255文字のレビューコンテスト「レビュアー大賞」にて、ベスト・オブ・ベストレビュアー賞に輝いた、 はるまちさんのおすすめ文庫本3冊を、はるまちさんのレビューと共に紹介!
ベスト・オブ・ベストレビュアー
はるまちさん
2,500を超えるエントリーの中から選ばれた、辻村深月『かがみの孤城』のレビューは、第6回レビュアー大賞結果発表ページからご覧ください。
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はるまちさんのおすすめ
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事前知識を何も入れないで読んでほしい本です。(と書きながら、これから書くことは事前知識になってしまうのですが……)
トリックはもちろんのことですが、物語の構成が巧みすぎて鳥肌ものでした。 作中でもメタ的に触れられている、クローズドサークルを作るための設定が、単なる舞台装置だけで終わらず、犯人の台詞によって最後の最後で明確な意味を持つところに、ゾクっとしました。
この感覚を味わうために読んでもいいと断言できるくらい素晴らしい物語だと思いました。選ばれてしまった人間の苦悩の物語だったと思います。
作品を通して発せられ続ける主人公光國の「なんで、おれなんだ」という己への問いは、時に呪いのように心を蝕み、時に前へと進ませる力にもなっています。
答えをがむしゃらに見つけ出そうとする主人公光國の姿に人間味を感じ、感情移入してしまいます。そうなるともう、作中での登場人物との別れのシーンは胸に来るものがありました。
水戸光國といえば、ドラマでも有名な人物ですが、本作では豪胆かつ繊細に描かれた光國像が新鮮に映りました。日本語表現の美しさと人間ドラマの面白さが併存していて、魅力的な物語でした。
ピアノコンクールという、私には縁遠いものが舞台でしたが、演奏シーンの表現が非常に美しく引き込まれました。一曲一曲、繊細でもありダイナミックでもある美しい映像的なイメージを強烈に脳裏に叩き込まれ、言葉に表現の限界はないのだなと感じさせてくれました。
また、登場人物それぞれが魅力的で、競い合いながらも親交を深めていく様子が微笑ましく思え、コンテスタント全員を応援したくなるような気持ちになりました。
ベストレビュアー
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『罪と罰』を読まない
natsukoさんのレビュー:
羨ましかった。もう地団駄踏むほど。「読まずに」好き放題妄想する楽しみと、「読んで」振り返り語り合う楽しみ、それを両方味わう四人が。四者四様の想像と偏見で膨らむ物語は勝手に暴走し、ノリノリ適当に推理するおかしさ。途方もなく遠ざかったり、かと思うと突然核心をつき閃めいたり。こんな読書会いつかしたいな。