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曹操―矛を横たえて詩を賦す (ちくま文庫)

感想・レビュー
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韓信
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豊富なエピソードを引いて生き生きと曹操の生涯を描く評伝。はじめはまっとうな官吏として生きようとしていたであろう青年時代や珍しく隠棲時代に触れたり、死の間際の生への執着など、結果論から導き出す乱世の英雄像ではなく、等身大の曹操像を彼自身の詩文を多用しながら描き出しており、劣勢に強いが優勢だと失敗しがちな武人、リアリストな政治家、稀代の詩人という多面性もふくめて非常に魅力的。曹操墓の出土品の分析が進む現在から見ると内容の古さは否めないが、ひとりの人間としての曹操の魅力をここまで深掘りした評伝は他にないのでは。
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竜王五代の人
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「矛を横たえて詩を賦す」という副題の曲解になると思うけど、「矛を横たえて」戦闘の話は置いといて「詩を賦す」文人としても名高い曹操を、その著作を手掛かりに人間像を描いた面白い本。宣伝や言い訳のために語る曹操自らの来歴から川合先生がひきだすものがうまい。曹操、なんだかんだ泣き言も言うし敗北もしているけど、けっこう人生楽しんで生きた快活な人なんじゃないかと思う。立派な、あるいは魁偉な姿形がもてはやされた当時にあって、ショボい見かけだったという指摘がなかなか。
0255文字
テツ
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『治世の能臣、乱世の奸雄』 政治家としての強引な手法と勢力拡大のための戦争ばかりクローズアップされ三国志のフィクションでは悪役にされがちな曹操だけれど、詩を愛する心や身分や地位にとらわれず能力のある人間を抜擢する組織運営手腕、自らが死ぬときも残された者たち、魏の将兵たちを戒め豪奢な葬儀を慎むようにと遺言を残す凄まじく現実的な側面。単に悪人と称することはできない、まさに破格の英雄。自分の人生を絞り尽くし使い切った生き方に憧れる。
0255文字
紫暗
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三国志関係の物語では悪役として描かれることの多い曹操の実際の人物像に迫る一冊です。史実と思われる情報から伝説の数々までを引用し、わかりやすく説明してくれています。意外と三国志の本場である中国でも曹操が悪役扱いされていたのかと改めて実感。曹操がそんなふうに悪役になっていく過程もわかってとても面白かったです。
0255文字
しちこ
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単なる悪役ではなく、ひとりの人間としての曹操像が読んでいるうちに生き生きと頭の中で形づくられていって、面白く読めた。マイナスをプラスに変えるバイタリティを持ち、文武に優れ、当時の常識を覆す改革を次々行い、それでいて気の小さいところのある曹操がこの一冊の中に詰め込まれている。
0255文字
ura2wa
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曹操は三国志の中で一番好きだ。
0255文字
asukaclaesnagatosuki
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保刈瑞穂先生の『プルースト 読書の喜び』を読む合間に、なんとなく読み始めたら、読み易く読み手をひき込む文章で二日で読了。川合先生30代の著作だそうで、生き生きした記述から曹操の生き生きした人となりに著者が共感しているのが伝わってくるからだろうか。非常の人としての曹操のスケールの大きさは現代の読者たる自分には想像もつかないけれど、鎧の下に人間的なさまざまな感情が生動していることを曹操の文章や詩、後代が伝える逸話などを通して伝えてくれる。曹操の同時代のさまざまな人物も魅了された。曹操の子の曹植が心に残った。
0255文字
BIN
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基本的に曹操の祖父からの生涯を記述しているが、注目すべきは著者が文学者であるところから、詩や文学のところが他書よりよく書かれている。個人的にもっと詩について書いてほしかった。
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いちはじめ
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もともと三国志演義の主要登場人物の中でも曹操が好きなだけに、興味深く読む。詩人としての側面や、さまざまな矛盾や弱さを持つ点を、肯定的にスポットを当てているのが良い感じ。
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ソルト佐藤
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曹操自身の文章や詩にて、彼の人生を追いかける。そこに現れたの正史にあるようなしかつめらしい姿ではなく、時には弱音があり、時にはほめられてうれしそうにする人間らしい人間。人間はいつか死なねばならない。けれど、諦念にならず、だからこそ、精一杯生きるべきだという人間肯定の考え方の曹操像は、なんとも魅力的。最後に引用されている曹操への批難文。にもかかわらず、その曹操はとても魅力的に見えた
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曹操―矛を横たえて詩を賦す (ちくま文庫)評価91感想・レビュー10