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日本近現代史研究会

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豊田副武「最後の帝国海軍」中公文庫69pから70p
トピック

鉄野ブタ
2019/11/01 15:29

著者の豊田副武は終戦時には海軍軍令部総長を務めておりました。昭和十五年夏、アメリカが日本の資産凍結をするなど経済制裁を強化し、次にはスクラップも輸入出来なくなると噂されていました。
「その話を食堂で持ち出したところ、軍令部の方では、「いや、アメリカではスクラップは製鉄に使用してはおらん。だからもし日本に輸出しないことには、スクラップ業者はたちまち職を失ってしまう。従って、スクラップを禁止することは、アメリカ自身にとって重大な問題だから、そう軽々しく禁止などはせんよ」と、こう言う者がいたものだ。しかし私は、それは大変な見当違いだと思ったので早速、もとニューヨークで三井の金物部長をして、スクラップ輸入を取り扱っていた人に来てもらい、向こうのスクラップ事情を半日詳しく訊いて見たものだ。(中略)年産二、三千万トンだから、輸出向けのスクラップは多くて二割、せいぜい一割程度に過ぎない。アメリカのスクラップ輸入国は、日本とベルギー、それにイタリア。日本に禁止したところで、二百万トンくらいのものはアメリカ政府が買い上げても大したことはない。」
本当に海軍がアメリカの国力を知り、戦争に反対していたのであれば、上記の発言は出なかったでしょう。詳しい数字やデータを基に行動しないのは危険です。

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