表紙の裏には次の文言があります。
「ナショナリストにしてリベラリスト、リベラリストにしてアジア主義者という明治人」
実際に読んでいくと、若い頃には吉田松陰や西郷隆盛に心酔し、大正時代は河上肇と親しく(p102・ただし後に関係断絶)、昭和になって岩波新書を創刊したときはそれを石原莞爾に贈り(p180)、頭山満とは意気投合し(p207)、緒方竹虎を通じ岩波書店から頭山の正伝の出版を計画し(p212・ただし都合により中止)、三木清がと生涯にわたって親しかったのです。さらには、太平洋戦争開戦時は、「長年アジアを圧迫しているアメリカとの戦いと思うから興奮していた」(p212)とのことです。
岩波書店の創始者、岩波茂雄の人物像が大体理解できるとともに、戦後の岩波書店の方針も想像できるというものです。
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