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重力と力学的世界 上 ――古典としての古典力学 (ちくま学芸文庫)

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記憶喪失した男
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ネタバレ古典力学の科学史。かなり詳しく資料にあたって書かれているので、近代科学史を概観するにはよい。ケプラーだけでも、「宇宙の神秘」「新天文学」「ケプラーの夢」「コペルニクス天文学概要」「世界の調和」「占星術の確かな基礎について」、さらに書簡にあたって解説しているので、科学史を調べるのに自分で読むよりは速そうだ。ケプラー、ガリレイ、ニュートン、デカルト、オイラーで上巻は終わる。オイラーは、ニュートンの力学の包括的な力学書を出版した最初の人物であるらしい。彼らについての興味深い逸話もところどころに記述される。
0255文字
megane_de_noppo
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文章としては少々難解で読みにくいところもあるし、数式を完全に理解することも難しい。けれど、それを差し引いても、なかなか面白い内容だった。歴史に残る錚々たるメンバーが描いた力学の歴史を総覧できる良書だと思う。それに、熱力学の方よりは身近なのでまだ取っつきやすい。
0255文字
Hayato Shimabukuro
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上巻ではニュートンによる万有引力の発見に至るまでの歴史が詳細に記載されている。個人的には特にケプラーがすごいと思った。万有引力の形にこそ到達していないが、彼は太陽と地球の間に引力が働く事を見抜いていたようだ。
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yanagihara hiroki
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オカルティックな動機から惑星軌道の真円であることを示そうとするケプラーが、極めて精緻なチコ=ブラーエの観測データを元に自身やチコの思惑とは裏腹に惑星軌道が楕円であるという数理的事実に出会い、認めていく。学術史としての面白さだけでなく、現代の常識での「正解」を導いた学者も誤謬にいかに囚われ、「誤謬」に陥った学者も極めて正しい推論に基づいて間違えていたか、という人間の知の発達の紆余曲折ぶりを示し、後付けの「正解」で賢ぶる我々の愚かしさを反省させられる。誤りこそが深く、大切だ。個人の成長過程においてもまた。
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maqiso
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ケプラーは精密な観測を元に3法則を発明し、同時に神秘的な思想からすべての物体にはたらく重力を提唱した。機械論的自然観の強いガリレイは加速度は認めても遠隔力は認められなかった。スコラ哲学に対抗して演繹的で完成された体系を作ったデカルトには理論と現象のすり合わせは重要ではなかった。デカルト主義者に批判されたニュートン派は重力の理由付けに苦労し、重力に神を見いだす宗教家もいたが、ニュートンの理論は現実をよく説明したためパラダイムとなり、オイラーに至って哲学者でない物理学者が現れるようになった。
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まーくん
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ケプラーの楕円軌道の衝撃に始まり、ガリレオの慣性、そしてニュートンによる万有引力。『プリンキピア』を公にし、重力を数学的かつ実証的な近代物理学の土俵に登らせたニュートンだが、遠隔力は<隠れた性質>だという批判に答えられなかった。重力の原因は機械論的に説明されなければならぬとするデカルト主義者の批判。重力は神の「深慮と支配」とするニュートン。そして「解析学の権化」オイラーは自ら解析学を発展させて力学に適用、ニュートンの力学を煩わしい幾何学的様式から解き放つ。古典力学形成の紆余曲折を丹念に追っていく充実の書。
まーくん

エッ!? 思わず確かめてしまいました。上下巻です。下巻は未入手ですが、更に手強そうですが、ヤワヤワ行くつもりです。

09/18 06:55
Ayumi Katayama

更に手強い(~_~;)。マイペースで行ってらっしゃい♪

09/18 08:28
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The  pen is mightier than the sword
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久々に科学史に触れ楽しめた。ケプラーからガリレオ、ニュートン、オイラーまでの物理学の発展を思想との関わりを含めて説明。物理学の課題である重力の根拠を巡り、神の存在に対する自然科学の位置付けが変わってきたことが説明される。以前は、説明しきれないことは神の仕業にして説明するのが当然だった。この時点からは現象を元に仮説をたて、数学を使って演繹的に理論を完成させるようになり、神の存在に頼ることなく解決できることが多くなった。古い勢力が新しい考えの科学者を糾弾するが、長い年月をかけて科学が一人立ちする。447
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南北
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古典力学が重力をどう捉えてきたかについて、ケプラー、ガリレイ、ニュートン、デカルトの考えを丹念に追っている本。古典力学が一直線に発展してきたのではないことがわかる。ニュートンにとって重力の原因は「遍在する神」であり、デカルトにとって重力を伝える物質である「エーテル」が宇宙空間に充満していると考えていた。現代から見るとバカバカしいように見えても当時としては真剣に考えられたものであることがわかって、知的好奇心を刺激してくれる内容になっている。下巻も続けて読んでいきたい。
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げんき
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現代から振り返ると運動の3法則と万有引力の法則により記述されるニュートン力学が近代的な機械論的自然観を理論的に裏づけた、とあっさり片付けてしまいそうになるのですが、実は万有引力の法則というのはやや得体の知れない経験則で、発見当時はむしろ近代的な精神にとっては受け入れ難い思想だった、というのは面白い指摘だった。同時に、自分も重力がなぜ逆二乗則に従うのか深く考えずに生きてきたことに気づき不明を恥じた。筆致は丁寧で、当時の哲学的・神学的議論を適宜現代的な言葉に翻訳してくれているのでとても読みやすい。
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やいっち
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著者は、「科学史家、自然哲学者、教育者、元学生運動家。駿台予備学校物理科講師。元・東大闘争全学共闘会議代表」という方。吾輩が大学生になった頃には、学生運動は終息しかけていたが、当時は、同氏のことを英雄視していた。在野にあって科学史などの研究に携わってこられた。文系の頭の吾輩には数式は歯が立たないが、本文は分かりやすい。どうやら本書は著者の処女作のようだ。
まーくん

20年近く前、単身赴任のつれづれに単行本で読みました。なかなか難しく読み切れませんでした。著者の山本義隆氏があの山本義隆氏とは、その時は気づきませんでした。最近の著書には全共闘の経歴、明記してますね。先日、文庫版が出たのを見つけ再チャレンジしようかと迷っていたところでした。

04/21 22:28
やいっち

山本義隆氏は我輩にはずっとヒーローだった人。まともに学者してたらどんな成果をあげたやら。昔、同氏は高校時代に学校の図書館の本を全部読んだと、誰かが書いてるのを読んだことが。そんなこと不可能だと、即座に否定しましたが、今では有り得ることと思ってる。この読書面談でも、年に二千冊読む人が居る。3年で五千冊は十分可能。ま、それはともかく、著者の処女作の本書をようやく読めて感懐ひとしおです。

04/22 00:27
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0255文字
たい
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ガレリオやケプラーら、それぞれの世界観や方法論を示すことを通じて、彼ら自身の理論や対立する理論への態度を説明していくアプローチが面白かった。認識/方法論上そうならざるを得ない、という所が納得しやすい。
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重力と力学的世界 上 ――古典としての古典力学 (ちくま学芸文庫)評価73感想・レビュー11