承認を得るために命をかけて戦った結果、承認を与える対等な人間を失ってしまうヘーゲルの奴隷主を地でいくような人生であった。いくら政治の天才といっても、イエスマンに囲まれてしまえばその判断の妥当性をチェックする公共の議論の場が失われる。毛沢東と同様、晩年にはほとんど予測不能で狂人のように見えるが、最初から性格異常者であったというより、おそらく独裁者の孤独が彼を異常な行為に駆り立てた。アレント/カントによれば、狂人と健常者のちがいは論理的な思考ではない。他人の立場にたって考えることのできる共通感覚の有無である。
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承認を得るために命をかけて戦った結果、承認を与える対等な人間を失ってしまうヘーゲルの奴隷主を地でいくような人生であった。いくら政治の天才といっても、イエスマンに囲まれてしまえばその判断の妥当性をチェックする公共の議論の場が失われる。毛沢東と同様、晩年にはほとんど予測不能で狂人のように見えるが、最初から性格異常者であったというより、おそらく独裁者の孤独が彼を異常な行為に駆り立てた。アレント/カントによれば、狂人と健常者のちがいは論理的な思考ではない。他人の立場にたって考えることのできる共通感覚の有無である。