わらわはこの国が
好きだった。
海風をはらみながら
両手を広げて
息を吸い込むのが
好きであった。
あぁ、わらわの人生は
短かったけれど
煌めく海原のような
微睡む日だまりのような
吹き抜ける風のような
あ奴の笑顔に
出逢えたあの春の日を
忘れることなぞ
できそうにない
君に贈るホラー
『八滝城天狗草子』より
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