秋田連続児童殺人事件をモチーフとした作品です。当時、マスコミの取材の仕方が目に余って不快だった記憶があります。今も変わらないなぁ。こいつは悪だと決めてかかって、集団で吊るし上げる風潮。作品の中で語られる、響子を追いつめた土地の全員が二人を殺したんだというのも、分かる気がします。実際の事件もこの作中でも、掘り下げれば掘り下げるほど動機がボヤケて、二人の子供が犠牲になった理由は、今もよく分かりません。柚月さんはかなり真実に迫っている気がするけど、手をかけた本人が分からない以上、真実は存在しないのかも。

なんで戦争なんかするんだろうって、平和な国で暮らしていると思うんです。だけど、たぶん戦争している国の人達も、戦争が始まる前はそう思っていたんだろう。戦争が始まってからも、どうして戦争なんかしてるんだろうって、どうして止められないのか、止められなかったのかって、思い続けているのかもしれない。気づいたときには流れを止められず、止めようとすれば容赦なく暴力で抑え込まれ、気づけば戦場に立っている。とてもリアルで怖ろしい作品でした。戦争なんて自分には関係ないと思いたいけれど、実はすごく身近なことなのかもしれない。

発達障害の人が見ている世界、行動や言動の背景について解説されています。こういうタイプの人いるよなぁ、私もこういうとこあるよなぁと、興味深く読めました。周囲の人達が特性を理解してくれるかどうかがとても大きいなと感じます。そのためには障害をもつ側の人が「助けて」と言えることが大事。

宮沢賢治さんの作品についての考察がたくさん出てきます。お好きな方は面白いのかも。私はちょっと…あんまり刺さらなかったタイプなので、この作品もあんまり。登場人物それぞれが独りよがりに感じて、あまり共感できませんでした。好き嫌いが分かれそうです。

秋田連続児童殺人事件をモチーフとした作品です。当時、マスコミの取材の仕方が目に余って不快だった記憶があります。今も変わらないなぁ。こいつは悪だと決めてかかって、集団で吊るし上げる風潮。作品の中で語られる、響子を追いつめた土地の全員が二人を殺したんだというのも、分かる気がします。実際の事件もこの作中でも、掘り下げれば掘り下げるほど動機がボヤケて、二人の子供が犠牲になった理由は、今もよく分かりません。柚月さんはかなり真実に迫っている気がするけど、手をかけた本人が分からない以上、真実は存在しないのかも。