五百旗部真『占領期』(講談社学術文庫)のp147以下に、昭和19年3月以降の幣原喜重郎の言動が紹介されています。幣原は早期和平派ではなく、まるで陸軍軍人であるかのように徹底抗戦派だったのです。一部を引用します。
幣原はその後ますます「軽々に和平をすべからず」の立場を強める。「敵情の打診を誤まり軽々しく和平工作を試みて、其間我方の弱点を見透かされるゝが如き」を避けよという。「回天救国の策をめぐらすの余地」を得るためには、どんなに空襲がこようと「神経を太く挙国一致益々度胸を据え」「試練に耐へ」る必要がある。
このような人物が戦後首相となって、現行の日本国憲法制定、とりわけ憲法9条の制定に直接関与したのです。
私は、幣原の憲法9条称賛は、自己欺瞞の産物と考えます。
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