形式:文庫
出版社:KADOKAWA
形式:単行本
出版社:角川書店
「彼らはもちろん性格が異なるが、傍から見ると五十歩百歩である。何が似ているかというと、とにかく大雑把である。椎名が隔月刊の『本の雑誌』を月刊にしようと突如言い出した時、とてもそんな余裕はなかったが、仕方なく1年待ってくれと私は言った。すると椎名は、月刊化の最初の一年は長い旅に出ないで日本にいると明言した。その半年後、椎名が『じゃあねえ』と楼蘭に旅立った時の驚きはどう書けば伝わるだろうか。椎名には約束を破った意識はなく、私と約束したことを忘れていたのだ。椎名の性格を忘れて油断していたのが迂闊だった。」
「先日、『本の雑誌』のコラム原稿を書いた時、データ・ディスクマン用CDの固有名詞を確認するので現物を見せてくださいと若い編集者が言ってきた。いや、まだ買っただけで一度も使っていないというと彼は呆れた表情だ。編集デスクが『しょせんは椎名さんの友達だから』とへんな言い方で若い編集者を慰めていた。私は愕然とした。周囲の目に私と椎名が同じタイプの人間として映っていることに驚く。椎名誠、沢野ひとし、木村晋介という3人組は同じジャンルの人間だが、私は別のタイプだ。けっして性格的には似ていない。まったく心外である。」
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