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福永武彦全集 (第12巻) 小説12

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アレカヤシ
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ネタバレ三つの未完の長篇。 「独身者」「夢の輪」「山のちから」。「心の中を流れる河」を大きくした「夢の輪」、これを読むためにこの本を入手。「山のちから」は、今昔物語を基礎に置いたような作品。三作とも、未完成なのが惜しい。「海からの声」、月夜の海と主人公の暗い内部が溶け合って美しい短編。 巻末に作者の創作ノートなど。
アレカヤシ

「私はこの刻々に失われて行く世界、捉えられぬ世界を、小説という別個の次元に於て回復したい。取り返したい、自分の物にしたい、という願望を持ち、そこにこそ現実があると信じたのである。出来上ったものが藝術になろうとなるまいと、また小説という形式が藝術であろうとあるまいと、私の知ったことではないのである」P337  「文字を使って紙の上に書くという作業は、彼が世界を見ていることの証明であり、そのようにしか見られなかったということになる彼の個性の証明である」P339

12/14 12:59
アレカヤシ

「私は昔から少数の読者を以て足れりとして来た。不特定の一人の読者を意識し、私の小説がその魂にひそかに語りかける声でありたいと願った。従って私はなるべく少しの作品を、入念に吟味して書くようにつとめ、どの作品に於ても、私の選んだ読者が、彼もしくは彼女の選んだ著者によって、裏切られることがないように仕事をしてきたつもりである。「全小説」を刊行するに当たっても、私が語りかけるのは常にこの一人の読者に対してである」P346 創作ノートを読み、小説を書く困難さを垣間見て、馬鹿なりに、丁寧に一所懸命読もうと思った。

12/14 13:15
0255文字
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