友情でも恋愛でもないけど、これが青春だなあという作品を紹介しましょう。
初めて読んだときはそんなに感じるところがありませんでした。それなのに、ずっとしばらく経ってから、自分の心というか魂というかのどこかに、この小説がずしりと重たく居座っていることに気がつきました。「古典部」シリーズの1つになるかもしれなかったこのミステリは、私にとってはやはり重たい青春です。
いつも、読むと、胸が痛くなります。正直、残酷すぎるシーンや、性的なシーンもあるので、誰にでも気軽にお勧めすることはできないけど、私はちゃんと胸を張って、この作品が好きだと言おうと思います。
「ぼくのやったことは、犬神明のしたこととおなじです。狼からの贈り物なんです。暗い夜に、悲しい泣き声が聞こえれば、黙ってはいられない。それが狼の魂なんです。人間には聞こえない泣き声でも、狼には聞こえるんです。人間だってその気になれば聞こえるんだが……」
とても、よかったです(^^) 何かに打ち込めて、他のことを追いやれてしまうのが青春だと思います。人生とか青春とか、生きていく時間の流れがあるけれど、その中で好きだと思えるものがあって、それに心から力いっぱいになれるなら、こんな貴重な時期はない……と思います。――結局、中西さんは「中西さん」になっちゃうのかな? 映画も見てみようと思いました。
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