葉山嘉樹『セメント樽の中の手紙』を読むトピックです。各々の読みを共有し、互いの読みを深めましょう!
テキストは下記青空文庫のリンクよりご覧いただけます。ぜひお気軽にご参加ください。
https://www.aozora.gr.jp/cards/000031/files/228_21664.html
ピリオドさん
感想読みました。この小説がホラーなのは「恋人の妄執」がある点だ、ということですね。面白い視点です。恋人の手紙は書いても効果のない意味のない手紙という意味で「ロマンチックな手紙」だと思います。このロマンチックさに「妄執」を読み取るとすれば、本来この妄執を解き放つのは、このようなロマンチックな手紙ではなく、雇用者への訴え、労働環境の安全性、自己の保障などの訴え、なのだと思います。実際、作者は実行し挫折しました。
itokakeさん
プロレタリア文学は評価が低くてつい敬遠しているのだと思います。主義主張がある作品は薄っぺらいという偏見もあります。本作品は構成が巧みだなと思う半面、センセーショナルでベタな内容だとも感じます。ただ、労働をしながら創作をしていた人たちのドキュメントととらえると、プロレタリア文学は生き残ってほしいと思います。(有名な作者は実家が太い人が多いのではないでしょうか?)まずは蟹工船など有名どころを読んでみようかなと思います。プロレタリア文学史を含めた大正昭和の文学史にも興味が出てきました。
遅ればせながら感想を書きました。
https://bookmeter.com/reviews/101729881
プロレタリア文学は初めてで、それを意識せずに感想を書いたことが明らかです。ヨックムドさんが紹介してくれた記事を読んで、背景が分かりました。後に転向してしまった彼にも止むを得ない事情があったのでしょうが…引き揚げ途中でなくなったのは無念だったでしょう。
こうした文学作品を読んだことがなかったのはitokakeさん同様、ノンフィクションを読むからでした。たまにはプロレタリア文学も読んでみます。
ヨックムドさん、ご回答ありがとうございます。プロレタリア文学、近すぎて読めないというお気持ちだったのが、今は手に取れる心境になられたのですね。実際に読んでみて、どうでしたか?プロレタリア文学、これからも読めそうですか?労働者こそ書く必要がある、たしかに、生活を自分の手で行うものの文章は力があると感じることが多いです。生きることへの真剣さが伝わってくる。私がついついノンフィクションばかり手に取ってしまうのも、取材や体験という現実に根差している分、ハズレが少ない気がするからです。でもたまにハズして、がっかり。
この作品を選んだ理由は、プロレタリア文学を読んだことがなかったからこの機会に読んでみたいということでした。
今ではタイトルも思い出せないのですが、労働者こそが文章を書く必要があるのだというような文章の書き方の本を高校のころ読みました。入試に落ちたら働きながら浪人をする予定だったので切実でした。近親憎悪でしょうか、プロレタリア文学は心情的に身近なのに読んできませんでした。
ごめんなさい、この作品はヨックムドさん選定でした。勘違いしておりました。
あらためて、ヨックムドさん、この作品には何か思い入れがあったのでしょうか?選定のきっかけがあれば、ぜひ教えてください。素晴らしい作品を紹介してくださり、ありがとうございます。
月に春目ださん、この作品には何か思い入れがあるのでしょうか?私は初読みでした。出会えてよかったなあと思える作品でした。この作家の作品をもっと読んでみたい…。きっかけをつくっていただいたことに感謝です。
ヨックムドさんが、与三のその後を想像していたので、私も。。女工に手紙は、たぶん書かないだろう。なんといっても、貧乏で子だくさんで、酒代ですらあやしい。でも与三は、なぜか彼自身でもわからないが、形見のボロ布だけは大事にもっていそうな気がする。そこまで書いてしまうと、作品としては壊れてしまうのですが…。
ヨックムドさんご紹介の資料、大変参考になりました。丼、まったく別のものを想像していました。単位としての「才」といい、業界用語がいっぱいでリアリティに溢れているなあと思い、wikiを読むと作家の実体験があったのだろうと推測。そしてヨックムドさんの資料で、事故にあった方の名前まで判明。事故そのままではなく、大変ドラマチックな短編に仕上がっていて、この作家の文学性を感じます。初読みでしたが、一度読んだら忘れられない作品…。与三が変に同情するのではなく、日々を生きることに精一杯で朴訥な男性らしい反応でした。
小説では、恋人をクラッシャーに飲み込まれてしまった女工の手紙を与三は受け取るが何もできないし何もしないだろう。酔っぱらって暴れることもできない。
現実では、業務上の事故で死亡した職員の見舞金増額のため組合を結成しようとして葉山は解雇された。
酒を飲んで暴れることもせず妻子を養うために働き続ける与三。
社会を変えるために運動し後に転向し満州からの帰国の途上で病死した葉山。
悲惨な現実を目の前にして声を上げ、辛酸をなめ、挫折した葉山豊三がダブる。
多言語翻訳 葉山嘉樹『セメント樽の中の手紙』参考画像
https://ir.library.osaka-u.ac.jp/repo/ouka/all/61324/mltp_2_046.pdf
丼の謎が解けました。
葉山嘉樹の労働体験と文学作品(5ページ目です)
https://www.chubudenkikyokai.com/archive/syswp/wp-content/uploads/2020/04/8eacd4bc90f1f3e76a4006f08163a7d7.pdf
実話をもとにしていたのですね。
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