結論から言うと期待を大きく上回る面白さだった。竜崎は、伊丹からは変人、妻からは唐変木と言われている。信念に基づいて言う台詞が、既成概念に捉われている周囲の人々を茫然とさせる様子や、竜崎の口には出さない心の呟きが可笑しい。発言は常に正論で、読者も一緒に溜飲を下げられる爽快感は『隠蔽捜査』の途中から堪能していたのだが、『果断』は、それに加えてミステリーらしい展開も想像以上だった。殺人も起こらず、性的表現も一切ないにもかかわらず、ここまで魅力的な物語を描けるなんて、今野敏さんは、とても凄い作家さんだと思った。
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