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日本近現代史研究会

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吉見直人『終戦史』(NHK出版)より(その2)
トピック

辻貴之
2018/08/26 11:15

松谷誠という昭和陸軍の軍人をご存じでしょうか。太平洋戦争のさなか、陸軍の中で終戦の必要性を最初に訴えた軍人です。昭和18年のことです。松谷は鈴木貫太郎政権下において、首相秘書官という重要な地位に就きます。
松谷は典型的な対ソ連携派でした。松谷は敗戦という非常時を利用して、日本をソ連のような全体主義国家にしようと考えました。松谷の目からすれば、日本人はまだまだ全体に奉仕する精神が不足しているように映ったのです。松谷の著書『大東亜戦争収拾の真相』のp287には、「「いわゆる『本土決戦』は真の決戦にあらず、むしろ無気力、無組織、利己的なる国民を脱皮せしめ、将来国家再建の精神的団結力の根を植える点に意義存す」との記述があります。松谷にとって、敗戦必至という状況は、日本国民を改造する絶好のチャンスだったのです。

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