松谷誠らの陸軍軍人と革新官僚は、鈴木貫太郎政権下で連携します。そして、わが国の敗北は、日本をソ連型社会にする絶好のチャンスと捉えたのです。同書のp327より引用します。
本土決戦なんてどだい無理だから、あくまで国民を焚きつけて決死の覚悟を振り絞らせ、この国家存亡の危機的状況を滅私奉公一致団結の国民に生まれ変わらせる機会として利用しよう。
裏面工作にある親ソ国家構想とあわせてみれば、国民を騙して国家体制の変革を目指すものだったということになる。
それは危険な思想だった。革新官僚らは、勝てもしない戦争の完遂をうたい、自らの理想とする社会、国民が国家のためにひたすら奉仕する全体主義社会を実現するための、いわば「捨て石」、「人柱」として国民を利用しようと考えたのである。
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