎だが、第三話の「自在の筆」では絵師の夢を断ち切ろうとする。古道具屋に筆を預けた絵師の話を聞いて、中途半端な自分が遊び半分で絵師を目指すのは間違っていると考えたからだ。内容的には第四話の「針雨の里」が感動的。人々の思いを込めた紙の人形が村を起こし、火山と雨で滅びる悲しい話。
が「ナイス!」と言っています。
田中峰和
「いもぼう」といえば、円山公園の平野屋本店。海に面していない京都では乾燥させたタラの身は貴重な海の幸で、それを海老芋と炊き合わせた京料理の定番。松本清張の「顔」では、刑事が高級料理のように話すが、それほど高額なものではない。庶民が楽しめる料理のひとつ。この小説では平野屋の座敷で犯人と刑事が相席するようだ。犯人が目撃者をよびだしたのが東京と九州の中間点である京都だった。地理的な中間は、料理でも中間に位置するのかもしれない。地方から見て京都らしい料理として選んだ「いもぼう」が、犯人との遭遇を生んだという話。
が「ナイス!」と言っています。
田中峰和
1964年に刊行された「古代文字の解読」が元本だが、60年後の今年、講談社学術文庫として復刊されたのが本書。失われた文字の解読という難解なテーマを一般の読者にわかりやすく解説したものとされるが、それでも難しい。漢字のような意味をもつ文字体系を表意文字とされるが、本書で紹介されるエジプト聖刻文字、ヒッタイト楔形文字なども表音文字に分類される。人間が文字を使用しはじめたのは紀元前3000年代中ごろのこと。表意文字として始まった文字体系は前13世紀ころのフェニキア文字によってアルファベット体系へと進化していく。
が「ナイス!」と言っています。
田中峰和
東京オリンピックはコロナ禍で1年延期されたが、パンデミックが治まらず開催の賛否が国を二分した。結果よければ全てよしとされ、オリンピックの意義など誰も考えないようになった。マスコミの過剰な報道で選手は疲弊し、練習や競技に専念できない現状を考え直させるザ・ゲームという大会の開催がテーマになる。マスコミをシャットアウトする趣旨に納得できないスポーツ記者の菅谷がこの大会を徹底的に追いかける。先のオリンピックで電通などの大手企業6社が不正入札をしたのは事実。選手無視の不正がまかり通る。スポーツと経済は切り離せない。
が「ナイス!」と言っています。
田中峰和
教師が生徒にユダヤ人差別を助長する逸話を語り、民族への嫌悪感をもたせる。童話としても差別を教えるナチの戦略は恐ろしい。ヴェルナーたちのエーデルヴァイス海賊団はヒトラー・ユーゲントに対抗する少年少女のレジスタンス集団。鉄橋で列車から逃れる場面はスタンドバイミーのようでハラハラさせる。収容所での捕虜やユダヤ人への残虐な扱いを目撃したヴェルナーたちは、護送列車の妨害のため鉄橋とトンネルの爆破を計画。敗戦直前のドイツで何が起こったのか。ヴェルナーを愛するレオの複雑な純情。同性愛への無理解もテーマの一つ。
が「ナイス!」と言っています。
田中峰和
日比谷高校を飛び級できるほどの秀才だが、貧しく東大を学費滞納で退学。50年にわたる作家生活だが、太宰や芥川に比べると女性読者に不人気の谷崎。エロスへの傾倒が原因のようだが、男女間の機微を描くのに私生活を交えたからなのか。名作長編「細雪」の4姉妹は3度目の妻松子の実家をモデルにしている。関東大震災を機に関西に移住した谷崎は、作品の舞台を関西に移し見事に成功している。東京人には馴染みにくい関西弁だが、老舗の姉妹を描くためにも徹底的に言葉にもこだわった。わがままに結婚離婚を繰り返したが、松子への純愛は尊い。
が「ナイス!」と言っています。
田中峰和
第6章「近代社会の編成基盤としてのジェンダー」が面白い。ヨーロッパ近世では、イングランドのエリザベス1世、ハプスブルク家のマリア・テレジア、ロシアのエカチェリーナ2世など女性が支配者として君臨した。フランスのルイ14世は幼少期、母后が摂政となって政治を司っていたせいか、成人後の肖像画が女性以上に華美で笑える。長髪で華美なマントで身を包み、足はストッキングにハイヒール。貴族は戦う役割なのに、彼のファッションはジェンダーレスそのもの。その後、国民国家への移行により、王や貴族は軍服を着た。服装の変化も著しい。
が「ナイス!」と言っています。
田中峰和
著名な文豪の書いた文学作品を通して、京都の桜と庭園を紹介する。著者は大学教授だけに知的探求心を満足させてくれる。子規との友情がよほど深かったのか、漱石は下鴨神社「糺の森」で心の寒さを覚える。谷崎潤一郎といえばエロス。「平安神宮」の紅枝垂れ桜にエロスの憧憬と拝跪を秘める。「細雪」では一家そろって大沢の池の花見を年中行事としていた。雪子とその姉妹の美しさと桜の絶景は見事な演出といえる。京都に来て漱石は子規を想う。英国留学中に亡くなった子規。「ぜんざい」の赤提灯を見て食い意地のはった子規を懐かしむ。
が「ナイス!」と言っています。
田中峰和
選挙で選ばれた議員による国会を廃止して、ランダムに選ばれた1000人の国民議員による政治が始まった。首相は直接選挙で選ばれるので政党は存在する。自民党のような与党と一度政権を取った民主党のような新日本党の争い。新日本党の総理北岡と民自連の宮川都知事は甥と叔母の関係だが、次期総理を狙う宮川にとっては政敵の関係。宮川はまるで小池百合子のようで笑える。現実でも小池は都知事選に出ず、衆議院に鞍替えするという噂。無作為に選ばれた議員では、今以上に官僚の思いのままの政治になるのは明白。国会を無くすのは無理がある。
が「ナイス!」と言っています。
田中峰和
人類は飢饉、疫病、戦争を克服しつつあるとする著者。とんでもない予告本。疫病は昨年までのコロナ禍、戦争はウクライナとガザで起こっている。この3つの問題を克服もしていないのに、不死や幸福、神性の獲得を目標とするなどありえない。テクノロジーの進化は宗教と両立するのだろうか。宗教とは社会秩序を維持して大規模な協力体制を組織するための手段であり、科学との隔たりはそれほどない。宗教は取り決めであるが、霊性の面では科学から大きく逸脱する。プロテスタントはカトリックに対する新宗教だが、その後も新宗教にすがるのが人間。
が「ナイス!」と言っています。
田中峰和
人と会話できるゴリラのローズが夫を殺されて訴訟を起こす。ローズの夫は動物園のゴリラパーク内に落ちた4歳児をひきずりまわしたことで射殺された。手話を憶え、発話装置で言語化できるローズはアメリカでも人気を得た矢先の事故だった。彼女は夫の無念を晴らすために動物園を訴えたのだ。ローズは敗訴するがプロレスプロモーターの誘いで、レスラーになる。その生活にも満足できず、再度裁判に訴えたローズ。今回は敏腕の弁護士ダニエルのおかげで勝訴。彼のゴリラも人間だとの主張は感動的で、ローズに反感をもつ陪審員まで巻き込んだのだ。
が「ナイス!」と言っています。
田中峰和
西仏には平家物語の作者という説がある。その西仏に源平の戦いがどのようなものだったか語る人は誰なのか。それは知盛の妻希子だった。希子は戦の真実と経緯を千年後の人々にも正しく伝えるように知盛に託されたのだ。戦に際しては圧倒的な強さを発揮する義経だが、頼朝の悪だくみには全く気付かない。それは史実として誰もが信じることだが、知盛が義経を呼び出してアドバイスをする発想は今村にしかできない。しかも、壇ノ浦の戦いでは梶原景時に義経は命を狙われる。そして、頼朝による希子への糾弾。荒唐無稽だが、これこそ時代小説の真骨頂だ。
が「ナイス!」と言っています。
田中峰和
人は快適に住むために、知らないうちに異次元の風景を作り出している。大量のエアコンの室外機がビルの外壁に所狭しと並ぶだけで、意図したかのようなデザインを生み出す。ある人は人工的過ぎて醜いと感じるかもしれないが、十分美しいと思う。ビルの外壁にそって蛇がうねるような形状のダクトは、内臓が露出しているようで不気味だ。身近にあるといっても、これらは都市の風景で、自然の中には存在しないもの。一方、自然を制御するために、加工された絶景もある。水を制御するダムは自然物と人工物の境界に現れた美しいコントラストを生み出す。
が「ナイス!」と言っています。
田中峰和
現代漫画の作家を43名収録。知らない名前も多いのに、なぜか鳥山明がない。選者の好みもあるので仕方ないが、「教養としての」と銘打っているので仕方ないのか。リベラルアーツとしての漫画に赤塚不二夫を選ぶには無理があるだろう。手塚治虫と白土三平、水木しげるを現代漫画、3人の先駆者とする定義には納得できる。次につげ義春を紹介する。この人選はガロ時代からファンだった私には納得だが、若い層には理解不能だろう。著者のつげ推しは凄すぎる。著者は54年生まれで、ポスト団塊世代でガロの読者だった。その影響が人選の偏った要因だ。
が「ナイス!」と言っています。
田中峰和
国を治めているようで、利用されている天皇の微妙な立場が平安期に確立されていく。天皇の外戚となって権力を掌握する藤原家。かの有名な菅原道真も藤原家の陰謀で左遷される。やがて、関白の争奪戦で弱体化していく藤原家に対し、外戚でない後三条天皇の誕生で藤原氏隆盛の時代は終わる。後白河と崇徳上皇の争いに源平の武士が加わり、さらに摂関家と奥州藤原氏まで参戦して世は乱れ続ける。平清盛を利用して政権を奪取維持しようとした後白河法皇によって、本格的な源平合戦に至る。平氏は壇ノ浦で滅亡し、鎌倉幕府へと移行する。
が「ナイス!」と言っています。
田中峰和
安部公房風で、列に並ぶことが人生あるいは人の特性のようなものといいたいのか。何の目的で列に並ぶのかわからない男がいる。彼と同じ列に並ぶ人々とのやり取りが続く。二部に入ると、男が猿の研究者草間だとわかる。ニホンザルの研究者で非常勤講師を15年も続ける草間は、後輩の石井に准教授の将来と元恋人まで奪われる不運な男だ。同類を殺害するチンパンジーは猿族では唯一の蛮性をもつ。ほとんど人間と変わらない遺伝子をもつゆえの特性なのか。作者はこの作品に2年半の時間をようしたと、いつものあとがきで書いている。深い作品だ。
が「ナイス!」と言っています。
田中峰和
平家の栄華と衰亡を伝える平家物語。各章の冒頭では琵琶奏者と語り部の思い出語りから始まる。そこから一転、平清盛の四男知盛の登場となる。清盛は最も信頼した知盛に平家の未来を託す。自分の余命がわずかと知って、清盛は平家を滅亡に追い込もうとする後白河法皇との心理合戦に焦りを感じる。信頼できるのは知盛しかいない。台頭する源氏。後白河は旭将軍とばれる木曾義仲と、源義朝の御曹司頼朝の二人を利用して平家の追い出しにかかろうとする。わずか3歳の幼児を天皇にすえる平家も酷いが、後白河はさらなる悪人。結末が見えていても面白い。
が「ナイス!」と言っています。
田中峰和
団塊世代の笠井と絓、彼らこそ1968年を語るべき二人。日本では全共闘の若者が社会変革の運動に参加し、世界でも最高潮に達した。なぜ、若者の反乱は終焉したのか。当時の熱は村上春樹の作品などでも語られる。79年のデビュー作「風の歌を聴け」の主人公は反・全共闘派で、友人の鼠は全共闘派。その後、三部作の三作目「羊をめぐる冒険」では作者は鼠を殺してしまう。この鼠こそ全共闘の象徴だったのか。そして「ノルウェイの森」では授業に出る革マル派の活動家を批判する。村上の世界観を受け入れたのは、68年の理解者だったのだろう。
が「ナイス!」と言っています。
田中峰和
人口統計学の研究から家族形態や乳児死亡率の変化を読み取る。トッドは、ロシアの乳児死亡率が下がり続け、アメリカを下回っているという。経済破綻は過去のことで、米国の衰退がウクライナ侵攻に影響している。スペイン程度しかないロシアとベラルーシのGDPは、日本や韓国を含む西洋連合の総額の3.3%しかないのに、戦争を続けられるのが信じられない。一方、トッドは米露のエンジニアを比較して、ロシアの戦力の強さを指摘する。高等教育を受けるロシア人は米国の4分の1なのに、エンジニアは30%以上も排出。戦争に特化した国だ。
が「ナイス!」と言っています。
田中峰和
ソロモンの指輪が盗まれる。本物であれば紀元前のユダヤの王の時代のもの。持ち主の館脇はその上、自分の命まで狙われていると訴える。盗犯係の萩尾警部補は窃盗事件に収まらないと捜査一課に相談したところから、面倒な展開になる。三課の盗犯係を泥刑とバカにする嫌な菅井刑事が登場。指輪の窃盗後、さらに館脇の自宅が荒らされる。現場を見た萩尾は疑問をもち、新たな展開となる。ソロモンの時代から、さらにアトランティスまで遡り、紀元前1万2千年の技術力まで話題となって、萩尾たちは面食らう。結局、犯罪者はいない中途半端な結果に。
が「ナイス!」と言っています。
田中峰和
いわゆる吸血鬼ものとはイメージが違い過ぎて、まるで学園もの。17歳の誕生日まで10日間の嵐野弓子は吸血鬼。両親ともに吸血鬼だが、人間の血を吸って生きているわけではない。この10日間で血を吸わなければ、人間と同じ暮らしが保障される。だが、誕生日目前、由美子は大きな事故にあい、友達の命を救うために吸血鬼の能力を使わなければならない。友人を助けることで、吸血鬼の能力が生まれ不老不死の怪物になってしまう。平凡な学園生活のなか、グループデートで事故にあい自体は急変する。でも、オカルトというより、ファンタジー作品だ。
が「ナイス!」と言っています。
田中峰和
橋下徹アンチだったので楽しめた。ウクライナ戦争でロシアの味方をする真の理由は中国贔屓からだった。日本に住みロシア批判をするウクライナ人に対し、故国を逃げたくせにと無茶苦茶なコメントをテレビやツイッターでする。余りに失礼な発言は百田氏に対しても続ける。百田のおっさんとか下品な関西弁でこき下ろす。新潮45の記事を名誉棄損で訴えたが、高裁で敗訴。高校時代の教師の証言が今の橋下を如実に表現していて笑える。・地味なことはしない・嘘を平気で言う・ばれても恥じない・信用できない・約束を果たせないなど一般人としても失格。
が「ナイス!」と言っています。
田中峰和
ショートケーキは欧米ではなく日本で生まれたらしい。やわらかい食べ物が大好きな民族だからこそらしい。境界知能で犯罪歴のある未成年がケーキを切り分けられないことを語った本があったが、この本では両親の離婚でホールケーキが買えなくなった家庭の子たちの話が出てくる。さすがにシングルマザーの家庭ではホールを買って二人で切り分けるより、ショートケーキになってもしかたない。母親には十分な愛をもらっていても、両親揃った団らんが欲しい。母親には不満が言えなくても友人とは語れる子ども心が切ない。
が「ナイス!」と言っています。
田中峰和
イシュメールがメルヴィルの投影かと思ったが、読み続けるうち、エイハブの執念こそが作者を体現している気がした。白鯨への執着と執拗さは作者の鯨学、捕鯨の蘊蓄に現れ、物語そのものより、学術と図鑑的要素にこそ投影されている。そして、きわめて宗教色の強い作品で、登場人物たちの名前は、旧約聖書の者たちの性格や運命を象徴している。3年も航海を続けるのに、捕獲した鯨はどうするのかと疑問に思っていたが、捕獲後の処理について細かく解説されて納得した。精油としての活用が目的であるが、調理法まで教えてくれる。蘊蓄が作品の肝だ。
が「ナイス!」と言っています。
田中峰和
アジアを横断的に見ることで、日本史とアジア史の関係を理解できる良書、2度の元寇によって危機を迎えた日本だが、元から明に政権が移り、関係は復活した。それに貢献したのが室町時代の将軍足利義満。摂関家を上回る足利家の準天皇家というべき家格が創出された。明では永楽帝の誕生によって、両国の関係は改善される。義満が日本国王に柵封されたのだ。勘合貿易が義満の懐を潤わせたことは間違いない。権勢の絶頂を手にした義満だが、あっけなく病没してしまった。その後、40年近く経過し足利義満の登場で日明勘合貿易の復活し幕府は潤った。
が「ナイス!」と言っています。
田中峰和
三菱財閥の重鎮として活躍した祖父のもとに生まれた桐島だが、戦後の混乱期、一族は没落。母が一家を支える環境下、大学には進学せず。高卒で文藝春秋の記者となっている。26歳年上の米国退役軍人と不倫の末、3人の子どもを産んでいる。3人の子どもの父親は別々だとのうわさを信じていたが、それほど当時の未婚の母への風当たりは強かった。その後も男性遍歴は続いていたようだが、45歳のとき、12歳年下の男性と結婚。猫を壁にぶつけるなどと娘に書かれるほど、不仲だったようだ。認知症が発症して子どもたちが原稿を引き継ぎ出版となった。
が「ナイス!」と言っています。
田中峰和
23年ミステリランキング3冠達成は葛警部シリーズ。「崖の下」は既読だったので、結末が分っていたのに楽しめた。骨折して露出した腕の骨で殺害する執念。凶器が見つからない状況では迷宮入りしても仕方なかった。葛の執念が事件を解決。常に冷静で上司へのアピールは抑え、部下を無理に持ち上げない。淡々と捜査をこなすが、推理力は名探偵の実力。表題作は、連続放火事件がテーマ。被疑者候補から一人ひとり絞り込むうち、たどり着いた結論は。類焼を抑え、火災への警告をするのが目的だった。目的は理に適っていても、犯罪は犯罪。罪は重い。
が「ナイス!」と言っています。
田中峰和
紫式部と同時代の赤染衛門の目を通して、左大臣の藤原道長と三条天皇の権力闘争が描かれる。道長は関白藤原兼家の五男として生まれたが、権力への執着が強く、左大臣に昇り、天皇家に次々娘を送り込み、天皇の祖父としてさらに権力中枢に居座ろうとする。三条天皇に次女の妍子を嫁がせ中宮とするが、男子が生まれず、天皇からも遠ざけられる。赤染衛門は娘の大鶴とともに妍子に仕えるが、妍子は天皇に愛されずノイローゼ状態。僧正の慶円の元を離れ還俗した頼賢は、三条天皇に仕え、天皇の病と悩みの原因に気づいてしまう。放火魔の暗躍が恐ろしい。
が「ナイス!」と言っています。
田中峰和
公安のエースだったはずの倉島の仕事ぶりがあまりにも投げやりで、同僚の白崎や後輩の片桐からもあきれられる。片桐がせっかく掴んできたベトナム人殺人事件の情報も、真面目に取り組もうとしない。一回り以上年配の白崎も、倉島の無責任ぶりに嫌味を言ってしまう。直属の上司もあきれて、倉島にお灸をすえようとする。ようやく自分の至らなさに気づいた倉島は、本格的に取り組み公安としての作業を開始する。殺人事件なので捜査本部との連携が必要だが、公安と捜査一課は水と油。それをまとめる倉島の手腕が見どころ。倉島は完全復活する。
が「ナイス!」と言っています。
田中峰和
一人称の語り部イシュメール、商用の船員経験しかないのにいきなり捕鯨船の乗組員になろうとする。就職活動の出端、安ホテルで人食い人種の王子クィークェグと出会い親友となって、ピークォド号に乗り込む。白鯨に片足を食いちぎられて復讐の念に燃えるエイハブ船長は中々登場しないし、上巻ではそれほど出番も多くない。クジラの種類を図鑑のように詳しく解説するイシュメールの博識ぶりは、作者メルビルの分身のようだ。日本では食用になっていたが、西洋ではマッコウクジラの脳油が重宝された。凶暴なモービーディックとの戦いが楽しみ。
が「ナイス!」と言っています。
田中峰和
60歳を過ぎると退職とともに余生のカウントダウンが始まる。寿命を80歳として、20年をどう過ごすか。一時期、話題になった老後資金3000万円問題も最近はどうなのか。これだけインフレが続くと、年金生活者は苦しくなる一方。「人生の終盤は少ない荷物で」と主張する著者。家も肩書もいらなくなるという。肩書は退職で自然消滅するが、家はなくなると困る。家族が巣立ち広すぎるので転居と考えても、家探しも面倒だ。着なくなった服や読まない蔵書。残された家族にとって処分が面倒なものは本人の選択で処分するべきだ。老後は断捨離。
が「ナイス!」と言っています。
田中峰和
江戸城の明け渡しがあまりにもあっさりなされたので、江戸時代から無血開城の連続だったことから当然の結果とされる。徳川期の幕府権力は絶大で、おとり潰しによる改易、国替えによる転封がそれぞれ、200以上と300以上もあった。つまり城の明け渡しは日常だったせいで、勝海舟も家達の駿府への転封を認めた。そうして江戸は終わり東京になって、経済が都市を変貌させてきた。関東大震災の影響は大きく、人々は被害の少ない西に移動。新宿、渋谷、池袋が新たな拠点として栄えてきた。渋谷は五島慶太、池袋は堤康二朗によって大きく発展した。
が「ナイス!」と言っています。
田中峰和
15年前の通り魔殺人事件の件で山岡という男から垂れ込みがあった。追跡捜査係の沖田は山岡とアポを取るが、すっぽかされる。短気で執念深い沖田は、山岡の正体を突き止め再度の約束を取るが、またも会えなかった。翌日、山岡の死体が発見され通り魔事件との関係が疑われる。山岡は一流企業の課長で高級住宅街に一戸建に住む男だが、900万円もする高級外車を乗り回すのには無理がある。銀行口座を調べても入金の痕跡もない。結局、警察は殺人鬼対恐喝犯の争いに振り回されていたのが真相。恨みではなく、狩る快感が目的の犯人は怖い。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2013/07/17(3963日経過)
記録初日
2013/07/17(3963日経過)
読んだ本
4552冊(1日平均1.15冊)
読んだページ
1440068ページ(1日平均363ページ)
感想・レビュー
4545件(投稿率99.8%)
本棚
16棚
性別
年齢
69歳
血液型
AB型
職業
営業・企画系
現住所
京都府
URL/ブログ
https://www.facebook.com/muscletanaka
自己紹介

図書館から借りての読書がほとんど。
したがって、書き込みはできません。

図書館中心なので、新刊の小説は人気がありすぎるので、
読みません。

京都と大阪の図書館を利用していますが、府立は学術書が
豊富で、京都市立は大衆的な書籍が多いのが特徴。

読書メーターの
読書管理アプリ
日々の読書量を簡単に記録・管理できるアプリ版読書メーターです。
新たな本との出会いや読書仲間とのつながりが、読書をもっと楽しくします。
App StoreからダウンロードGogle Playで手に入れよう