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瀬戸内文化誌

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Sakie
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海と海の民に焦点を当てた論考集。特に漁業の手法に詳しい。さて古来、瀬戸内海は日本各地から京阪への航路として要衝だった。人々はその時代の需要に合わせて、各地各島で様々な産業を手掛け、生計としてきた。しかし決して裕福ではなかったと宮本常一翁は言う。山地が多く、人が増えても養うための土地が少ない。土地の生産力が足りない。増えてはあぶれ、出稼ぎや海賊、遊女に身を落としたという。波のない内海を絶えず大小の船が航行する。潮や天候の具合によって走り、泊まり、名所を見物し、また無事を願う神事を行なう、歴史の末に今がある。
Sakie

瀬戸内海を横断するフェリーに乗った。昔より少々視点が高いが、岸を離れたらちっぽけなもので、海、空、島、船が目まぐるしく移り変わっていくのを飽かずただ眺める。動く絵巻物のようだと言った旅行者の気持ちがわかる。美しい。もらった海図によると、安全に航行できるルートは非常に限られている。ざあざあ音を立てて流れる瀬戸は大きな船でも思うようには任せず、海底が浅くなっている難所も多い。こんなところで、島を回り込んだ途端にかがり火を焚いた海賊の小舟が一斉に飛び出してくる、なんて妄想をしては震えあがった事でした。

09/12 18:22
0255文字
徳島の迷人
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主に中世から産業の機械化までの時代、瀬戸内の営みや文化を思い描ける内容。表紙の写真は船を住処とした漂泊民の系譜を感じさせるもの。山のサンカのように、瀬戸内にも漂泊民がいた。船さえあれば他の資本や土地はほぼ無くても良い。小漁師たちは貧しいが、藩の境を自由に越えられた特異な階層。大量の物や重い物は船で運ばれ、山中よりも流動性は高かった。近世以降海賊の危険が少なくなり、島の山中から海岸へ出た民も多い。島には柵が必要ないからか、案外牧畜が多く、本土に貸してもいた。塩作りのために大量の薪を取り、はげ山が増えた。
0255文字
magichour
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本土に従属しつつ対立する特殊性を持ってきた、瀬戸内島嶼社会の変遷を見る。そこには、社会や技術変化の中で栄枯する生活があり、理想に向かい前進しようとした足あとがある。貧しくも生き生きと活動する人々への著者のまなざし。
0255文字
adustim
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☆☆☆☆☆
0255文字
案山子
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著者の誕生の地であり、民俗への関心が生まれた地。それだけに瀬戸内に対する優しい眼差しがうかがえる。収められている論考の時期がまちまちで、思考の変遷が辿りづらいのはマイナス点。気になる箇所だけ読むのがいいかも。
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