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2024年3月の読書メーターまとめ

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読んだ本
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感想・レビュー
14
ナイス
252ナイス

2024年3月に読んだ本
14

2024年3月にナイスが最も多かった感想・レビュー

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新訳での再読。トム・ソーヤーは悪童だが知恵の回る子だ。有名なペンキの話には彼の才知を感じるし、それでいて家出をしたときポリー伯母さんに気を配る点に彼なりの優しさを見いだせ、ベッキーを口説くあたりなかなかのやり手との感を抱く。だが『ハックルベリー・フィン』を読んだ後だと、自由人ハックほどの魅力をトムには憶えなかった。トムはあくまで規制の枠組みの中で悪さをするだけでスケールは小さい。けど家出や海賊ごっこ、殺人事件との遭遇、財宝の発見など、彼も冒険の名にふさわしい経験をしており、それはそれで面白く読めた
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2024年3月にナイスが最も多かったつぶやき

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2月のベストは『誓願』。現代に対する危機意識を見るようであった。また『何が私をこうさせたか』の著者の強烈な個性が、『木挽町のあだ討ち』の芝居小屋の面々の連帯が忘れ難い。他『東京都同情塔』『悲しみのイレーヌ』『首無の如き祟るもの』なども楽しめた。 2024年2月の読書メーター 読んだ本の数:14冊 読んだページ数:4765ページ ナイス数:362ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/51204/summary/monthly/2024/2

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2024年3月の感想・レビュー一覧
14

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著者のひいき目が強い感もするが、この本で紹介される伊藤博文はまさに偉人だ。伊藤の偉大な点は立憲政治を定着させたことだ。特に明治憲法が制定当初、何度も憲法停止の危機に襲われたことは知らなかった分、それを回避した事実に感銘を受ける。その憲法を日本の実情に合わせて作り上げたことや、立憲政治のため自ら政党を立ち上げた点は伊藤の実務能力の高さと理想が伺えすばらしい。韓国統治は理想はともかく、朝鮮人民の感情に気づけなかったのがこの時代の人の限界と知れる。伊藤博文の魅力を教えてくれる読みごたえある一冊だった。
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平凡な女性のジヘは社会的には搾取される側で、人間関係や弱い立場もあり理不尽な抑圧を受けている。そんな彼女はギュオクと共に社会に対してささやかな反撃を加えるというのが話の流れだ。とは言えその反撃の内容はあまりに稚拙で正直共感を覚えなかった。だがそれはジヘ自身も気づくことで手ひどいしっぺ返しを食らう。やはり同級生に対して取ったように、憂さ晴らし的反抗ではなくしっかり言葉で訴えることが大事なのだろう。そうした気づきの過程を経て納得のいく生き方を見出す姿は好ましい。もどかしい面は多々あれど、悪くない作品だった。
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新訳での再読。トム・ソーヤーは悪童だが知恵の回る子だ。有名なペンキの話には彼の才知を感じるし、それでいて家出をしたときポリー伯母さんに気を配る点に彼なりの優しさを見いだせ、ベッキーを口説くあたりなかなかのやり手との感を抱く。だが『ハックルベリー・フィン』を読んだ後だと、自由人ハックほどの魅力をトムには憶えなかった。トムはあくまで規制の枠組みの中で悪さをするだけでスケールは小さい。けど家出や海賊ごっこ、殺人事件との遭遇、財宝の発見など、彼も冒険の名にふさわしい経験をしており、それはそれで面白く読めた
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九州戦国史は馴染みが薄いだけに勉強になる。大友、島津、龍造寺の抗争やそれぞれの武将たちのエピソードも短いながら興味深く面白い。立花宗茂は大友家家臣の立花道雪の養子で、高橋紹運の子だが、二人の父の存在感もまた抜群だ。その二人の感化を受けた宗茂も武将として優れている。戦上手で島津相手に引けを取らず、朝鮮での戦でも勝ちを得る。関ケ原後改易されたにもかかわらず、大名に復帰できたのはその戦上手ゆえに徳川方が取り込もうとした結果というのも良い。浪人時代の生活人としては残念だったエピソードも含め、存在感のある人物だった
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客観性を追求することの問題点を指摘していて興味深い。客観性とは人間をものとして把握して数値に基づき評価し、物事を正常なマジョリティと異常なマイノリティに峻別する行為だ。そこでは社会規範に従順なことが生き抜く手段としては適切で、今の子がおとなしい理由としても納得がいく。しかしその思考はあまりに体制側に寄りすぎている。何より人間である以上、数値化されない情動や経験や言葉がある。著者は人間の経験を大事にする立場からボトムアップ型の倫理的でケアを軸にした社会を考える。個人的には共感ができ、考えさせられる内容だった
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クールな味わいの本格推理小説。感情を交えず事実を淡々と描き出し、その事実から論理的に事件の状況を組み立てていく様は聞き応えがある。そしてその文体は理知的な葛警部のキャラと非常にマッチしていた。象徴的な話は冒頭の『崖の下』か。凶器がわからないという一点から事件の様相を暴き立てる展開が鮮やか。それでいて殺意までは証明できないあたり論理の限界を見るようである。白眉は『本物か』。聞き込みで得られた事実から時系列を整理し、店内で何が起きていたかを推理する様は見事でラストも驚きに満ちていた。他の作品もすばらしかった。
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浜田廣介と言えば『泣いた赤おに』。読み物としては満足できる内容なのだけど、これがいい話と見られていることには疑問を感じた。赤おには人間と仲良くなったけど、代わりに青おにも失い良心も傷つくわけで、それを良しとすることはどうしてもできない。赤おに、青おに双方の善意がちぐはぐなまますれ違っているようにも見え、非常に残酷な話と感じた。その他の作品では『五ひきのやもり』が好き。運命に翻弄される弱きものって感じの話だが、家族のきずなを感じさせるのが胸に響いた。
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ごちゃごちゃした内容だが、楽しませようという意欲を感じる作品だった。市バス内で大量殺人事件が起こり、その被害者の中に、非番なのに拳銃を握り締めている警官が見つかる。その事実からマルティン・ベックたちは真相を追うが、各刑事ともそれぞれのアプローチから真相に迫っていく展開は面白い。また刑事たちそれぞれ個性的な点も魅力だろう。とは言え、過去の事件が明らかになるあたりは情報量が多すぎて、置き去りにされた感はある。だが整理しきれないなりに楽しんで読めるのはこの作品の最大の美点と感じた。
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適度に毒をふくんだ作品が個人的には好み。白眉は『ピクニック』。主人公たちは幸せそうな家族と見えたのに話が進むにつれ様相が変わる。最後に明かされた真相に背筋が寒くなる。『ネオンテトラ』もラストに毒がちりばめられている。子どもを手にするため示した独善が少し怖くてそこが良い。『愛を適量』は人との距離感がわからない男とLGBTQの娘の話。過去のしっぺ返しで娘に傷つけられるが、反省の中から進みだそうとする様が心に響く。他、被害者家族と加害者の交流の流れが心に残る『花うた』、姉のキャラが強烈な『魔王の帰還』も楽しめた
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ネタバレ主人公の永田に共感できる人は少なかろう。痛いことを口走り、恋人の沙希の家に転がり込みながら家に金も入れず、家庭のことを何もせず、そのくせ彼女の人間関係に口出しする。その屑っぷりに身もだえする。しかし一歩引いた目線で語り上げるタッチが心地よく、彼の言い訳めいた心理描写も素直に受け入れられる。だけど永田と沙希の関係は危うく周囲の説得もあり二人は破局する。とは言え二人にだって相手を思いやる瞬間は確かにあったのだ。共依存めいた関係だったけど、沙希を笑わせようと必死になるラストシーンにその瞬間を見た気がした。
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魅力的な人物も多く、エンタテイメント性たっぷりでテーマ性も申し分ない、非常に楽しめる作品だった。これは匡介の成長と探索の物語だろう。戦で家族を亡くした彼はその後石工となり、石垣をつくることで戦のない世界を目指そうとする。だがそれは鉄砲を極めるライバルの彦九郎との対決も意味するのだ。その展開が熱いし、人物の背景がわかるだけに聞きごたえもある。そして守るための石垣と攻めの鉄砲の対決は必然的に、戦で争うことの意味をも突きつけてくるのが良い。極めてよくできた作品だった。
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方言を駆使した民話的なお話が味わい深い。白眉は『ベロ出しチョンマ』。妹思いの兄は妹を悲しませないために道化を演じる。それが領主への反骨にもつながっており胸を打つ。『花咲き山』も説教臭いが懐かしさもあってか心に響く。良いことをしたら花が咲くって意識を持っていることが何か麗しい。『一の字鬼』は字に取りつかれた妄執から鬼になったわけだが、人の役に立つことをなしても、字を求めずにいられないところに業を見る。他、負の感情を見透かすようなところが印象的な『天狗笑い』、英雄譚のような味わいの『三コ』『八郎』が心に残った
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心優しく現実的なハックは健全な良心を持っている。ペテン師たちに従わざるを得ない中でも、だまされている人たちを何とかしたいという気持ちを持ち続けていて好ましい。そしてそんなハックの健全さを象徴するのが「地獄に行こう」のシーンだろう。ジムのことを思うハックは、当時の価値観では悪である、奴隷を逃がすという行為を悩みながらも決意する。世間の価値基準に歯向かっても良きことをなそうとする気持ちが麗しい。その後のトムの身勝手さには辟易したけれど、それだけにハックのまっすぐさと素朴さが伺え心に響いた
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新訳での再読だが、ハックのキャラの良さに改めて気づく。トム・ソーヤーが想像力豊かで面白いことを基準に行動しているのに対し、ハックは実際的で現実的だ。また言い逃れするためハッタリをかますことも多く、頭の回転は早い。そして押し付けられた環境にいるよりも自由を好む、心優しい素朴な少年だ。そんなハックは里親の家で厳しく教育された後、暴力的な父に捕まり、何とか逃亡、逃亡奴隷のジムとあてどなく川を下る。自由人のハックにふさわしい旅である。細かいところは忘れているのでこの先このロードノベルがどう転ぶか楽しんで読みたい
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2010/02/06(5196日経過)
記録初日
2010/11/11(4918日経過)
読んだ本
1857冊(1日平均0.38冊)
読んだページ
556353ページ(1日平均113ページ)
感想・レビュー
1514件(投稿率81.5%)
本棚
32棚
性別
職業
技術系
現住所
宮城県
外部サイト
URL/ブログ
http://blog.goo.ne.jp/qwer0987
自己紹介

本が好きな中年化学系エンジニア。
読む本は小説が中心。ほか歴史関係のものを読むことが多い。
好きな作家は、村上春樹、芥川龍之介、川上未映子、アゴタ・クリストフなどなど。

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