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小暮写眞館で、宮部みゆきさんを撮る

楽園
トピック

KAKAPO
2016/04/17 08:14

 登場人物や物語の背景の部品が徐々に組上がって行くが中々完成図が見えてこない。上巻の後半、ある部品が組み込まれることによって、突然、物語の全貌が見えたような錯覚に陥り、側にあった下巻を掴む。このように時間を超えて並走する物語が、徐々に絡まるように組み合わさり、霧が晴れるように真相が見えてくる。これが宮部ワールドなのかもしれない。

 下を読んで改めて、宮部みゆきさんって凄いな…と思った。ミステリーのストーリーテラーとしてはもちろん、滋子の言葉を使って読者に突きつける問いの切れ味が凄いと思う。子供や身内が、世間に対して後ろめたいことをしている時、してしまった時、私達は、どのようにして自分や愛する人を守れば良いのか?そのような事態に陥らないためには、どうすれば良いのか?を土井崎夫妻と敏子の生きざまを対比させ描いているような気がする。娘に対する父親と母親の愛の違い。慈善に見える会の闇。他にも重要な問いが多くちりばめられている。

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