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2024年2月の読書メーターまとめ

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感想・レビュー
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362ナイス

2024年2月に読んだ本
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2024年2月のお気に入り登録
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2024年2月のお気に入られ登録
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  • 杜のカラス
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2024年2月にナイスが最も多かった感想・レビュー

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ネタバレaudibleで。仇討ちの真相は早い段階から想像がつく。が、本書の要点はそこにはなく、武家社会を始めとした身分制度の窮屈さが主眼と感じた。一八たち語り手たちは苦労を重ね周囲の蔑みや抑圧に取り巻かれながら生きてきた。けれども悪所である芝居小屋にたどり着いたことで、しがらみからの解放を感じている。そしてそれは仇討ちを強いられた菊之助も同じなのだ。作兵衛を斬れず、父の無念も理解する菊之助は身動きが取れない。だからこそその苦悩を理解する芝居小屋の面々が菊之助を助けようとする流れが胸に響いた。
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2024年2月にナイスが最も多かったつぶやき

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『ミレニアム』三部作が素晴らしかった。三作全て読まねばこの作品の本当の良さに気づけなかったろう。エンタテインメント性、テーマ性共に見事で、ボリュームはあるがそれだけの時間を費やすに値する傑作だ。他『雲を紡ぐ』『頬に哀しみを刻め』『方舟』の順で楽しめた。 2024年1月の読書メーター 読んだ本の数:13冊 読んだページ数:5354ページ ナイス数:338ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/51204/summary/monthly/2024/1

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2024年2月の感想・レビュー一覧
14

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一言で片づけるなら破れ鍋に綴じ蓋なのだが、心理描写が丁寧で目を引いた。39歳のポールにはロジェという愛人がいるが、彼は浮気性でポールをぞんざいに扱う。25歳のシモンはそんなポールに恋し、年齢差に気おくれを感じていた彼女もシモンになびいて、ポールとロジェの二人は別れるに至る。だがポールの心にはシモンとつきあってなおロジェがおり、ロジェも自分の浮気が原因で別れたくせにポールに対して未練たらたらなのだ。そうして元鞘に収まる二人は似た者同士なのだろう。その様に苦笑するが、描写は精緻で読みごたえある一品だった。
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オチは微妙だが、アイデアは非常にユニークだ。本格ミステリにありがちな雪の山荘での連続殺人を逆手に取るような舞台設定が面白い。その与えられた設定の元で俳優たちが舞台演技について考えるよう求められる中、本当に殺人が起きているかもしれない不穏な空気が流れ始める。状況がつかめず困惑する登場人物たちの姿に、読み手のこちらもハラハラさせられる。とは言え種を明かされてみれば、つくりものめいていて鼻白む思いがした。だが読み物としては面白く、ぐいぐいと読み手を引っ張る筆力はさすが東野圭吾と感服した。
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何とはなく良いけどその良さをうまく説明できない。そういう意味実に芥川賞らしい作品だった。目を引くのは現代社会への批評性だ。この小説の中ではポリコレ的な言葉を使うよう自己検閲が働き、社会も公平性に過剰な配慮を示す。東京都同情塔のような刑務所がその象徴だ。けど配慮の強い、さながらAIが使うようなのっぺりとした言葉を使うことは、その物の本質を伝えることとはならない。建築家は塔を建てるためもっともらしい言葉を使ったが、彼女の意志は自身の感情と欲求と衝動から来ている。そしてそれこそが人間の本質なのである
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個人的好みは『おしになった娘』。自分のわがままのため父は罪を犯し、娘は悔恨もあり口を閉ざす。それでもキジが撃たれたとき発する声に彼女の強い思いが見える。他、箱に閉じ込められず自由に生きていくことへの渇望が心に響く『こけしの歌』、子どもを失った母の悲しみが胸を刺す『貝になった子ども』、生きるため兵の骨を持ち帰れなかった無念が悲しい『おいでおいで』、人と子熊の思い双方わかるだけに苦しげな『センナじいとくま』、寓話風の話が面白い『カナリヤと雀』、米軍基地を童話風に焼き直したのが新鮮な『草原』の順で楽しめた
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小人と人間との交流譚で、里山の描写といいのんびりした空気が流れている。人間の仲間を得ようとするコロボックルたちとセイタカさんとの交わりの優しい空気がすてきだ。全体的に地味ながら、愛すべき作品だった
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audibleで。表題作は草野球小説だが、とぼけた味わいがあって面白い。大体草野球をする理由がクラブのママからチューをもらうためで、そのため中年男性たちが若者を集めて競うというのがくだらなくて良い。またシャオさんみたいに愛すべきキャラも登場して楽しませてくれるし、それでいて戦争で死んだ若者たちを登場させるなど、暗くならない程度に切なくそして考えさせられる描写もあって胸に響く。バランスの取れた佳品だった。『十二月の都大路上下ル』もユーモラスで、かつ青春小説らしいさわやかさがあってこちらも素敵な作品だった
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チベットの固有名詞や歴史的背景を知らないため結構難しかった。興味深いのはモンゴルとの関係だ。モンゴル侵攻を受けたチベットはその後その宗教的権威からモンゴルに招き入れられモンゴルにチベット仏教が広まる。その展開は知らない分面白かった。その後清朝の介入が始まりダライ・ラマ13世の頃英露のパワーゲームにも巻き込まれ本格的にチベットの受難が始まる。そして14世の時代に中国の併合が始まる。しかしダライ・ラマ14世はかなりの人物だ。チベットの将来を考え民主化を行ない、国際社会にチベットの受難を訴える姿には感銘を受けた
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ネタバレおどろおどろしい雰囲気に満ちた特殊設定の作品だが、その特殊設定に則って事件を推理する様はいかにも本格推理といった感があって面白い。ある一点の設定を見破れば、不可解な状況がすべてクリアになるというのは、この世界のルールに基づいて論理的に考えられているし、丁寧に伏線が張られていて素直に感心する。ただ最後の方で推理を二転三転させるのはちょっとやりすぎで鼻につく。あそこまでする必要あったのか? だが本格推理らしいパズル性に満ちた内容はすばらしく、その世界を存分に堪能できた次第だ。
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現実とファンタジーの混じり合った作風という印象を受けた。個人的に好きなのは『さよならのうた』。死に近い祖父の子ども時代の姿と出会い共に遊ぶ。その体験を通しての祖父との別れはしんみりとさせられる。『ふしぎな森』もすてきだ。妹だけに見えるうしゃぎしゃんの世界を兄も垣間見る。その不可思議でほのぼのとした味わいが心地良い。他、子どもならではの罪悪感と子どもにしか見えない世界の描写が印象深い『かくれんぼ』、夢をつめこんだ赤いふうせんや離れた友だちと出会うエピソードが心に残る『北風をみた子』も楽しく読めた
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ネタバレaudibleで。仇討ちの真相は早い段階から想像がつく。が、本書の要点はそこにはなく、武家社会を始めとした身分制度の窮屈さが主眼と感じた。一八たち語り手たちは苦労を重ね周囲の蔑みや抑圧に取り巻かれながら生きてきた。けれども悪所である芝居小屋にたどり着いたことで、しがらみからの解放を感じている。そしてそれは仇討ちを強いられた菊之助も同じなのだ。作兵衛を斬れず、父の無念も理解する菊之助は身動きが取れない。だからこそその苦悩を理解する芝居小屋の面々が菊之助を助けようとする流れが胸に響いた。
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ネタバレ面白いけど胸糞悪い作品だ。たぶんこういう方向に物語が進むのだろうなという方向に物語は進んでいくが、実際に進むとかなりキツいものがあった。それだけ丁寧にカミーユのイレーヌへの愛を描いたとも言えるけど、その描写が殺人者による空想とわかると余計に胸糞悪さを覚える。もちろんカミーユの愛は本物だろうが。それはそれとして見立て殺人の元ネタが推理小説というのは面白い。現実にそれをやられると明らかなサイコパス感があるが、その動機が冷静でかなり利己的と明らかになるのは見事だった。好みは分かれるが、悪くない作品である。
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児童小説らしいまっすぐなストーリーだ。町のネズミのガンバは退屈な日常に満足しきっていた。そんな中、海を見に行くため向かった港でイタチに襲われた島のネズミに出会い、イタチを倒す旅に出る。その王道展開はエンタテイメント性にあふれ面白く読める。何より不気味な白イタチのノロイの存在感もあって、イタチとの戦いは読みごたえがあるのだ。子どもたちにワクワクしてもらおうという意欲が感じられる作品だった
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ネタバレ女性を抑圧するギデアデをアメリカに設定にしている点が現代的で興味深い。ギデアデの女性への人権侵害はひどいものだ。リディア小母への感謝房への懲罰や、侍女の存在にはその意を強くするばかり。そんな国家の転覆に向け、体制側にいながら面従腹背を行なうリディア小母、ギデアデに育ちその価値観の中で生きる少女アグネス、ギデアデに批判的なカナダで育ったデイジーを中心に物語が進む。彼女たちの行動の結果、事態が変わることが予想される展開は物語として純粋に面白い。人権を抑圧する政治を否定し希望を語る内容が心に届く作品だった。
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時代状況もあるが、それを差し引いても彼女の人生は過酷だ。かなりの毒親のもと極貧の中に育ち、勉学の意欲もあるのに教育を受けさせてもらえず、朝鮮時代の生活は奴隷そのもの。幼い少女では逃れる術もないだけに辛かったろう。その後の生活もしんどく、家出同然で上京したが結局貧困に陥り、母と同様男にふり回され歴史は繰り返される始末。社会主義に目覚めるのも分かる。だが彼女は理想で社会を変えることではなく、自分の人生を生きることを願う。その個人主義的幸福を願う姿は反骨心と自我の強い彼女の生き様とマッチしていて印象に残った。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2010/02/06(5209日経過)
記録初日
2010/11/11(4931日経過)
読んだ本
1862冊(1日平均0.38冊)
読んだページ
558385ページ(1日平均113ページ)
感想・レビュー
1519件(投稿率81.6%)
本棚
32棚
性別
職業
技術系
現住所
宮城県
外部サイト
URL/ブログ
http://blog.goo.ne.jp/qwer0987
自己紹介

本が好きな中年化学系エンジニア。
読む本は小説が中心。ほか歴史関係のものを読むことが多い。
好きな作家は、村上春樹、芥川龍之介、川上未映子、アゴタ・クリストフなどなど。

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