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重力と力学的世界 下 (ちくま学芸文庫)

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記憶喪失した男
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ネタバレダランベール、ラグランジェ、ラプラス、ケルヴィン卿、と十八世紀から十九世紀の哲学者、物理学者が語られる。いつ、神の存在と結びつけて力学を考える自然哲学から、神の記述を排した物理学になったのか、それがわかる科学史で、非常に面白かった。まさに知りたかったことが書いてあった。近代の歴史を知るのにとてもおすすめの本だ。また、物理学の誕生において、ニュートンこそが天才とされていることがラグランジェのことばとして書かれていた。
0255文字
Hayato Shimabukuro
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上巻では、ニュートンが万有引力理論を完成させるまでの話(+オイラーの業績)についての話だったが、下巻では、ラグランジュやラプラスによってニュートン力学が整備され、さらに力学的エネルギーを拡張して、19世紀の熱力学的なエネルギー、電磁場の理論の発展までを取り扱った内容となっている。
0255文字
yanagihara hiroki
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ケルビン卿の「私の50年間にわたる科学の進歩への努力は全て失敗であり、50年前に学生諸君に教えようとした以上には現在も知っていない。」という悲痛なメッセージを最終章に持ってきた著者の強い思いを感じる。我々が科学史の「勝者」をもてはやし、勝者の果実を身につけることを「勉強」であると勘違いしている中で、ケルビン卿や様々な機械論者のような偉大な天才がwhy?を諦めることなく統一理論に挑み、そして散っていったその「筋を通していく力」にこそ学問の原動力があるのではないか、という根源的問いかけになっている。
yanagihara hiroki

個人的には「運動方程式は力の定義式である。」というダランベールの主張は、その物理学的当否は別にして、「我々は加速度が生じる際にそこに力の存在を類推する」というアナロジーと解釈しては取り組まねばならないこの世界の課題に対しての自身の無力さを叱咤激励するためによく自分自身に20代の頃言い聞かせていたので、彼が歴史的にそのような主張をしていた、ということは感慨深かった。

12/06 21:54
0255文字
aspheric
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「科学のある時点での現在高は、いかに精巧で完備に見えようとも、その概念や道具立ては歴史的・社会的に制約されたものでしかなく、その科学にもとづいて形成された世界像が超時間的・絶対的に妥当するというのは迷妄にすぎない。」下282p
0255文字
maqiso
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オイラーが地球の形状を計算し、ラグランジェが解析力学でエネルギー保存則や最小作用の原理を導き、ラプラスが摂動計算から太陽系の安定性を証明したことで、力と運動で世界を説明する力学的世界像が生まれた。汎力学的法則観にはデカルトの合理主義・演繹主義が色濃い。熱を原子の運動で説明することにはエネルギー論から批判が起きた。ファラデーが発見しマックスウェルが定式化した電磁気現象は場を認めないと説明できないが、ケルディン卿は力学的モデルを構築しようとして失敗した。市民社会と科学のつながりはもっと詳しく見たい。
0255文字
南北
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18世紀に入り、「力」と「運動」がすべての自然現象を解明する基本概念とされるようになり、力学的決定論が生まれてくるが、電磁気学や熱力学に対してうまく適用できないことがわかってくる。本書には多くの数式が記載されているが、とうてい理解できたとは言えないが、引用された科学者たちのことばは大変興味深く読むことができた。自然科学が進歩史観の言うような右肩上がりで進んできたものではないことがよくわかる。
南北

「多くの進歩史観や啓蒙史観のいうように、自然科学は、人がとらわれのない目で虚心坦懐に自然を観察しそこから法則性を読み取り帰納と演繹の操作を通して体系化したことによって形成されたものではない(中略)。一定の概念枠と評価基準を持って自然の複雑な諸相を人為的に理想化しそこに法則性を読み込んで作り上げたものが自然科学であり、しかもその概念枠や評価基準は人間の社会的な関係のなかから生まれているのである。」

07/05 21:06
0255文字
やいっち
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本書は、1981年に刊行(書かれたのは1977ー1988年)されたもの。40年ぶりの再版。(文庫版あとがきでの)筆者によると、読み返してみて、多少は書き足りない、あるいは今なら違う風に書くだろう部分もあるが、若いからこその勢いもあって、読み応えがあると。実際、理系には(も)門外漢の小生だが、数式は素通りしたが、本文はじっくり楽しめた。退屈さは感じさせないのは、著者の言う当時の勢いなのか。
Ayumi Katayama

「17世紀科学革命の最大の背理」がとても気になる。こういうところから新しい科学が生まれるんですよね。また読みたいリストが増えちゃう。

06/22 18:04
やいっち

面白かったです。次は原発など時事的なものも読みたい。

06/22 19:27
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0255文字
げんき
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下巻では解析力学による古典力学の完成、そして電磁気学・熱力学の出現による挫折が主に描かれる。たとえば「特殊相対論によってエーテルの存在は否定された」などと教科書にはよく書かれているが、そもそもなぜ「エーテル」の存在が19世紀の物理学における主要な問題となったのかについてはよく分かっていなかった。古典力学の時代の巨人たちの問題意識を現代の読者にも十分わかりやすい形で生き生きと提示してくれる良書で、高校生〜大学低学年くらいの頃にこれを読んでいればもっと物理学に夢中になっていたかもしれないと悔やまれる。
0255文字
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